これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを終わらせましょう②)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/30(金)投稿予定です。ようやく1年間の間に書こうと思っていたところの最終に差し掛かる事に涙涙です。(もうまるっと2年経ってますけどね、多分今年中に一区切りつけそうなことにホッとしてます。)
父親達が話している丁度その頃、ティリエスは噂されていた通り王女の元へと足を運んでいる最中であった。
「うーん・・・と、お菓子持ったし朝に摘んだ花束も持ったし。レイ、お兄様。私どこかおかしなところはありませんか?」
「大丈夫ですよお嬢様、今日も素敵です。」
「そうだよ、ティリエスは今日も可愛いよ。」
いつもなら服装の事など聞かないティリエスが若干緊張しながら礼を述べ持っていたお菓子の入っている籠をギュッと握り直した。
「お嬢様、王女に会うのにどうしてそのように緊張されているんです?」
レイの言葉にティリエスはうーんと唸りながらその言葉にどうしてか、を考える。
「緊張と言うよりは・・・戸惑いの方が大きいですわ。私と王女様確かに親類縁者ですけど一度も会ったことがない初対面なんですよ。それなのに、昨夜急に私に会いたいと侍女の使いを出されたんですから。」
そう、実はこれまで王女と私は会ったことはない。
王女は昔から病弱でなかなか顔を出すことは難しい方なのだと、一度だけ父に尋ねた際そう言われたのでそれなら仕方ないと、それっきり彼女の事は話題を出すことはなく薄情かもしれないが今の今まで何とも思っていなかった人物だった。
本当は後姿だけ、彼女を助けるために間近で見た事があるがそれは勿論あえて言う事ではないのでティリエスは言葉にしなかった。
「よっぽど昨日の事に驚かれたんでしょうか?」
「うーん・・・どうなんだろうね。」
曖昧な返事にティリエスは首を傾げながらも、そういえばと父からのある話しを思い出す。
「そうでしたわお兄様。お父様が寝る前に聞いた話しなんですけれど。今回事を起こそうとした人が持ち込んでいた危ないものをいち早く見つけ出してくれたのはお兄様と伺いましたわ。毒を混入されたワインや忍ばせていた魔法道具、さらには本来襲撃するはずのメンバーをも取り押さえて下さったとか。お兄様流石ですわ!」
ティリエスの言葉にレイは面白くなかったのかティリエスに聞こえないように舌打ちしたのをアイルは困り顔のまま笑みを浮かべながら聞いていた。
「うん、まぁ結果としてそうなったけど、僕はただティリエスと順に周った所におかしな点があったからそれを調べただけで、ティリエスのお陰でもあるんだよ。」
そう、何か犯人の糸口が無いか探しに行った時にティリエス達は様々な場所を調べていた。
ティリエスも探し出す意欲だけはあったが結果として大きな成果を挙げられなかったと彼女はガッカリとした気持ちでいたあの日、実はアイルは城の中の不自然な点をいくつも見つけていた。
先ず、ティリエスも探すつもりでいたが彼女が喉が渇いたということもあり食料庫へ立ち寄った場所にいけば、使われていない保管庫だと記憶していたその場所は何故か頻繁に出入りしている痕跡があった。
城へ赴く前に情報にあった内容と異なっている、その事におかしいと思ったアイルがそれとなく担当者に何が保管されているのか聞いてみれば、今回振る舞われる大量のワインが保管されていると言う事だった。
だが今回の催しは安全も兼ねアドルフの息のかかった商会アメジストから商品を持ち込むことを既に知っていたアイルはこのワインの存在が怪しいと思い、ティリエスが周りの人達と談笑しているところを見計らってアイルは既にあちこちに配置させていたオーガの部下に内容の書いた紙を持たせ確認を急いでもらった。
結果、毒入りのワインが保管されていることが判明し持ち込んだ人間達を秘密裏に捕縛した。
その次もまたティリエスは意気込みは人一倍であったが、幼い身体では体力が続くわけもなく。
歩き疲れたのである先の涼し気な木陰で小休憩を挟むことになり彼女が涼みながら華やかな花が植えられている花壇の真反対。
ティリエスが見ている花壇と同じとは思えない程花が異様に枯れていた花壇がちらほら見えたので、彼女と同じように鑑賞したアイルだったが不思議に思い花壇の土の中を掘り返してみた。
すると出てきたのは魔法道具。
魔石を利用し爆発する仕組みのある魔法道具がゴロゴロ出てきたのだ。
花の属性は主に水属性が多い為、反する火属性であるそれのせいで一斉に枯れたのだとディオスから説明があったが、とりあえず見つけ驚いたアイルはティリエスが怖がらないように彼女が花を観賞している内にこれもまた近くにいたオーガの部下に知らせ、早急に枯れた花壇の場所を魔法師団達に秘密裏に処理させた。
死角になった場所、しかも大きな被害が出そうな場所に点々と埋められていたそれは全てディオス率いる魔法師達のお陰で大きな被害が出る前に処理された上に、引き金となる個人の魔力が魔石の中に残っていたこともあり、誰がこれを置いたのか同業者という事もあり瞬時に特定した魔法師達はすぐにその者らを秘密裏に捕らえた。
休み終えたティリエス達は、妙に焦っているティリエスが「あっちになにかありそう。」と言って向かったのは人通りが少なそうな場所にポツンと立っている古びた小屋だった。
意気揚々と小屋の扉を開けてティリエスは中を物色しつつ探しているその姿を見つめていたが自分も行動に移す。もうこの頃になるとティリエスが何か立ち止まる場所に何かあるという、確信めいたものをアイルは既に思っていたのでアイルも一緒になって何かを探す。
すると、今度もまた発見したのだ。
小屋の中には無かったが、小屋の後ろにある不自然な被せものが。
それを慎重に捲ると、何故が下へと続く穴がぽっかりと開いていたのだ。
同じように報告すれば、そこは王城の塀の外へ続く下水路へと続く道になっていたのでオーガ達が待ち構え、夜中に現れた敵を一掃出来、今回の根回しは無事滞りなく被害も最小限に出来たというわけだ。
だから、己のした事を自分の手柄のように喜んでいるティリエスではあるが、本来ならティリエスの手柄でもあるのだ。
それなのに、アドルフに彼女の事を世間から注目させるのを拒んだ故に自分だけの手柄のようにするように言われた。
正直、納得していない。彼女はそれだけのことをしたのだから。
だが、そもそも彼女自体表舞台に立とうという気が皆無なのもアイルは以前から知っていた。
どうしてそうするのかアイルには彼女の真意までは理解できていない・・・が、本人が拒むのならと今回の功績に関して自分は口を閉ざす事にしたのだ。
でも、ティリエスはもう少し自分が言ってる事に御世辞として受け止めないでほしい。
自分が大いに今回の事に貢献しどれだけ多くの人達が救われたのか、それを言っても彼女が謙遜するばかりだ。
そんな彼女に小さくため息を吐いた。
「何時かは分かってくれると思いたいけどな。」
「?何かおっしゃいましたか?お兄様。」
ティリエスには聞こえなかったようでアイルはなんでもないと返す・・・と、前から誰かやってくるのが見え立ち止まる。
オーガの部下の1人だった。
彼は3人にお辞儀をすると、「オーガ様からです。」とアイルに手紙を渡す。
アイルはその手紙を広げて文字に目を走らせると、レイの方へ顔を向けた。
「今からレイに来てほしいそうだ。」
「レイに?」
「何でも急ぎのようみたいだ。「えぇ?嫌ですよぉ、私がどうして行かないといけないんです?そもそも小僧・・・んんっ!アイル様宛の手紙じゃ無いですかぁ?名前間違えたのでは?」・・・そう見越して手紙を破らないように僕宛に送ったようだ。」
アイルの言葉にレイは心底行くのが嫌そうな顔を向けて黙る。
そんな彼にアイルはさらに言葉を続ける。
「今時間をくれたら頼まれたものを渡すとも書いてあるけど?」
その言葉にレイは眉間に皺を寄せ苦々しく顔をさらに歪ませ、しばらく黙ったままだったがレイが重々しくため息を吐いた。
珍しくレイが折れる。
「お嬢様、少しだけ離れます・・・が、すぐに戻ります。」
「えぇ、分かったわ。」
そう言って機嫌が悪そうにレイはオーガの部下に案内するように言い、彼は元来た道を歩いて行った。
その速度が早歩きに見えるのは見間違いでは無いだろう。
ティリエスはレイの行動に目をパチクリさせる。
「レイ、一体何を頼んだんでしょう?」
「さぁ?本人が嫌々だけど素直に行くなんて、余程のものじゃない?・・・それはそうとティリエス。」
「何でしょうか?」
アイルにティリエスがそちらを見ると、アイルは「立ち止まると遅くなるから歩きながら話すよ。」とそう言って歩き始めたのでティリエスはその後へついていく。
廊下を曲がり、また長い廊下を歩く。遠くで小さいが王女の部屋の扉がティリエスの目にも映る。
どうしたんだろう、お兄様。もうすぐ王女様の部屋だけど。
すぐに話し始めると思っていたが、なかなか話し始めないアイルを不思議に思っているとアイルが「この前のことなんだけど。」と脈絡なく話し始めた。
「この前ですか?」
「うん、君の屋敷に招待された時に僕がある人に会って欲しいって言った話し、覚えてる?」
少し前に、彼にそう言われたことを思い出しティリエスは「勿論、覚えてますわ。」と言葉を返すとアイルは礼を述べる。
「その事なんだけど、今日君にそのことを話そうと思う。・・・それで、その人に会って欲しいんだ。昨日が過ぎたから。」
「昨日が過ぎたから?」
「うん、昨日まで僕は何も言えなかった。だけどその誓約が終わったんだ。」
「その誓約ってもしかして・・・。」
ティリエスの声色が変わったことでアイルは頷く。
「君の察した通りだ。女神の誓約、僕はこれに縛られていたんだ。でも、それは僕にもあの子にもない。だがら、君にようやく話しができる。」
そう言って、アイルは足を止め、前を見つめるとティリエスもつられて前をみれば大きな扉がひとつ目の前に現れていた。
「会って欲しい人って・・・。」
「・・・・王女様だよ。」
アイルは、そう言ってそのままノックした。
いつも読んでいただきありがとうございます。




