これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを楽しみましょう㊷)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/16(金)投稿予定です。
「放せっ!!放せぇっ!!」
「そんなキンキン声で言われても放すわけないでしょう?貴女、そんなんですから子供に馬鹿なんて言われるんですよ。」
器用にオーガはエスカリーナに縄をかけているのを見つめながらティリエスは周りにいる敵だと思っていた人達を見て納得した。
技量を使っていたから冷静に見ていたからもあるけど成程ね、殺気がなかったから妙に大丈夫だと思えたのか。
確かに剣を向けられ脅されてはいたが、危機として感じなかったのは彼らから殺気を全く感じなかったからだと今頃になって気が付いたティリエスは小さくため息を吐いた。
普通だったら武器を向けられて平静さを欠いてしまうけど・・・何せ何度も殺気というものを経験したしね。まぁ、子供達が変にパニックになって暴れなくて良かった。その辺はやっぱり・・・暗殺云々に経験値積まされるからか。流石は貴族。
実際は唯恐怖に慄いて全く動けなかったのが正解なのだが、ティリエスは1人で勝手に解釈して納得していると宰相の小さく呻いている声が聞こえそちらを見た。
マジマジ見れば見るほど酷い状態にティリエスはこのまま死んでしまわないか心配していると、近くにいた味方にエスカリーナを託したオーガは近づいた。
「・・・・・・・悪いですけど、話すこともすべきことも色々山積みなんですよ。だから、まだ貴方は死なせられない。」
いつもの彼とは全く違い静かにそう言って、彼は懐から取り出した見慣れたものを取り出す。
母リリスが改良したポーションだった。
ゆっくり起こし宰相を抱えたオーガはそのポーションをゆっくり口に含ませる。
すると顔色が悪かった宰相の顔に赤みが増し、呼吸も楽になっていくのがみえた。
さすがお母様のポーション、効果は抜群だ。
「・・・この方を医務室に、治療を頼みます。」
そう言うと気絶している宰相は担架へ乗せられ大の男2人に運ばれていくのを見届けたオーガは、振り返りいつものように飄々と笑う彼と目があった。
「さて、それではティリエス嬢。一緒に降りてなりゆきを見ましょうかぁ。」
壇上から降りると、子ども達と女性達はいつの間にか避難させられたのか誰もこの場に残っておらず、残っているのは敵のふりをしていた味方の男達とこの場にいた貴族の男達、そしてレイがそこに留まりその中心には縛られたエスカリーナとインクブスだった。
エスカリーナは抵抗して引きずられたせいかドレスは汚れがつき、所々裾が切れてボロボロになっていた。
隣にいるインクブスに至っては誰かが殴ったのか左頬が腫れ口が切れ血が滲んていた。
「ティリエス!」
「お父様!」
ティリエスの姿を確認しアドルフが駆け寄りティリエスを抱きしめる。
「・・・・すまなかった、オーガ達がいるから怪我をすることなどないと思っていたが、怖い思いをさせた。」
「いいえお父様。私、お父様やレイが近くにいるから怖いなんて思いませんでしたわ。」
にこっと笑えばアドルフはその表情に偽りはないと理解しほっとした表情を浮かべると、抱きかかえたままアドルフはティリエスをレイへ渡す。
「レイ、今度こそ娘を護れ。」
「かしこまりました。」
そう言ってレイがティリエスを受け取ったのを確認したアドルフはスッと縛られた2人を見つめた。
アドルフにキッと睨みつけエスカリーナが口を開く。
「貴様らこんなことをしてただで済むと思うな。私には王の法律で護られている存在だ。お前たちごときが同行できる問題じゃない。」
「確かに。唯の紙切れではなく女神の制約を使って先々代王の傲慢に決められ作られた貴女を護る法律は今まで私達を苦しめてきた。貴女を暗殺することも出来なかったんだからな。でも、知っているか?この法律にはある補足があったのを。」
アドルフの問いかけにエスカリーナは鼻で笑い飛ばす。
「王妃の書簡のことだろう?知っている。だが、あれは書けないはずだ。私がその可能性を潰してきたんだからな。今だってそうだ。だから、王も王妃も隠れたまま出てこないだろう?これが答えだ。」
アドルフは静かに見据え、「確かに。」と肯定する。
「貴女の言っている事はある意味正解だ。王妃の書簡もまた女神の制約。それをもってすれば貴女の行動を制限も禁止も出来ていた。だから、貴女がやって来た日から今までこの10年、大きな火種が起こらず水面下でギリギリを保つことが出来ていた。だから、貴女は忘れてしまったんだよ。」
何を、と目で訴えるエスカリーナにアドルフは言葉を続けた。
「貴女を護ってくれるその法律、それが反故にされる場合があると言うことを。」
「なっ!」
「一つ、王との寝所を共にする義務。二つ、対象者が反乱意思がないこと。そして三つ、王継承者以外に王位を勧める反逆を企てたことだ。これを貴女は三つとも条件を満たした。」
「何を言う!私はそんなーーーっ!貴様!まさか!」
「理解したようだな、私と娘は数日前に王位継承を放棄する旨を王に進言した。これによって、貴女は三つの条件を満たした。」
「そして、最後の条件もまた満たされたのです。」
頭上からの凜とした女性の声に誰もがその声の先にいる人物に目を向ける。
エスカリーナもまた見上げると、驚きで目を見開いた。
「そんな馬鹿な!!どうしてお前がここへ出てこられる!!」
エスカリーナは叫びに近い声でその人物に言い放つと、煌びやかな装いのその人物はもう1人の人物と共に下へと降りてきたのを見計らいオーガが口を開いた。
「国王様!王妃様のご来場!!」
オーガの珍しい大きな声がホール中に響き渡った。
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