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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを楽しみましょう㊶)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/14(水)投稿予定です。


「我々がただお前に苦汁を飲まされたまま何もしていないと思っていたら、大間違いだ。」


静かに言い放ったアドルフだがビリビリと怒気を含んだそれに私の前にいるインクブスは気圧される、第2夫人は気圧されることはなく、逆にアドルフの態度に気分を害したようで目を細めアドルフを見つめる。


「この私に盾をつくとは・・・愚かな。」

「愚かはお前だ。それに本来ならこのような目出度い娘の晴れの舞台を台無ししようとしていることにも私は最初からイラついている。何か第2夫人だ、本当に鬱陶しい。」

「鬱陶しい・・・だと。」


え?お父様、敵に囲まれているというのにそういうこと言っちゃうの?あ!あー・・・しかも空気読めとか言っているし。お父様、そんなこと言ったら向こうがねぇ?


「・・・どうやら。」

エスカリーナの持っていた扇子が手の力で嫌な音が鳴る。

「どうやら、もう少し賢いと思っていたが・・・見当違いだったらしい。」


ギロリとエスカリーナの瞳が私を捉える。

「その娘を連れてこい。」

「レイ駄目よ。」

インクブスが私の腕を掴もうとしたのを阻止しようとしたがティリエスがそれを止める。

少し不満げな目を向けられたが「畏まりましたと。」といつものように返事をした。


「お2人とも、申し訳ありませんが掴んでいる手をお放しください。」

「だ、駄目よ!あっちへ行ったら!」

「ティリエスさんが、危ないですっ!」

「私とついていってしまえばそれこそ貴女達も危ない。私は大丈夫ですから。」


振り返ってそう答えると、彼女達は眼で不安そうにしたまま見つめていたが、彼女達も今ここで何か事を起こしても寧ろ皆を危険に晒してしまうと十分に理解していた。だからティリエスの言っている事が正解なのだということも理解していたが、それしか出来ないことに2人は泣きそうになりながらもゆっくりと手を離した。


ティリエスは前を見、ジッとインクブスを見つめる。


「私は逃げませんわ、自分で向かいます。」

真っ直ぐ見つめる彼女にじりっと一歩下がったのを見たティリエスはそのまま彼女の居る壇上へ続く階段を昇る。

凛とした姿で階段を昇り切ったティリエスは王妃が座る椅子へ我が物顔で座る彼女を見つめると、彼女はイラついた様子で私を見つめた。


「・・・これで会うのは2度目だ。」

「そうですわね。」

実際には回数で言えば3回目だけどなと心の中で呟きながらそう答えると、エスカリーナはスッと扇子をこちらへ向ける。

ティリエスは微動だにもせず彼女を見つめているとエスカリーナは「お前はどう思う?」と問いかけてきたので首を傾げた。

「王族の血が流れているのにこの差を見て何も感じないのか?遠い山奥、昔のことに執着しひっそりと栄えることもない、田舎臭いそんな領地の娘のままで良いのか?」

「・・・・・・・・・・・。」

「私は幼い頃から元々貧しかった。でも私は他の人間を蹴落とし運を掴み取りここにいる、・・・それが誇らしい。それがそこにいる人間に卑下されようとな、どのような人間の犠牲になろうが私には詮無きことだ。だがお前には最初から選ばれた王族の血が流れている、選ぶことができるというのに何もしないつもりか?何もかも欲しいとは思わないのか?」

「・・・・・・・・・・・。」

「もし、欲しいと思うなら私の手を取れ。お前にはその資格がある?まぁ断れば・・・残念だがお前の父親にも断られた手前、王族の血は少ない方が良いからお前にはこのまま死んでもらうが・・・どうする?」


黙って聞いていれば究極の選択を押し付けてきたなこの人。


黙ったままティリエスはエスカリーナの言葉を聞いていたがなんと答えようと考える。


答えはもちろん『お断り』一択なんだけど、何度か似たような押し問答する際にいつもなんかこう・・・相手に怒りのボルテージあげちゃうから言葉を選んで言わないと。いや、もちろん一応毎回穏便にと言葉を選んでるんだけど・・・なんでか怒るんだよなぁ。


それに、『殺す』と言われてもなんだろう・・・?なんか、悪い方向にならないと変に断言できる自分がいるんだよなぁ。レイやお父様がいるからかもしれないけど・・・根本な何かを忘れているような・・・。


「さぁ、お前はどうするんだい?」


とりあえず今は答えないと、怒らせないように穏便に、穏便・・・に。

催促の言葉にティリエスはようやく口を開こうとした、その時ふと彼女の足元にいる宰相を見つめた途端、これが例えば自分の家族だったら、友人であれば・・・と、考え想像をした。


したら、止める間も無くするりと口から声が出ていた。

「・・・・・あ、やっぱり無理だわ。」

「なんですって?」


ティリエスはエスカリーナを見つめる。


「無理ですね、だって貴女全く王妃としての資格も資質も全くない、ただの我儘女ですもの。そんな人に今更こちらへつけだの平伏しろだの、誰が好き好んで頭を垂れますか、貴女馬鹿ですよ。」


ペラペラと饒舌に言い切った途端、周りの音がなくなり一時静寂の間が訪れた。

その静寂な空気にティリエスはハッとなり、しまったと手に口を当てる。


「あ、やば。」


その言葉の後、エスカリーナの扇子が粉々に砕け散った。

そこにはもう冷静さなど欠片もない女が更に鋭い目つきでこちらを見ているエスカリーナと目が合う。


「お前、よっぽど早く死にたいようだな?」

「え、いやそんな事ないんですけど、すみませんつい本音が出てしまいました。」


本当に詫びれもなく本心で謝るティリエスにエスカリーナがことを起こそうとしたその時だった。


「ふくくく・・・本当、貴女って最高ですねぇ。」


エスカリーナの側で誰かの耐えられなかった笑と声が聞こえ、エスカリーナは思わず後ろを振り返った途端、鋭利な刃物が首筋に当てられ、彼女はぴたりと止まった。


「貴様っ、一体誰だ!」

「あ、オーガさん!」

エスカリーナの問いかけに応えるようにティリエスは見えた彼女の背後の人物の名を言うと、彼、オーガはにっこりと笑った、


「やぁ、ティリエス嬢怪我はありませんかねぇ?」

そう言われこくりと頷いたのを見てオーガは「やれ。」と一言号令をかけると、今まで敵だと思っていた剣を持っていた人間が一斉にインクブスに剣を向けていたのだ。


「なっ、これはっ!」

「残念ですけどもう終わりですよぉ。」


オーガは「ご愁傷様でしたねぇ。」と冷ややかにそう言い彼女を力任せに拘束したのだった。








いつも読んでいただきありがとうございます。

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