これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを楽しみましょう㊵)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は9/12(月)投稿予定です。
なんてこった。知らぬ存ぜぬを通そうとしてたのに敵に包囲されるとか・・・マジか。
こんなクーデター起こすとかありえんわ。
ティリエスは周りが恐怖に包まれていくのを肌で感じ取りながら冷静に周りを確認する。
これだけの人数、きっと念入りに仕組んでいたんだろうけど・・・おっ?
と、ティリエスの腕を誰かが掴むのでティリエスはそちらに視線を向けるとロリアとルリアが震えながら自分の裾を握っているのが見えた。
ギリギリ泣かないように我慢しているのを理解したティリエスは彼女達の好きにさせる。
しかし、なんて絶妙なタイミング。ほとんどの子供が親から離れテーブルクロス側に居るこのタイミングのせいで、大人達は武力行使が出来ない。
レイが傍に居るけど私以外の周りの子供達を護るなんて芸当彼でも出来ないだろう。
「私は貴女以外の人間など死のうが生きようがどうでも良いのでとりあえず事を起こしてよろしいでしょうか?」
「それして他の人が怪我したらレイとはもう口利かない。」
「・・・仕方ないですねぇ。」
今本当もうそんなの言うのやめて、他の子に聞かれて更にパニックになったらどうするのよ。わざとかこの男。
ひそっと小声でそう言われたレイにぴしゃりと言ってのけるとレイは残念そうに呟いたのを聞きながら悪態をつく。幸い自分達の会話のやり取りは恐怖でそれどころではない周りの人間には耳に入っていないようで、ほっとしつつさてどうしようかティリエスは考える。
「さて、皆様!ご覧の通り、ここは私達が占拠いたしました!因みに外にいる騎士、魔法師、王家の者達皆今頃振舞われた飲み物で今頃どうすることも出来ません、助けに入ることはありませんので変な期待は捨ててください。・・・それと、今貴方方が動けばここにいる子供達が1番の被害者となることを覚えておくように。」
インクブスの言葉を合図に一斉に周りの武器を持った者達が子供達に向けて剣をより前へと突き出す。あちこちで子供達の悲鳴が上がったのをみて大人達が動揺を見せた後大人達の姿勢がチラホラ正したのが見えた。
大方、隙があれば攻撃しようと考えていた人達だろうが、今の状況からでは無理だろう。
周りの出来事に子ども達は啜り泣く声が聞こえるなか、目の前の男は口を開く。
「今ので分かったね?今は私の気分一つで君たちの命などどうとでも出来ると。さて、それじゃぁそろそろ始めましょうか。」
そう言って王家のみ許された扉から、ある人物が入ってくる。
誰もが泣いている子供達でさえその人物をみやる。
「エスカリーナ様のご来場だ!!」
インクブスは興奮したまま声高らかに叫ぶと、周りの彼らの味方達は雄叫びを上げる。
異様な光景に怯えている者達以外の人間は警戒心を露わにした。
「皆、よくぞここへやって来た。ほぉ・・・随分と良い眺めだな。流石はインクブスだ。」
褒められたインクブスはその言葉に酔いしれ恍惚と彼女を見つめていた。
彼女に心底心酔しているその表情の異常さにティリエスは思わず顔を顰めた後、優雅にニヤリと嗤う頭上から見下ろす第2夫人をティリエスは睨む。
「それに比べて今の今まで私を捌くどころか、このように為す術も出来ないこの国の貴族は・・・なんと、愚かな事だ。なぁ、貴族を束ねる公爵家の人間達よ。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「まぁ、それでも駒だったとはいえここ数年の間に私の味方の貴族を一網打尽にしてきた手腕は誉めてやろう。だが結局は駒などこのように沸いて出てくる、私は決して誰にも裁けないのよ。でもまぁ、私の代わりに動ける頭も必要だ。どう?今からでも私に忠誠を誓うというのは?特に北の公爵、お前は最近めざましいほど力をつけてきている。私と手を組んでこの国の頂点へ就くというのは?」
ティリエスを初め誰もが黙ったままのアドルフを見つめる。
何も言わないアドルフにエスカリーナは小さくため息を吐いて顎をくいっと動かすと彼女が入って来た扉から誰から出てくる。
「ひっ!」
「あれはっ!」
「なんと惨いっ!」
誰もが男2人に両脇を持たれ、ズルズルと引きずられてやって来た人物に見た誰もがざわつき悲鳴羽交じりの声を上げ青褪める。
「2人は見ちゃ駄目。」
顔を上げようとした後ろの2人の気配にティリエスは制止する。
「あとで怖い夢を見たくないなら私の背中を見ていて、それか下を見なさい。いいね?」
ティリエスの有無を言わせない言葉に2人はこくりを頷いたのを気配で察したティリエスは独りの人物をジッと見つめる。
数日前に見た彼の姿など何処にもない。
拷問されたのか、両手の指は骨を折られ浅黒い殴られた痕そして頭からは血が流れ辛うじて小さく呼吸を繰り返している宰相の姿だった。もしかしたら見えない場所にも大きな怪我をしているのかもしれない、生きているのが不思議な程だ。
「宰相様っ。」
「なんと言うことを・・・っ。」
「私を数年間欺いて王家に密告していた結果がこれよ、ざまぁないわね。まぁ、この老いぼれがスパイだってことはすぐに知っていたから無駄骨だったかもしれないけどね。」
男達が持ち上げるのを辞め、宰相がその場の地に平伏す。
衝撃のせいか、彼が苦しげに咳き込むのが見えた。
「暇つぶしにはなったけど、全く口を割らなかったのは癪だったわ。・・・ねぇ、アドルフ。私もそんなに気長じゃないのよ。私の手をとって頭を垂れ平伏しなさい。そうすれば、貴方の家族は優遇してあげるわ。でも断ればまずお前の娘をこの老人のようにしてやろう。」
途端剣を向けられるが、ティリエスは冷静なままその場に立つ。
その姿にエスカリーナは面白くないのかピクリと眉が一瞬だけ動くことがあったが優雅に笑いアドルフの方を見つめる。
「さて、どうする・・・公爵。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・随分と、」
アドルフは小さく言葉を漏らしたが、すぐに口を開く。
「随分と、我らを見くびっているな貴様は。」
そこにはエスカリーナを睨みつける大人達とーーーー。
・・・・え、お父様本当にあれ、ガチギレしてるじゃん!やばっ。
こめかみあたりの青筋を浮かべて鬼の形相で立つ父がそこにいた。
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