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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第1章~夢現編~
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如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)③












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うーん・・・ふぁぁもう朝か・・・・・・・・あれ?!野原?!


何時ものように朝日で部屋が明るくなったと思い、私は目が覚めたのだが目の前にはだだっ広い野原にぽつんと立っていた。


初めて見るような見たことがあるようなその光景に私はただ見渡す。一体どこだっただろうか・・・・?



っというか最近の私って想像力がすごいよね~、夢なのになんでこんなにリアルなんだろう?



心地よい晴れ模様に若草色の野原が広がり、その先に森や川や山々も見え、さらにもっと遠くに目をこらすと薄っすらだが自然に囲まれた穏やかな田舎の風景が見える。


いつもパソコンに向き合い業務に追われる私のような現代社会人にとっては、こののどかな風景は正に楽園といえるのではないだろうか。



ああ、たまにはのんびりとこんな場所で本とか読みたいなー。



座って柔らかい草の感触を楽しみながら今現在の願望を口にする。


最近忙しかったし、無理もない。

けれど私の夢だというに望んだ雑誌や本が出てくる気配はなく、ちぇっと悪態をついた。



そういえばここなんだかゲームの中の農場の風景に似ている、もしかしたら昨日の記憶(そこ)からとった風景だろうか。





ゆっくりと流れる雲をぼんやりと見つめながら私は大きく息を吐いた。


ああ・・・・・平和だなぁ。このままここに住みたい・・・・。





と、のんきに眺めていたら突然ピリッとした感覚が頬をかすめた。



なんだ静電気?







その時だった。




横から急にヴォンと鈍い音が鳴った・・・・と思えば白い大きな物体が横切る。

突然のことに私は思わすギャッと可愛くない声を出してしまった。



けたたましくそのまま私を目の前を横切り、あっという間に私を置いて走り去り白い大きな物体は森の方へと走り去っていった。。



ビビびっくりしたーー・・・・・・。



バックバックと大きな心臓の音を立てながら急な物体ⅹに対し呆気に取られていたままの私だったが少し落ち着いてからはっとする。




あ、あともう少しで私絶対事故ってた!ここ夢だけど!多分痛くないと思うけど!

な、なんだよあれ車?!・・・じゃないやよく見たら馬だ!なんて野郎だ!白馬のバー!カー!ヤー!・・・・・・・・んんん?!待ったっ待った!



だんだん小さくなるその馬に文句を言おうとしたのだが、颯爽とかけている馬に乗っている人物をみて驚く。

姿は小さくなっているが恐らく見間違いではないだろう。



・・・・・・よっしゃー、今回も私ついっていっちゃろうっと。



なぜかそれは私の中で考えることのことではなく大前提のことに思えた。


私はもう慣れっこのようにふわりと浮いて、その馬についていくことにした。


ぐんぐんとその馬に近づいていくと、やはりと私は確信した。




馬に乗っていたのは以前見た夢の中で出てきた庭園で助けた水色の髪の女性だった。

今回は着飾ったドレスではなく中世のヨーロッパの市民が着ているような少し薄汚れた格好をしていた。


そんな彼女は器用に手綱を引いている。


馬に颯爽と乗って手綱も捌けるなんてなんて格好いい。



と、彼女の前には誰かが乗っている。

体格からして男の人・・・・ということはきっと彼、アドルフに違いない。






ということはこれはもしかして夢の続きかな~珍しいなぁ、続きで夢に出てくるなんて。

でもこれってさぁつまり・・・そういうことだよね?


彼氏のいない私にだって流石にピンとくる。




2人とももしかしてお馬でデート?この時代でいうドライブってとことかな~・・・くふふふ。


口にすれば、自分が彼らに出会う前の桃色キュンキュンな想像・・・という名の妄想をあれこれして次第に私の顔がニヤニヤしてくるのがわかる。

だってさお似合いだな~って思ってた2人がさ、くっつくなんて話し誰でも嬉しいじゃないの。


きっとお見合いの仲人してるおばちゃんとか絶対今の心境だし。

ほらぁ、私の見立て通りでいい人だったでしょ?あなた達本当にお似合いよ!みたいな感じ。



すっごい今私にやける~・・・・・・・・・ってもしかして今現実の私は寝ながらにやついているんだろうか・・・・・・やだ、自分がキモイ。




首を振って妄想を打ち切ると再び2人に目を向けるが・・・・・駄目だどうしてもにやける。

自分の事のように嬉しくなる。


だって知っている2人がいつの間にか良い感じにデートする仲だって思ったら誰だってにやけるでしょう?うん、絶対仕方ない。






いやぁきっとロマンチック・・・・・・・・・ん?


ようやく馬の横についてそう呑気に言っていたがすぐにそんな甘い状況ではないことに今更ながら気づく。






なんで女性の方が遠めからでも分かったのか。

普通は男の方が後ろで女性が前に乗るというのが当たり前の光景になるはずなのに。



少し考えればすぐ分かることだったはずなのに。







私のバカ!変に気が緩んでなんですぐに気が付かなかったんだ!









そこにいたのは楽しそうな様子の彼らではなく必死になって涙をこらえる彼女と苦しそうに息を浅く吐きながら胸からかけて服を血まみれで汚すアドルフの姿だったからだ。



真っ青な顔の彼に最悪なこと(彼の死)が過り私はゾッとして同時に心臓が嫌な音を立てた。



心配になってふわりと飛んで馬の横についた私は彼のぐったりしている状態と彼女の状態を捉える。



重症な彼をなんとか懸命に支えながら彼女は手綱を引いていた。

どうやら彼女には怪我はないようだが酷く顔色が悪い。


女性が男性を支える等決してできるわけがない。

それが出来るのは彼がどこかで気を完全に失わないよう意識を保っているためだと思う。


まだ彼は死んでないことにほっとしながらも私は2人についていく。


が、彼の胸から止まることはなく血が流れ続け彼女の手や服馬の毛までも赤く染まっている。

出血量を考えるといつ彼が意識を手放してもおかしくない状態だった。



それなのに彼女は手綱を引かない。


野原から今度は森の中へと進んでいくが、彼女は周りの障害など全く気にも留めずただ速度を変えず手綱を巧みに操っていた。

必死に手綱を握りしめながら時折後ろを振り返る彼女をみるに何かに追われている様子だと理解する。焦りに満ちた顔で森の中をかけていく。




前触れもなく私の前に現れたから驚いたが、追われていたから何か目くらましのような魔法を使ったのかもしれない。


その可能性を考えながら私も後ろを振り返る。

確かに少数の()()()こっちに迫っているのがわかる。

何が、とまでは分からないがあの黒い靄の感じを微かにだが感じ取ったからだ。

どうやら私は悪意のあるものには黒い靄が出て見えわかる範囲では感じることが出来るらしい。




流石夢、分かりやすい設定だ。



ともかく徐々に追いついて来ているので何か手を打たないといけない。

そう思った私は、後ろに手をかざして考える。広範囲で目くらまし出来彼の血をも隠せる方法・・・・。



魔法のイメージが固まる。

彼女の後ろに行き手を後ろにかざす。




濃霧(ディープミスト)! 


更に


豪雨(ヘビーレイン)


もう少しで彼女の姿が捉えられそうになる前に彼女の後ろから一気に濃い霧が漂い覆い始め、そしてその頭上には激しい雷雨と主に雨が降り始めた。


一気に広まった濃い霧に戸惑った様子を感じたのでどうやら作戦はうまくいったと思って良いだろう。



かくして私の作戦はうまくいきその後追手がやってくることはなかった。












馬の脚で大分走って、彼女は追ってから巻いたことでようやく速度を緩めた。

ついた先は森を抜け山の中、位置は多分中腹当たりではないだろうか。



彼女はほっと息を吐きながら今度はしきりに周りを見渡した。


「っ・・・・あ、あった。あそこなら・・・・。」


何かを見つけたらしく彼女はそこへ馬を歩かせる。

勿論私もふわふわついていく。


彼女が見つけたのは大きな洞穴だった。

みるから奥が深そうな洞穴で馬に乗って進んでも難なく歩けるほどの高さがある。

ある程度奥に進んでから彼女は慎重に馬から降りると馬が膝を折る。


彼を下すのを手伝っているらしい。

なんと賢い馬だろうか、感動する。


彼女は彼を引きずるように下すとすぐに彼の心音を確かめるように耳に胸を当てた。

すぐ起き上がった馬も心配そうに彼を見つめている。


少しほっとした顔になったがすぐに彼女は行動を移した。

近くに何か石のようなものを置き何か唱えるとぼっと火が付く。どうやら焚き火らしい。


彼の服を脱がし、馬に取り付けてあった荷物を持ってくる。

中から何かの液体が入った瓶と薬草のようなもの、そしてすり鉢が見える。 

彼女は自分のドレスを割いてその布にとろりとした液体で濡らしていく。

それを彼のえぐれている右胸に宛てた。

痛みでアドルフがほんの少し呻いたがほとんど動けないのかそれだけだった。彼女は手が血に染まっても手を休めなかった。


何度か同じことをしてようやく少し止血が出来たのか先程よりかは赤く染まることはなくなり、瓶の中身が空になった頃、彼女はその空瓶をもって奥に走っていく。

少しして彼女は水の入った瓶を持ってきて置いてあった葉をちぎりすり鉢で擦り始めた。


彼女の的確な様子を見るに医術の心得をもっていることが分かる。


彼女はアドルフに声をかけながら、手を動かす。

彼が死なないように繋ぎとめているように聞こえる言葉の中に、何度もごめんなさいという言葉がでてきた。




泣きながら手を休めずずっと彼女は彼の名前を言いながら謝っていた。




貴方を好きになってごめんなさい。


アドルフ様と想いがつながって一緒になりたいなんて身分が違うのに、少しでも夢見てごめんなさい。


ごめんなさい。



・・・・・・ごめんなさい。


死なないでアドルフ様、どうか死なないで。










それを私は何もできず静かにただただ眺めていた。

3連休なので続けて投稿なんとかできました。

読んできただきありがとうございます。

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