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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを楽しみましょう㉚)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は8/19(金)投稿予定です。職場の家族がかかってしまうなどそろそろ、こんなど田舎でもコロナ感染身近になりつつあります。もう普段通り過ごしてなってしまったらそれは仕方ないと割り切ってますが、なったときはどうかあまりしんどくない発症でお願いしたいな・・・と祈る毎日です。

皆様も疲れやすい気候天候ですがどうかご自愛ください。



レイと別れた後、アイルとティリエスは暫く何か手掛かりはないか探してみたが、特に怪しい物は見つけられず離宮へと戻っていった。

怪しい物を見つけるなら、きっと第二夫人へ潜り込むのが一番だと思うがそれは危険だとアイルもティリエスも何も言わずとも互いにそれは思っていたので、それ以上は深追いはせず離宮へと戻って来ていた。


普段以上に歩いていたティリエスは仮の自室へ帰って来るなり、ソファに座るといつもはしないだらけた座り方をして、大きく息を吐いた。


そんなティリエスにアイルは苦笑しながらも持っていた本を机の上に置いた。

流石いつも身体を鍛えているだけあって疲れを感じさせず涼しい顔のまま立っているアイルに疲れた表情で見ていたティリエスは疲れから一つ小さく欠伸をすれば、アイルはそんなティリエスに小さく笑う。


「結構歩くことになっちゃったね、ごめんねティリエス大丈夫かい?」

「見ての通りです、疲れましたけれど大丈夫ですわお兄様。でも、あれだけお兄様を連れ回したけれど情報が得られなかったのは・・・なんだか申し訳ないですわ。」


あの後も行き先はお兄様が決めるのではなく、私が気になる場所を探索する方法で場内を歩き回っていた。

殆どが思い付きと人間の三大欲求の一つでもある食欲が刺激されたこともあり、結局行った場所は喉が渇いたので飲料が沢山保管されている保管庫だったり、ちょっと歩いたら熱くなってきたので涼し気な場所にちょこんと咲いている花壇を眺めたり、あとはそう、ちょっとお腹が空いたので食糧庫に行って少々果物を分けてもらったりと自由気ままにぶらぶらしただけだった。


勿論その他にもちょっと怪しいなと思った場所に行ったけど、唯の庭園作業の行う道具が閉まってあるだけで結局情報といえばお兄様が持ってきてくれた能力についての書物、この世界に存在している内容が書かれている錬金アイテムついての書物だけだ。


何か行く先々でお兄様は何か勤めている使用人に声をかけたりしていたみたいだけど、あまり手掛かりはなかったみたいだし・・・う~ん、本当にどうしたものか。


私が深刻そうな顔をしていためか、アイルは心配そうな目を向け優しい手つきで私の頭を撫でた。


「そんなことはないよ、ティリエスは僕の力になっているよ。」


その言葉にティリエスはパッと顔を上げ、アイルを見つめる。


「本当ですか?でも、私霊獣を盗んでいった犯人を見つけることはできませんでしたし、それにお兄様が助けたい方の何か突破口を見つけたわけでもありませんし・・・。」

「・・・・確かにそう、ティリエスの言う通りだ。でも君と一緒に歩いて色々わかったこともあるからそんなに悲しまないで欲しい。それに、君に犯人を見つけて欲しいとかあの子を君が助け出してほしいなんてこと僕はそんな事は思っていないんだ。君を危険な事に巻き込んでまで解決して欲しいとは思っていないから。ただ、君の何か思う事が切っ掛けで何か事が進む可能性があるから・・・こうして疲れるまで探してくれたんだから。」


そう優しく言われ、ティリエスは少しだけ喜ぶ。

けれどアイルがあんな手紙を書くほどその人を早く助けたいと思っている事を知っている手前、素直には喜べない。


そんなティリエスの心情を悟ってか、アイルは大きく一度深呼吸をするとあることをし始めた。

「あ・・・。」

ティリエスは気づいて思わず声を漏らす。


アイルの瞳が輝いている・・・彼が能力を使っているその証の瞳に見つめられ、ティリエスはジッと彼の瞳を見つめると・・・ふっと瞳の色の輝きが消え、普段の瞳に戻った彼はもう一度ふっと息を吐いた。


「・・・身体は疲れないけど、こう何度も能力を使うと魔力を持っていかれるからちょっと疲れるね。」

「何か変わりましたか?」


ティリエスはアイルが使い良い方向へ向いたのかどうか視るために能力を使ったのかと思いそう尋ねるとアイルは優しく微笑んだままティリエスに首を横に振る。


「ううん、それよりティリエスの事を視ていたんだよ。」

「私をですか?」

思ってもみなかったティリエスは驚いてアイルを見る。


「手伝ってくれたお礼に・・・と思ってね。君にとって良い兆しとなる方向や物がないか視てみたんだけど・・・これ。」

アイルはそう言って、あの能力について書かれた書物を片手で持ってティリエスに掲げて見せる。

それをアイルは手渡す。


「この書物が君にとって良い兆しになる物だったみたい。君に反応して強く輝いていたよ。」

「これが・・・。」

「僕にはそれがどう関わるのかそこまでは分からないけど、きっと君にとっては何か良いことに繋がると思う。・・・・少し小腹が空いたね、何かつまめるものを頼んでくるよ。」


そう言ってアイルは部屋から出ていき、ティリエスは持ったままのその本をジッと見つめる。

「この本が私にとって良いことに・・・か。」


そんなこと言ってもなー・・・どういう事なんだろう。


やる気なく何気なしにパラパラとめくるティリエスは流れる文字を暫く見つめていたが、最後の項目へ差し掛かり手を止めるとふとこの本の著者名に目が留まる。



「アルベルタ=フェルザ・D・ルーザッファ・・・ご先祖様だわ。」

数行だけ言葉か書かれた最後に自分のご先祖の名前を見つけ、ティリエスは気だるげな様子から一変し姿勢を正してその名前をジッと食い入るように見る。


成程、道理で・・・読めない箇所が出来ても仕方ないはずだ。


年季の入った代物だとは思っていたが、何百年と経っている書物が存在しているのは流石王城が管理している図書館ということかと感心しながら、自分の家の祖であるアルベルタ直筆であろうその書かれていることに目を走らせた。






薄れゆく記憶を呼びおこし再び同じ地を踏めると信じてこれを書き残した。

見極め判断が出来る者よ。

その瞳を――て己の―と――。

 

辛うじて読めたその文字を読み終えたティリエスはジッとその言葉を見つめる。

たったこれだけしか書かれていないがティリエスにはこれが何を意味するのかすぐに理解した。


「・・・鑑定しろって事なのかしら?」


ティリエスはポツリと一言漏らす。

見極め判断する、瞳。


それはつまり、鑑定の瞳を持つ私に向けての言葉だ。

ご先祖様はどうしてこれを残したのだろうか・・・しかも、私のような存在が必ずこの本を探し当てると分かっての言葉だ。

・・・・何を見させようというのだろうか・・・というか。


これを見てしまったら私、どうなるんだ?

何かのフラグを立ててしまった様に思え、ティリエスは思わずゴクリ・・・と生唾を飲み込む。


見なかった事にする?でも、お兄様はこれが私にとって良い物だというし・・・・・う~~~~ん。


「どないしたん?お嬢はん。」

唸りながら随分悩んでいるとホルアクティが心配そうに自分を見つめてきたのでホルアクティを見やる。

「これを本当の意味で見るには能力を使わないといけなくて、どうしようか悩んでいるんですよ。」

「もしかして、皆に隠してる奴なん?」

「ホルアクティ・・・貴方どうしてその事。」

「そら知ってるで。お嬢はんとワイは繋がっているやん、最初から分かってたで。でも、お嬢はんはそれを隠したいんやろ?それも知ってるで。」


ホルアクティはつぶらな瞳でティリエスを見つめていたが、飛んで本の上に乗る。


「ワイからすれば強い事は悪いことやないからお嬢はんがどうして隠したがるのかようわからん。けど、お嬢はんがなんか嫌言うんならこの本ワイが捨ててくるで。」

「ホルアクティ・・・。」

「でも、どんなお嬢はんでも皆普段通りやと思うで。そりゃ、ちょっとは知恵や力を借りに来るかもしれんけど、でもそんなの今までと一緒や。なんも変わらん。」

「・・・・・そうかもしれませんわね。」


隠したいと思うのは面倒ごとに巻き込まれるのが嫌だから・・・それだけじゃない。

自分の気持ちだからよく分かっている。

どうして力を隠したい一番の理由は・・・平凡であればきっと普通の幸せという物が逃げていかないとそう思っている節が自分にあるからだ。


前の私は両親のいない私の人生は充実もしていたが、同時に羨んでもいた。

最初から家族がいる私の人生。

それを私は私の力を見せることで壊したくなかったから。


だからこうして躊躇している、この先もきっと私は独り躊躇し続けてしまうだろう・・・でも。


「逃げてもきっと逃げられない事も起こるわ。それに、事前に知ることで選択が広がることもある。」

ジッとティリエスはホルアクティを見つめる。


「見るわ。ホルアクティ、そこを退いてもらえますか?」


そう言うと彼は私の意思が固いと分かると、本から降りる。

ホルアクティが離れたのを見てティリエスは一度目を閉じ、そして大きく目を見開いた。


「・・・・【鑑定】。」

ティリエスは小さくそう呟いて、鑑定の瞳で本を見つめた。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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