これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーを楽しみましょう㉕)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は8/5(金)投稿予定です。いつもイイネありがとうございます。
レイの言葉が決定打となり、話し合った結果ティリエス達は離宮を出て行動へ移すことにした。
やだなぁ、目立ちたくないんだけどな・・・行きたくないなぁ。
ティリエスが内心嫌がっていくことを拒んでいたが結局2人に押し切られる形で3人と霊獣1匹は現在王城内の貴族達関係者が自由に出入りできるエリアにある長い廊下を歩いていた。
ホルアクティがこっそり持ってきていたお菓子を美味しそうに頬張っている傍で3人はこれからどうするのかを考える。
「離宮から出てはみましたけど、これからどうしましょうか?」
ホルアクティを肩に乗せたままとりあえず王城へ着いたティリエスは2人にそう聞くとアイルは一度立ち止まってじっと建物を見渡す。
何か探しているのかしら・・・いや、これは。
彼の瞳がいつもより不自然に光を帯びていることが分かり、ティリエスは彼が今自分の能力を使っていることがわかった。
彼の邪魔にならないよう黙って事を見守っているとアイルの瞳は光が消え、いつもの瞳の輝きへ戻るとアイルは長く息を吐いた。
「・・・・・昨日見た通りだ。2つが渦巻いていて何をすれば良いのか判断しにくい。いつもなら
近くに行けばもっと分かりやすくなるのに分からないな・・・。」
アイルが普段どんなふうに見えているのか想像でしか理解できないティリエスであったが、今回がどれだけ異様なのかは彼の表情をみて理解した。
そういえば、お兄様が能力を使うのを見るの初めてだったなとティリエスは先ほどの瞳を思い出す。
まるでトランス状態に入っているようなアイルの様子、更に自身で輝く光を帯びた瞳はオーロラの瞳にはとても神秘的に見える・・・と、ここでふとティリエスはあることを思い出す。
そういえば偽妖精の頃から今まで何気なしに使っていたから気にも留めてなかったけど私が鑑定の眼で色々なものをみている時もあんな風に瞳が変化するよね?
もしかしてあれって・・・、単なる技量じゃなくてこの世界でいうと私の鑑定も能力なんじゃない?
ティリエスはここで重要なことを思い至りティリエスは誰にも分からないようにそっと右の目を指で触る。自分が生れ落ちた頃からイレギュラー過ぎて自分の力を隠してきたティリエスは比較したことがなかった。結果誰にも自分本来の力を把握されることはなく過ごせていたが、それが逆にこの世界の魔法、技量、そして能力の存在をティリエスの中であやふやにしてしまい、加え彼女自身深くそれらを知ろうとしなかった故に自身の能力が転生したために備わったものだと思い込みそこまで思い至ることがなかったのだ。
ティリエスは難しい顔をして唸る。
そんなティリエスの表情を見てアイルは真剣に考えてくれているんだと勘違いをしている事にも気が付かずティリエスは自分の知識欲求が膨らんでいく。
どうしよう・・・・外出はしているが正直こんな緊張状態の中思ったらだめなんだろうけど。
・・・滅茶苦茶、今の私の鑑定の眼について調べたくなってきた。
ティリエスは何故自分がこの瞳を持っているのか気になりだし、どうにかして調べたい。そんなことを思っているとレイに声をかけられティリエスは現実に戻りレイ達の方へ顔を向けた。
「お嬢様何か気になる事でも?」
「え?」
レイの言葉に一瞬心臓が跳ね上がる。
まさか今の状態をどうにかするのが良いのか考えるのをそっちのけで自分の気になったことを考えていたなんて言えるわけがない。
何と答えようか考えているとアイルがティリエスの頭にポンっと手を置く。
「大丈夫だよティリエス、城の中は広いから色んな場所を行こうと思っているし難しく考えなくていいんだ。何処か気になっている場所はない?」
アイルにそう問われ、ティリエスは何と答えるべきか悩んだが彼に嘘をつきたくないティリエスは心の中では観念しながら口を開く。
「実は、図書館があれば行ってみたいなぁ・・・なんて。」
彼らが考えていた候補に入っていなかったその場所に2人は目をぱちくりさせる。
「僕の中でそこへ行く選択はなかったけど、どうして図書館?」
「えぇと・・・何か気になったからというのもありますし。闇雲に動くのではなくまずは何か糸口となる情報がもしかしたら本で見つかるかもしれませんし。少しでも良いので探してみませんか?」
「まぁ・・・確かに、今はどうすれば良いのか分からないしそれも良いのかもしれないね。」
アイルの言葉で図書館へいくことが決まったティリエス達が歩き出そうとした際、アイルは2人を呼び止めた。
「ティリエス、こっちからの方が近道だから右に曲がろう。」
「そうなのですか?」
初めての王城にティリエスは少々半信半疑だったが、アイルの後をついていくように進むと目の前に図書館の文字がかけられた扉が目の前に表れた。
「本当ですわ、お兄様よくご存じでしたね。」
「あぁ、ここには昔何度も通ったことがあるんだよ。だからこの道はよく覚えているんだ。」
「そうだったんですね、では・・・早速中へ入りましょうか。」
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