これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう㉝)
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/6(月)投稿予定です。
いつもいいねや評価ありがとうございます。そろそろ今回の章の序盤が終わり次回から今回の話の中盤に入る予定です。(本当に長いなぁと書いてる本人が一番感じてます。)
「・・・へ?稽古の見学を、ですか?」
翌朝、遅めの朝食をしていたティリエスは目の前に居るラディンとグリップ、そしてヴォル3人に頼まれた内容を聞いて目を丸くさせる。
因みに騎士達の訓練は明日からであり、今は殆どの人間が昨日騒ぎすぎ飲みすぎで二日酔いと戦っている真っ最中らしい。
美味い酒にうまい料理に誰もがタガを外れてしまったのが原因である。
だからこうなることを予見していたお母様率いる薬剤師たち女性陣が朝から忙しそうにして酔い覚ましのお薬を作りつつ配って看病している訳なのだが・・・・。
そういえばこの3人はケロッとしてるな。
ジッと見つめているとグリップがその視線の意味になんとなく気が付き、伸びある声を1つ言うとスッと右手挙手をする。
「ティリエスちゃん俺はザルだから基本酔わないんだよ。」
「・・・あぁ、私はこれでも総団長だから元々セーブしているんだよ。」
「因みに俺は下戸だから元々飲んでない。」
グリップに倣って2人とも順に挙手しながら酔わなかった理由を教えてくれる。
ティリエスは仲が良いなと思いながら納得するがふとどうしてそんなに見学を進めてくるのだろうかと不思議に思ったティリエスが3人を見ているとヴォルが観念したような困ったような表情をする。
「実は前回、ティリエス嬢が何気に教えた剣術とかのコツとか癖を指摘された騎士達がすごい速さで上達したのがきっかけなんですよ。それをみていた若い奴等がその経緯を聞きだしたみたいで、それでティリエス嬢に苦手分野を見てほしいと言ってきたんだよ。」
「え?」
思っても見なかった理由にティリエスは思わず声を漏らし、そういえばとすぐにその原因を思い出す。
そういえば教えるならと良かれと思って技量【指導者マスター】にしていたわ。
理解だけでも早く分かれば今後にいかせると思ってやったことだったけど予想斜め上をいってたわ・・・どうしよ?どうやって言い訳しよ?
「ティリエス嬢が困惑するのは無理もない。・・・彼らも全てを鵜呑みにしているわけではない。願掛けのようなものに近いもののようだ。君に大きく期待を寄せているわけじゃないから安心して欲しい。」
言い訳を考えている表情が困惑しているようにみえたのか、そんなティリエスにラディンはやんわりとした口調で彼らの期待に対して重圧を感じなくても良いと声をかける。
その言葉にグリップもまた同意する。
「そーそー。ただ、俺のような奴が教えるよりティリエスちゃんの方が分かりやすかったんだよ。それに野郎に教えてもらうよりかーわいい女の子に教えて応援して欲しいんだって。」
おちゃらけていうグリップにティリエスは虚を突かれて、自分の技量に対して何か勘付かれたわけではないのかと安心し笑みがこぼれた。
「応援ですか?フフ、そんなことをおっしゃって皆さん恋人がおられてたりしていますでしょう?」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・え?おられないんですか?」
急にグリップだけではなくヴォルまで怖いぐらい良い笑顔のまま何も喋らない2人にティリエスは察して笑うのを止める。
そんなやりとりにラディンが口を挟む。
「まぁ騎士に憧れている女性達もいるが、殆どが貴族の家を継ぐことはない男達が多いし、いざ結婚相手として考えられたら実際は結婚相手には無い部類らしい。」
「それは・・・そうなんですか?私にはその・・・そういうことはよくわかりませんが・・・。」
ほら・・・だってまだ、私子供ですし。
そう心の中で言い訳してティリエスは心の中に広がった苦い何かを飲み込んだ。
「まぁ、結婚してぇと思っている相手を探している奴は泣きたくなるような思いをしているけどさー「それは俺の事を言ってるのか?」俺は別に結婚に関して急いでないし。ベッドで寂しく枕を濡らしている事なんてないから安心していいよ?「俺はそこまで切実じゃない!」なんだよヴォル~別におまえのこと言ってねぇよ~・・・え?もしかして枕濡らしているの?」
グリップのあっけらかんと言った言葉に「してない!」とやけにむきになって言い返しているヴォルを無視し、ラディンはティリエスをじっと見つめる。
「まぁ、俺達のような騎士の結婚事情はおいて。どうだろうかティリエス嬢、アドルフ卿には許可を貰っているし少しの時間でも構わないから、見学の件考えてみてくれないか?」
「・・・・そうですね、本日レイに予定を確認して折をみて返事をしますわ。」
なんだかんだとこの方たちにはお世話になっているし、ちょっとぐらい手伝っても罰は当たらないだろうし。
・・・なんなら、女性のアプローチや贈り物とかアドバイスしましょうかしら・・・あれだけ切実に言うのを聞くと・・・ねぇ。
今丁度アロマ系でお母様達にも協力してもらっているし。あ!そうだ!蜜蝋はないけど木蝋とボディオイルで使ってたホホバオイルを使っていい香りのするアロマハンドクリームとか作ったものをちょっとした贈り物として紹介すればいい宣伝になるんじゃないなかな?アロマディフューザーはどうしても裕福層向けになるし、町娘さん達が木蝋を軟膏みたいに使っていたの見たことあるからきっと抵抗無く使ってくれそうだし。騎士の皆さんに先ずこれを売り込んでみようかなぁ?
もし評判につながればアロマの使ったものを生産してもっと売り込めば領内の利益につながるかもしれないし!うんそうしよう!
そう思いながらいまだ先ほどのグリップの言葉を真剣に否定しているヴォルの顔を見てティリエスはこっそりそんなことを思いながら内心ほくそ笑んで策略を練ったのだった。
因みにレイに確認を取ってもらったところここ数日は自由にしても予定に支障はないという事がわかり、数日間別指導しているアイル達に会えないことは勿論、結局今回も彼女の技量のおかげで上達していく騎士達がいた事により騎士達に自由時間は拘束され彼らに埋もれるように、様々な武術のイロハやコツを教えることになり体力限界まで付き合った結果、当分は教えることに遠慮したいとティリエスは終わった後、ひどくげんなりしながら思う羽目になることを本人はまだ知らない。
いつも読んでいただきありがとうございます。
裏設定;作中内でも書いていますがこの世界に生息している蜂は他国のみなので勿論主人公の国には蜂という生物は存在してません。
代わりに違う空想上の虫が存在し、花粉を食べる虫とその食べる虫を食べてくれる虫が存在し、その存在により食べている最中に花粉あたりにいるので受粉ができるという仕組みになっています。なので今回ハンドクリームの材料には木蝋が出てきています。主原料はウルシやハゼの木の実で木蝋は日本に馴染みある和蝋燭の材料の一つに当たります。でも木蝋も化粧品材料にもあります。なので西洋風な世界ですが蝋燭は実は和蝋燭の製法で作られています。