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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう㉛)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/1(水)投稿予定です。いつもいいねや評価ありがとうございます。




アイルとその後近況報告をし合っていると、私は今回の会場のセッティングを任せていた者から相談事で呼ばれ、アイルはラディンおじ様から声がかかり私達はここでお開きにし別れたのだった。


開催時間は12時。あと2時間ほどで約束の時間だが・・・、とここでふとある人物の存在を思い出す。

ギリアに引っ張られるように連れてかれたカレドだ。


あの様子から少しは立ち直っていれば良いけど・・・。


「お嬢様、申し訳ありません。」

「いえ、どうかしたんですか?・・・見る限り会場は問題ないように思いますが・・・?」

そんな事を思いながら執事の言葉に返事をする。

完璧なセッティングをぐるりと見渡しながら何が問題なのか?

「実は、確認しましたらメドイド家の方の数が30人程多いようなのです。」

「え?」

思ってもみなかった相談事にティリエスもまた驚く。


「旦那様が先ほど聞いたようなんですが、今回どうしても遠征に参加したい新人の方々も半ば無理にお願いした者達がおられるようで・・・。勿論、普通の対応では問題ないですし、人数に至っては旦那様も了解済みです。あと、メドイド様も招待人数の件は彼らも了承している事なのでその者達は不参加で問題ないというお言葉も貰ってはいるんですが・・・。無礼で承知な事なんですが、私はその彼らたちも何とか参加できるようにできないか、相談したく―――。」


成程、確かに勝手な判断で席を増やすことは彼には出来ないことだ。

それに基本、招待状の無い会を無理やり参加することは貴族が関わっている会の場合出来ない。

それを承知で彼らも来たんだろうけど・・・でも、どうしてここに来たかったんだろうか?


もしかしてギリアのご飯が目当てか?・・・招待状なく参加したいという旨もないしこちらが慌てる事はない・・・でも。


ティリエスは、執事に目を向ける。


「テーブル席を増やすことって可能かしら?」

「!では!」

「えぇ、私は気にしてませんので問題ありませんし、逆に共に会を参加させることが出来なかった方という風に思うのも嫌ですわ。ギリアも十分に食材も用意しているでしょうし・・・あとはカレドさんの了解さえあれば・・・でも。」


人数がさらに増えると知ったら先ほどよりも気が落ちこんでしまうのでは?という心配も出てくる。

さて、彼にはどう説明したらよいものか・・・。


「あ。カレド・・・さん?」

考えていた丁度その時、カレドの姿が見える。

カレドも気が付いて私達の方へと近づいてきたが・・・何か様子が変な事にティリエスは首を傾げる。


なんだか・・・妙に顔が真っ赤ではないか?

カレドの肌の色は日に焼けているので分かりにくいが、顔を見るとどうも顔が赤い。

心なしか足もふら付いているような・・・もしかして、酔ってる?

「あの・・・カレドさん?」

「あ!あぁ・・・ティリエス嬢。」

「大丈夫ですか?何か様子が・・・。」


変だ、と言おうとしたら急にバシンッ!とカレドが自分の両頬を叩いたので、ティリエスも隣にいた従者もびっくりして固まる。

カレドも頬を叩いたままの姿で十数秒だろうか、固まったまま何も言わないでいるとゆっくりと顔をあげると、そこには迷いの眼がない堂々として胸を張った男が其処に居た。


・・・一瞬だけ自棄になって酔っぱらっていたように見えたけど違ったみたい。

この2時間でいい意味で彼自身何かがあったようだ。

ティリエスはそんな彼に口を開く。


「カレドさん、実は今お客人の参加人数が30ほど増えてしまいそうなのだけれども、宜しいでしょうか?」

そう言うと、2時間前では怖気づいていたはずの彼は今逆に力強く頷いて笑った。

「俺は、構わない。多くの人に飲んでもらいたから、負担が無ければテーブルを用意してくれ。」

「・・・えぇっ!勿論大丈夫ですわ!」


元気よくティリエスは答え早速テーブルを用意する手筈を隣にいた執事に伝えたのだった。








「―――――では、今日は大いに楽しみ、そしてこの会が皆にとって新しい発展の起点となるよう多く語らってほしいと思う。では・・・乾杯!」

『乾杯!』

そして、2時間後と少し――。


準備も滞りなく終わり今回の招待客も無事に我が屋敷に着くと、領主である父の挨拶から品評会は始まった。

初めは、カレドの説明から入り酒を嗜むことが出来る大人達は彼の説明を聞きながら試飲をしてもらい一番気に入った物上位3位まで書かれた木札をエール棚の傍に置いてある木箱の中に入れることになっている。

それさえ済めば後は無礼講となっているので大いに飲んで食べて貰うようにしてもらう事となっている。


でも、流石商人の方達。彼の作った代物に対し流通の可能性を大いに見出したようでカレドに質問してはどうやら様々な議論をしているようで、彼が商人達に気圧されないように隣で父アドルフがついているが、カレド自身堂々としているのでそれは心配ないようだった。


私は揚げたてのエビを1つそのまま手づかみで取り食べる。

う~ん・・・泥臭くなく身はふっくらで外側はパリパリと程よい塩加減・・・流石ギリア良い仕事をしてますわ。

満足しながら今回の紹介の品でもある麦茶を一口飲んで口の中の油を洗い流しながらティリエスは満足げに笑っていると、隣に誰か座って来た。

「ラディンおじ様!もう投票されたのですか?」

そこには、様々な料理をとった皿にエールの樽コップを置きながら座るラディンに声を掛けるとラディンは優しく微笑む。


「あぁ、正直甲乙つけがたいものだったが決めて来たよ。それはそうとありがとうティリエス嬢、君が機転を利かせて招待してない部下達の席まで用意してくれたんだろう?おかげて皆楽しめている、ありがとう。」

そう言って、少し離れた席で若い青年たちが楽し気に飲み交わしているのが見えティリエスもまた微笑む。

「いいえ、こういう場所は皆で騒ぐのが一番楽しいですもの。楽しんで頂けて良かったですわ。でも、今回はどうしてこんなに多かったんでしょう?」

「あぁ・・・その事について明日少し時間を貰えないか?」

「え?私は構いませんが・・・。」


珍しいラディンの頼みごとにティリエスは内心少しだけ驚く・・・と、また誰かから声がかかりティリエスはそちらへ向く。

アイルが、大盛に様々な料理がのっている大皿を2皿それぞれの手に持ってやってくるのが見える。


・・・うん、もう驚かない!お兄様凄いバランス感覚凄いですわ!


その見慣れた光景に対し穏やかな気持ちでアイルを見ていると、ふとその後ろに誰かいるのが見えた。

「あら、お兄様・・・その方はどちら様?」

「あぁ、僕も先ほどあったばかりなんだ、君名前は言えるね?さっき言った通りにしてみて。」


アイルがそう言うとおずおずと出てきたその少年は私と同い年ぐらいのライラック色の髪と瞳を持ったた大人しそうな少年だった。

「は、初めまして・・・ぼ・・私は、イヨレと申します。」

そう言ってたどたどしく令息の礼を見せアイルはその姿に満足そうに微笑む。

「うん・・・初めてにしては上出来。ティリエス、さっきも自己紹介があったけどこの子はイヨレ。オーガさんに頼まれた例の子供だよ。」


え?この子が?

アイルの説明にティリエスはその男の子を見たのだった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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