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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう㉒)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は5/11(水)投稿予定です。誤字脱字こっそり教えてくださった名もなき妖精様ありがとうございます!


しれっとカレドを誤魔化したティリエスは、それから彼に今後についての話しを設ける日時やら何時頃エールら今回の新作ができるのか、それに向けて試飲会をどういう次回からどうしていくのか・・・等、諸々の予定まで決める頃にはあっという間に日が暮れてしまっていた。


結局彼は自分達が帰る間際まで試飲会を渋る様子を見せなかなか首を縦に振ろうとせず難色を示したので、最後はティリエスが折れるかたちで試飲会は小規模で行う事を約束し、加え麦茶というお茶のレシピの存在を教えると、彼もここが妥協点と理解したのか小規模ならと試飲会の約束を取り付けることが出来た。


生産者の一応の了解も得たのでティリエスとレイは、後日また改めて話しをして突き詰めていこうという約束をし、ちゃっかり麦茶も貰って帰った。



まぁ、前世の記憶を持って伝えた製法だし、何より彼自身仕事に責任感の強い人だから失敗なんて微塵にも思っていない。なので正直いうとお世話になっている近隣の貴族の方や当初より大きくなった商会の皆様も呼んで今回のこれらを宣伝してもらおうと目論んでいたのだ・・・ちっ、仕方ないがまぁ良しとしよう。遅かれ早かれオーガさんにロックオンされるだろうし、あの人もお酒嗜む人みたいだし。


・・・うんまぁ、前向きに捉えよう。


勿論その日の夕食時に今日何をしたのかから話しそして試飲会の事を両親に伝えると、それは良い考えだと両親は共に頷き、父の口から屋敷の広場を試飲会場に使って良いと快い返事もその場で貰ったのだった。


後、食後に出してもらった麦茶もこれから夏になる時期にもってこいだと両親に好評だったので過去の自分の飲んでいたもので喜んでいる両親を見てティリエスは上機嫌で麦茶を飲んだ。






エールが出来るまで約2週間、ラガーだと約1ヶ月かかるのでそれまでは特に自分が出来ることはないのでカレドに何かあれば連絡してもらうように言いまるっと任せたまま、ティリエスは屋敷の中で日々を過ごしていた。


勉強から息抜きや遊び、そしてポーションづくりなど様々なことをしている内に、いつの間にか3週間という時間が流れていた。


そんなある日の昼下がり―――。


ティリエスは自室で、自分の時間が出来たので精油の効能を纏めながら過ごしているとノックが聞こえティリエスは返事をしながら精油の小瓶が入った箱の蓋をし、ドアを開けるように伝える。


入ってきたのはアンだった。


「お嬢様、お手紙が届いておいでです。」

「アンありがとう、誰からかしら?」

「差出人はディオス様とメドイド伯爵のお坊ちゃまからでございます。」

「大叔父様とアイルお兄様から!」


差出人2人の名前にぱぁっと笑顔になったティリエスは、作法などそっちのけで椅子から飛び降りアンの前までたたっと走って近づく。

その様子に別段アンは注意することはなく穏やかに微笑んで銀の盆の上に置いてある手紙を2通分ティリエスの手前へと差し出すとティリエスは両手でその手紙を受け取った。


アンに再度お礼を言うと、アンはゆっくりとした動作で部屋を出ていく。それを見送って部屋のドアを閉めるとティリエスは机まで戻り書き綴っていた羊皮紙をどかし机に汚れはないか確認して机の上へと置いた。


ティリエスは椅子にきちんと座って2人の手紙に視線を落とす。


「大叔父様はきっとお返事の手紙・・・アイルお兄様は、最近は学園の行事でお忙しいと伺っていましたのにお手紙なんて・・・なんでしょうか?」


アイルお兄様から以前貰った手紙は2ヶ月前。私が洗礼式を終えた後に祝いの手紙を貰ったのが最後だった。

その最後の手紙に、学園のことで慌ただしくなるから手紙を書くのは難しいという謝罪の言葉が書かれていたのだ。

アイルお兄様の体つきが成長し大きくなるにつれ伯爵家の騎士としての特訓も厳しくなり、学園では同年代のこの国の王太子も在籍していることから、王太子から認められ護衛として側に仕えその延長戦で王太子の補佐として生徒会副会長を務めている事を以前から聞いて知っていたので、ティリエスはお礼の手紙とお兄様には返事が出来なくなることは気にしないようにと伝えていた。


「お返事は無用と書いて、あれからも嬉しい出来事を書いたお手紙を出していましたから気にされて送って来て下さったんでしょうか?それともお忙しいのがひと段落着いたのでしょうか?」


ティリエスは首を傾げながら独り言を言う。不思議に思いつつもちょうど自分から手紙を書こうと思っていたのでちょうど良いかと特に気に求めず、先に目についたディオスからの手紙から封蝋を切ってティリエスは手紙の内容に目を通す。



親愛なるティリエスへ


もうあっという間に初夏になりだんだん暑くなってくるが、いがか過ごしているだろうか?

王都は時折茹だるような暑さにまいって仕舞うこともあるから、故郷の川で自由な時間に涼んだあの頃が懐かしいと思うよ。後、相変わらず私は忙しいので休みを寄越せと王に直接言ってやった・・・まぁ結局は無理だったがな。





「ディオス大叔父様、忙しいようですけど元気そうで良かったですわ。・・・でも王様に文句言って大丈夫なんでしょうか??」

いつものように忙しい日々を送り、休みをもぎ取りたいといつもの愚痴から始まるその手紙の内容に私の頼んでいたものが数日遅れて届くことが書いてあった。


「試作品段階でもあるから不具合を感じる場合はお母様に相談しろ・・・か、でも数台同じものを送って来てくださるなんて、大叔父様気前が良いですわね。でも、毎日お仕事でお忙しいはずなのにどうしてこんなに早くして下さったのかしら?間に合わないかもと私の方が逆に諦めてましたのに・・・ん?追伸がありますわね。」





追伸

最近王城内ではどうやら悪い事を考えている人に王や特に王妃が頭を痛ませている。香りでリラックス出来、その香りで体にとって害のある悪いものから追い出し身を守ることが出来る様になればこれほど王妃達にとって喜ばしいことはないと私は思う。今回でもティリエスが考えた良いものができること、その日に会えることを私も楽しみにしている。王都に来る時は十分に気をつけて来なさい。

                            ディオス



ティリエスは読み終え、しばらく何も言わず一度窓から遠くを見つめる。

そして、先ほどの内容を何度も何度も頭の中でリフレインさせてそしてもう一度手に持っている手紙に目をやる



「ディオス大叔父様・・・。」


深刻な声を出し、手紙の差出人の名を呟いた後険しい顔でティリエスは顔を上げた。



王都ってやっぱり王様達が頭悩ますほど沢山悪い奴ら蔓延ってるんか・・・・王都に住んでる人からの情報だし間違いないのか・・・マジか。


やだ、王都マジ怖い。行かなきゃだめ?


ティリエスは最後の手紙の内容に震えたのだった。




裏設定;レイではなくアンが手紙を持ってきたのは以前、アイルの手紙をレイが勝手に捨てようとした為それ以降主人公宛の手紙はアンか他の人が手紙を持っていくことになりました。

因みに現場を目撃したのがアンであり、その時アンの対応にレイをたじたじさせたというちょっとした裏話があります。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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