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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜

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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう⑲)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は申し訳ありませんが諸事情で5/3(火)投稿予定となります。あと前回作中でビール表現をしていましたが、訂正してエールへと用語変更しています。(痛恨ミスです!すいません!!)


そうして、普段通り過ごしながら使う薬草類と遮光びんなど必要な材料と道具を準備し最初に訪れてから4日後――――。


両親に再度ガーデル村へ訪れると話しレイと共に向かえば、既に村人たちが出迎えておりティリエスは馬車から降りてすぐに彼らの元へと向かった。


「すみません、お待たせしてしまいました。」

「いいえ、ティリエスお嬢様。よくぞまた来てくださいました。道中は問題ありませんでしたかの。」


ティリエスの言葉に村長はゆっくりとお辞儀をしながらティリエスの身体を労わる。

ティリエスはその言葉に勿論大丈夫だったと村長たちに答えれば、皆誰もが顔を綻ばせる。


「ではティリエス様ついて早々悪いが早速行くぞ。俺について来てくれ。」


和やかなムードに包まれていた中、痺れを切らせたようにそう言う村長の息子カレドの言葉でティリエスは頷く。


彼が急かすのも無理はない。

実は彼にエールの配合や材料等を教えて試しに仕込んだものを今日、ともに確認する約束をしているのだ。

村長の目に少し申し訳ない色が見えたがティリエスは微笑んで問題ない事をアピールすると村長はほっと胸を撫でおろす。


以前に息子であるカレドさんは、初対面の私というか地位の上である貴族に砕けた物言いをしている事にあまり動揺しなさそうな村長さんの穏やかな表情をギョっとさせ怒らせたので、彼はもしかしたら世間では問題児という部類になるかもしれないが、ティリエス自身は形式ではないし別に何も思う事はないので彼の口調はそのままで構わないと言っている。


確かに厳格な貴族だと下手したら問答無用で鞭打ちするなんて聞いたことがあるし、村長さんが心配して怒って注意するのも無理はないが、彼はそんな馬鹿な人間じゃないと思うんだけどなぁ。

多分、本音を言っても良い人間と駄目な人間と判ってて変えているんだと思うんだよね。


大体、自分の領地に住んでくれている人を鞭打ち?そんな貴族の神経の方が私理解出来んわ、本当貴族怖いなぁもう。


あとカレドさん、申し訳ないけど私はエールの味の確認するのはお母様に止められているから香りや色合いしか見れないのでごめんね?

昔吞んでいたものに似ているのか確認するぐらいしか出来ないのでその辺りはレイに頼むしかないんだけど・・・好みもあるしどうなるかな。

まぁ兎に角先ずは自分達の事をしていこう、時間も限られているし。


ティリエスはそんなことを考えながらカレドに案内され工房の敷地内に入った途端、大麦の焙煎している香ばしい匂いがして、ティリエスは思わず大きく息を吸い込んだのと一緒に懐かしい気持ちにさせられた。


・・・あ。そうだ、あとで麦茶のこと話して作ってもらおうかな。

 

懐かしい匂いと共に良く飲んでいた飲み物の存在を思い出し、一つの企みを胸の内に秘めながらティリエス達は工房のある一角のレンガ式の倉庫の中へ案内されて中へと入って進んだ。


「わぁ・・・すごくいっぱいの木樽ですね。」


倉庫の中に足を踏み入れ最初に見たのは所狭しと並んだ沢山の木樽だった。

思わずその量にカレドの方を見る。


「これ全てエールなのですか?」

「あぁ、ここには今年の物が貯蔵してある。一つ一つがエールだ、エールは少し暖かい場所で寝かせると出来が良いからな。少し熱いと思うが大丈夫か?」

「えぇ、問題ありませんわ。」

「お嬢様、準備は出来てますのでいつでも可能です。」


いつも間にか机を用意し、その上に持参した植物類と道具類を並べていたレイは従者の恭しいお辞儀をしながらティリエスの指示を待つ。

その言葉にティリエスは一つ頷くとカレドに開けても良い樽の中を教えてもらう。

カレドはすぐに左側に置いてある木樽を叩いた。


「ここから向こうまでのものなら問題ない。」


そう言われ、ティリエスはまず一つ手前にある木樽の上にある蓋をレイに開けてもらい中を覗き込む。

中の確認は暗くて難しいけど、このエール独特の匂いとそして炭酸の抜けていく微かな音・・・うん、間違いなく空気中より濃度の高い二酸化炭素がある。


「レイ、それでは木樽の中の空気だけ閉じこめるように取り出して。」

「分かった。」

一言レイがそう言うと、レイは木樽の蓋の上から手をかざすとその掌から風を感じたと思えば、目視できるほどの魔力の塊が彼の手の中に集まる。

そしてそのままシュルシュルと樽の中へと入っていくとレイは手を動かす。

恐らく先ほどの魔力を操作しているのだろう。木樽の中を隅々まで行き渡らせたようでレイはそのまままるでひっぱり出すように手を摘まみ取り出すような動作を見せると、今度は蓋から彼の魔力が出てくるのが見えた。


全て取り出した後現れたのは大きなシャボン玉のような球状のものだった。

魔力で囲んで木樽の中の空気を閉じこめたそれを見てティリエスは次の指示を出す。


「レイ、ではその中を圧縮させて。」


そう言われて、レイは今度はふわふわ浮いているそれを手前に寄せ両手の間に固定すると、言われた通り魔力でその中に圧をかけ始める。

ググっと段々と小さくなっているそれをじっと見つめ、ティリエスは変化を待つ・・・とバスケットボール並みの大きさの球状がバレーボール並みに差し掛かった時中に透明な液体が出来ていくのが見え、ティリエスではなくカレドが驚きの声を上げた。


「・・・本当に液体が出来ている。」

正直半信半疑だった彼は、この光景を純粋に驚いていた。

彼の驚いている声を聞きつつもティリエスはレイが圧縮している物体から目を離すことせずじっと次の指示を出すタイミングを見計らう。


「・・・・レイ、圧縮を止めてそのまま維持してください。」

言われて、小さくなっていく球体の縮みが止まる。

テニスボールほどまで小さくなった球状の中にはたぷんっと液体が揺れているのが見えた。

ティリエスはそれを見てレイに成功の合図を示すとカレドも気になって近づく。


「これが・・・欲しかったもの。」

「えぇ、でも素手で触るのは危険ですからカレドさん触っちゃだめですよ。」

そう言うと、今正しく指で突こうとしていた手を上げカレドは降参したようなポーズをする。

レイは両手の圧力を維持しながら、余裕があるのか声を掛ける。

「このまま試みますか?」

「えぇ、ではまずはゼラニウムから。」


ティリエスはこの日の為に昨日摘んでいたゼラニウムを迷うことなく球体へ入れる。抵抗もなくのみ込んでいったゼラニウムを見れば一瞬球体が白くなったかと思えばだんだんとクリアになり、見ればゼラニウム自体の色素が抜け茶色へ変色し、逆に透明だった液体には花と同じピンク色に染まっていた。

「レイ、今度は圧縮を緩めてこの場と同じにして残った液体はこの遮光の小瓶に入れて。」

レイは今度は圧縮を緩めていけばどんどん液体が減っていく。

最期には魔力の層で作っていた球体が割れ手元にはキラキラと先ほどより濃いピンク色の液体がキラキラと粒子を纏いレイは茶色く干からびたゼラニウムをどかしたあとそのままそれを小瓶の中へと収めた。

収まりきってきっちり閉めた後、ティリエスとレイそしてカレドの3人は互いに顔を見合わせた。


「出来ちゃった・・・。」

「出来たな、本当に。」

「私が失敗するわけないでしょう。」


ドヤ顔のレイを見たあと、ティリエスは小瓶を取り上げて中身を見る。

色は正直、ここまで色づいたのは予想外だったけど・・・蓋を閉めても隙間から微かに漏れ出る香り・・・間違いない。

出来たんだ・・・精油が。


ティリエスは思わずニンマリと笑い、レイとカレドへと顔を向けた。


「レイ、成功ですわ。このまま次の物も作りましょう。」

そういうと、レイはニヤリと笑いティリエスの要望に応えたのだった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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