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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう⑭)

いつも読んでいただき有難うございます。次回4/20(水)投稿予定です。



実は薬のいろはを教わっているときにちょっと考えていたことがあるんだよね~。


翌朝、ティリエスは早馬に自分の手紙を渡すようレイに使いを頼んだあと図書室へとそのまま足を運んでいた。


図書室へ入ると久しぶりにやって来たせいか、自分にとって落ち着く本の匂いをいつもより強く感じとりながらティリエスは目的の本を探し始めた。

それに一人になる時間も久しぶりだ。

何時もならホルアクティが側にいるが、最近は弟達に興味を持ち一緒に遊んでいるらしい。


双子もホルアクティの事が好きみたいだし、後で私も弟達の所へ行こうっと。



ティリエスはその時のことを思い出して小さく笑った後、お目当ての本を取り出していく。


薬草図鑑と花図鑑それに薬全集。それと・・・あ、そうそう薬学器材一覧も。


目的の本を探し出したティリエスはいつもの机に置いて椅子に座るとあるものを探し始めた。


まぁ、おいおい考えていたことだったけど、つい勢いで大叔父様にもう手紙を出しちゃったから念のため確認しとかないと・・・。

えぇっと、確かこの薬学器材一覧の本の中に・・・あ、あったあったこれだ。


ティリエスは書物をパラパラとめくり、以前から調べて読み込んでいた箇所を見つけ出す。

めくるのを止め絵とともに記されていた内容に目を走らせる。


開発や研究機関にはよくあるその器材で主に薬物攪拌させ、さらに精密な効能データを調べるときに使うもの。


「魔力云々を抜きにしたら前の世界に似たものが多いからこの世界にもあるとは思っていたけど、すでに利用されているのは好都合でしたわね。」


テラヘルツ鉱石、別名振動石。


この鉱石は自ら特有の電磁波を放ち振動する性質を持っている石でこれは随分前から使われている薬学の器材である。使い方は単純でカットし平に磨いたこの石の上に更にフラスコや試験管などを固定して振動を伝わせるというものである。

そのままでも一定の振動数はあるものの時間を短縮にさせる為、一番魔力が伝わる雷属性の魔石をそばに置いて反応させて、更に振動数を高め多くの薬物の攪拌し解析データ収集を行なっているのである。


で、この振動石に目がいったわけそれは以前からある商品ができないかどうか考えていたからだった。



「よしよし、やっぱりあった。それならこの世界でもあれが作れる。」

前の世界では電気を通し超音波振動させその上に置いた水を微細な水滴を発生させて霧状にさせた機械。


そう、アロマディフューザーである。


この世界に電気を発生させて機械を動かすことはない、魔力が原動力という大前提だ。

でも、その大前提さえ問題なく利用できるのであれば作れるはずだ。実際にもう研究で使っているのだから後はどのような形に作っていくか議論するだけである。

なので、昨日の手紙にはそのこととこんな風なものを作りたいという図案も書いたのできっと大叔父様もなんとなくイメージしてもらえると思う。でも大叔父様も忙しいだろうしいつになるかなぁ。

できれば早くに返事が欲しい。最悪何ヶ月、それこそパーティーの後になったらと思うとティリエスは少し憂鬱になった。

なぜなら、このアロマディフューザーとなるものを今回王妃様の贈り物として渡したいと思っていたからだ。


だってさ、聞いてよ。花束とハンカチの贈り物がセオリーらしいけど、ハンカチなんか皆最高級の絹の布やらそこにあしらう刺繍は金糸を使ってそりゃもうハンカチの意味がない、ただの見て楽しむものだけになるらしい。

だから王妃様もその時受け取るだけで使わず後は箪笥の肥やしになっているのだとか。

本当何それ勿体無いじゃん、高い材質使ったのに箪笥の肥やしだなんてさ。


なので自分は何か実用性のあるものを渡そうと考えた結果これを王妃様に贈ろう!というふうに至った、というわけである。しかもこの振動石、東の公爵領で採掘されるものらしいけど他の使い道がなく安価なものらしい。

ざっと換算してもこっちの方が安くなる。実用性も兼ねてしかも安い物で作れる・・・何それ、いいじゃないか。


生き甲斐の為(ソシャゲ)のお金以外、幼少期からありとあらゆる節約をおこなっていたティリエスにとってその言葉は何よりも甘美な響きであった。


一瞬遠くを見ながらうっとりとしていたティリエスだったが我に返り一度咳払いをして気を取り直す。

「ま、まぁ他にも思ってのことだったから、安いだけじゃありませんのよ。えぇ本当に。」

誰かに弁解するかのようにティリエスは独り言を言うと、ささっと器材の本をしまいそして残りの3冊を持って立ち上がる。


「さ!じゃぁ早速レイの所に行きましょうか!」

そう言ってティリエスはずっしりと重たい本を抱えて部屋を後にしたのだった。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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