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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第4章〜解明編〜
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これが夢だというのならとっくの昔に目は覚めている(さぁ、愉快なパーティーに行く準備をしましょう⑫)

いつも読んでいただき有難うございます。次回は4/15(金)投稿予定です。こっそり誤字脱字など教えてくださる妖精様、有難うございます!そして、評価も有難うございます!



幼い頃から多くの書物や多くの薬師達が残し記した膨大な研究の資料に囲まれていたリリスは、いつもそれを読みながらこう思っていた。


何故実際につくったら書物のような思った以上の効能をうつせないのか? 

何故この方法が当たり前になったのか?本当はもっといい方法があるのではないか?

もっと良い薬を沢山作って運べば世界中で何かの病に苦しむ人々が治るのにどうして領地以上の薬を作ることをしないのか?


沢山の書物を読みながら幼なかったリリスが思った疑問は、領地で働く薬師である大人達にも医療全般に精通している両親や兄達でさえ、彼女の疑問を解くことは出来ず曖昧に笑うだけだった。


その事に対してその時は不思議に思いながらも、彼女は好奇心のまま学んでいけば何時か抱いた疑問が分かるかもしれないと、自分より年上の人達に囲まれながら勉強を、寝る間を惜しんで多くの薬を作り出し自分の技術を磨いていった。

そして月日が流れ自分が教える側にまわっても幼い頃の疑問は胸の中に留まったままだった。


逆に何故あの時自分より大人である人達が曖昧な笑みを浮かべたのか、学問に触れれば触れる程理解してしまった。


薬学の限界に――――。



薬師は治癒師に劣る。

何故なら多くの薬草を使用しても効果は治癒師の半分以下で薬は早くに劣化してしまうから市場に出回るのも難しいし作り手にとよって効能もばらつきが出てしまうのも問題だった。

第一、薬草がなければ作れない。

だから人により効能がある時に渡したくても拠点を転々とする事も出来ない。

その先に薬を必要とする人がいても薬草があり作れる環境が整っていなければ行っても意味がないからだ。

だから薬草のある領地にしか自分達を生かせない。


自分の身ひとつで治せる治癒師は特別だからお金がかかるし、殆どが貴族や教会に雇われている人が多い。

助けを必要としている人はもっと大勢いるはずだ。そんな人たちの為に薬を作り続けているのに、手渡す時には効果が抜けてしまったものを渡すしかない。


その現状にリリスは焦る気持ちが募っていた、けれど自分ではどうすることも出来ないと諦めている自分もいた。

多くの薬という可能性に魅入られた人々の挫折と諦めを自分もまた感じていたからだ。


そんな胸の内を秘めながらそれでも諦められない願いと共に薬を作り続けていた彼女にとってティリエスのある可能性の提案は、幼い頃から薬学に触れて来て心の中に積もり積もって重くなっていたリリスの疑問に対し、まるで光を当てられたようにリリスは心の中が明るくなるのが分かった。


自分の娘が自分の長年の疑問の答えを教えてくれたのだ。






―――――――――――――――――


――――――――――


―――――――


「新しい薬の材料を作ろうと思うの。」


休憩から戻って来て全員揃った女性達の前で開口一番リリスはそう言い、その言葉の意味に女性達は皆側に居た仲間と互いに顔を見合わせた。

そんな彼女達の少し動揺している様子をティリエスは母の横で黙って見つめながら、母の次の言葉を待つ。


「あ、あの奥様。」

と、エルフの女性の一人が徐に手を上げる。


「作るとおっしゃいますが、一体どのようなものを?何か薬草を改良される、とかでしょうか?」

「確かに、薬草の品種改良し効果を高めるというならそれが一番早いのかもしれないという議論は以前したことがありますけど・・・確かあれは奥様でも難しいということでしたはずなのでは?」


ティリタの言葉に誰もがその時のことを思い出しながら頷く。

リリスは勿論違うので首を横に振った。


「いいえ、今回は元々あるもので薬水の種類を作ろうと思うの。ティリエス。」

「はい!」


母の声にティリエスは頷き、前の机に4つの透明な試験管の中に其々の色が違う液体が入っているものを彼女達に見せる。


「これが作りたいもの、なんですね?」

「えぇそうよ。そして、もしかしたらこれからの薬学を大きく飛躍させる薬にとって必要な鍵になるかもしれないの。」


リリスのキッパリとそういった言葉と強い瞳の光に誰もが数秒沈黙したが、すぐに女性達は頷く。


「わかりました、先ず何から始めましょうか?」

「そうね、先ずはこの調べた内容を皆に見てもらいたいんだけどーーーー。」


リリスはその言葉ににっこりと笑みを浮かべながら説明を始めたのだった。




いつも読んでいただき有難うございます。

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