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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
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出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!㊴)

いつも読んでいただき有難うございます!次回は3/2(水)投稿予定です。

こっそり誤字脱字教えてくださいました妖精様、本当有難うございます!またご評価、イイねしてくださった皆様有難うございます!!



1週間前、家に突然やって来た彼女に勿論私は警戒しました。

最後彼女に会ったのは2年前。


あの頃と殆ど変わらない私達の見慣れた家の風景の中に似つかわしくない、貴族夫人が着るような派手な服装で現れた彼女をみてもうとっくに彼女は変わってしまったのだとはっきりそう感じながら彼女と対峙した。


綺麗に着飾った彼女は息子を呼ぶように言った。

初めは、息子を連れていこうとしているのかそう思ったが私の予想は外れ、彼女は私にこれを渡しながらこう言ってきた。


これは貴族の間で特別な人にしかもらえない水だ。

一時的に魔力が高まるからこれを儀式の日に飲ませれば、きっと霊獣を呼び寄せやすくなるだろう。

他の貴族の子供達もこうして霊獣を獲得しているのだ・・・とそう言って強く勧めてきたのだ。


『小さい頃霊獣を息子は欲しがっていたでしょう?離れていても私は母親だもの。あの頃の約束を守りたいのよ。』


そう言って彼女は笑った時、その顔にゾッとしながらも私は黙って耐えた。

幼い頃見たことがある、ある時の公開処刑を好奇心で見に行ったことがあったが、優雅に笑う目の前の彼女が幼い頃に見た囚人と同じ眼で私をみていたのだ。

断れば何をしでかすか分からないと直感で理解した私は何とか震える手を誤魔化し彼女に息子が飲みたいと言えば止めないが強制することはしないとそう言ってそれを預かった。


彼女はその言葉に満足そうにして息子に会うことなく出ていった。


「私は息子に彼女がやって来た事も預かったことも話さず、それは誰にも見付けないよう私の部屋に隠しました。正直捨てたかったけれど捨てるのもなんだか良くない気がしてそうしました。不安もありましたが息子もあそこは開けることはまずない・・・そう思って自分の仕事机の引き出しの奥に。箱の中に入れて私は隠しました。

あの子の儀式が終わってから教会に相談して捨ててもらおうと思っていたんです・・・そしたら昨日の朝、あの子が珍しく先に起きてて・・・その水を飲んでいるところと鉢合わせになりました。咄嗟にそれを息子から奪いましたが、息子は既に一口飲んでしまっていたんです。教会に相談するかどうか・・・迷いましたでも、飲んで暫く経っても息子の様子は変わらなかったのでその時は大丈夫だと・・・あの時もっと事の重大さを思っていれば、息子も公爵様のご息女様も巻き込まれることはなかった。」


話していて様々な感情が溢れそうになったんだろう、彼はギュッと拳を握りしめて泣き出しそうな顔で俯いた。

そんな彼の話を黙って聞いていたアドルフはティリエスの両耳を隠していた自分の手をどけ、ソファから立ち上がると俯いている彼の手をそっと手に取った。

弾かれて見上げたジャッカは自分の手を握ったアドルフを見つめる。

ジャッカの予想に反してアドルフの顔から自分への怒りは見えず、逆に穏やかに微笑んでいるのを見て驚いているとアドルフが口を開く。

「話してくれてありがとう、貴方は今この結果を悔やんでいるが・・・貴方は自分の息子を理不尽な貴族という身分の人間の悪意から護っただけだ。それに貴方が行動してくれたお陰で誰も死ななかった。」

「こ、公爵様・・・。」

「だからそのようにもうご自身を責めるな。」

「っ!」



アドルフの言葉にジャッカは堰を切ったように涙を流す。そんな彼をアドルフは黙って彼の肩に手を置いて労わっていた。


ティリエスは彼が泣いている姿を見て思う。

彼がこんなに泣いているのは一度愛した人が自分達をまた裏切った事に深く傷つき、そしてまだ彼は

彼女を愛していたからこそ自分のせいにしているのだと。


愛は愚かだといわれる所以、それは彼のような人をいうのだろう。


まぁ経緯に奥さんだった人がいたと分かったからといって勿論彼を責める気持ちはこれっぽっちも湧かないけどね。大体この人は優しいんだよ、出来ればこんな人は諦めずに次は良い人に出会ってほしいものだ・・・それにしても・・・。


ティリエスはジャッカとアドルフ2人を交互に見る。

・・・イヤだな、お父様の顔がイケメン過ぎて2人の後ろに薔薇園が見えそうになる。


前世で親友がこういう本を崇めていてよく私も拝借していたのを思い出し、ティリエスは目を痛くなるまで強く擦る。


破廉恥な私の妄想よ・・・去れっ!!


「どうしたんだいティリエス?目にゴミでも入ったかい?」

「い、いいえ大丈夫です。どうにか取れましたからもう痛くありませんわ。」

私の様子がおかしい事にいち早く気が付いたアドルフの言葉に慌てて答えながら擦っていた右手を下へ下ろした。


「あの・・・公爵様。」

「どうした?」

まだ泣き止んではいないが先ほどよりも涙が収まってきたのかジャッカは声を掛ける。

「それでも・・・私が元妻を庇う様に隠そうとしてしまった気持ちが招いたことで今回の事を防ぎれなかったのも事実です。ですから・・・どうか、私の為に罰を与えて下さい。私を悪者として罰してくれないと私は心に重しを抱えたままです。それにそうしないと・・・今度はあの子が罪悪感で押しつぶされそうになるでしょう。」

「・・・それもそうだ、確かに一理あるね。」


その言葉にいち早く頷いたのはここまで黙って聞いていたマルフェで思わずティリエスは驚いて目を丸くした。

彼の役職と今までの印象からしてどちらかといえば情状酌量で温情を訴えそうだとティリエス自身思っていたからだ。


ということは・・・お父様がどうするかですけれど・・・ん?


ちらりと表情を変えていないアドルフの顔を見ていたティリエスだったがふと視線を感じ取って視線を感じた方向、マルフェの方を見れば案の定私の方をじっと見ていたのでマルフェをじっと見つめた。

数秒見つめ合っていた・・・と、ニコッとマルフェが笑う。


「そうだね・・・僕は、彼女が今回の件の一番の被害者という立場だと思っているから、彼女が決めるのはどうかな?」

「・・・え?」


私?・・・私が?!急になんか言い出したぞこの人!


急に話しを振られたティリエスは困惑してマルフェを見るが彼はにっこりと笑うだけだ。

「い、いえ・・・そんな、私はまだ若輩者ですわ、人を「ほっほ・・・そうじゃな、それが一番良いと思いますぞ」・・・。」


何とか回避すべく反論しようとしたが逆にイーチャ司祭に追い打ちを言われてしまいティリエスは黙った。


えぇーやだよそんな荷が重たい役回り・・・お父様助けて下さいー。

ちらっと父に助けを求めたティリエスは父が何かを考えているのを見てひくりと笑みが引きつる。


アドルフは少し考えた後、何かを思ったようで私の方を見る。

「そこまで言うなら、ティリエス何かこの者に相応しい罰を言ってみなさい。」


父の言葉に更に驚く。

父はそんな私を宥めるかのように手を肩に置いた。


「司祭様の言う通りお前にはこの者を捌く権限がある。でも大丈夫、お前の考えを鵜吞みにするわけじゃないから・・・。」


私の目を見てそう言われ、私は落ち着かせるように大きく息を吐いた。

気持ちで胸が重くなるのを感じながら3人の言い分とその意図を理解した。


恐らく、角が立たない名目が欲しいんだわ。


父である公爵が罰を与えれば、この人はこの先貴族を欺いたというレッテルを張られ苦労する。

だからといってもう既に事の出来事の話しが出回ってしまった今、事を起こした人間に対しお咎めがないのもこちらとしての体裁が悪い。

だから、子供でありながら一番の当事者となってしまった私を使っておしまいにしたいのだろう。



それなら考えるしかないか・・・不本意だけど。

ティリエスは内心渋い顔をして彼の罰を考え始めた。


「そうですね・・・でしたらこういうのは如何でしょうか?」


ティリエスはその提案を伝えた。

いつも読んでいただき有難うございます。

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