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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第1章~夢現編~
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如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)㉒


彼らに渡した2種類のアイテム。


彼らに説明した内容を簡潔に記すとこうである。


青銅の指輪→呪いの反射

布→一度だけの回復魔法の発動

 

勿論このアイテムの効果説明をすると全く違う。結果的に第3者から見ても当事者であってもそういう風な認識をさせるようにした、が正解である。



・・・・ちゃんとできているよね?こういう中途半端なことは初めてだから心配する・・・。




不安になり、もう一度きちんとできているか確認する為、私は籠の中にアイテムをこっそりと鑑定した。


まず指輪からそして次に布切れを・・・と。


青銅の指輪★★★★☆☆☆☆☆☆→錬金術により作られた未完成の指輪。比較的錬成しやすいので熟練度を上げる為や子供達がお小遣いを稼ぐなど初歩錬成には良い代物。更にこのアイテムを上手く錬成すれば銅の指輪へ変化し壊れることはない。

付属効果:身体能力向上(弱) 呪い魔法吸収


布切れのお札★★★★☆☆☆☆☆☆→補助道具裁縫道具一式の布を錬成した未完成のお札。この布の中に書いた内容のことは必ず効果が発動される。但し一度きりである。更にこのアイテムを上手く錬成すればお守り袋に変化し燃え尽きることはない。書かれている言葉は『一致団結』。

付属効果:継続(カンティニュウアス)回復(リカバリー)(弱)





本来のこれらアイテムはそれぞれこのような効果を付加している。

察しの良い方は先ほどの鑑定で分かっていると思うのだが敢えて言おう。このアイテム達、実は未完成のまま渡しているのだ。


何故未完成のまま渡したかって?

勿論、ちゃんとした理由があります。



先程から何度もいっていることだが、相手に勝利することは前提の上で今回何が問題なのか・・・というと。


【本来のアイテムの効果を他者に知られる事。】


このことを私達は上手く隠さなければいけない。


ではどうしたら良いのか?

彼らの知識に近い能力値のアイテムで且つそれよりも優れている機能を付けておきながら彼らに分からないように細工をするという解決策を散々悩んだが、結局いい案が浮かばなかった。


それをしようにもやり込みすぎた私の錬金術が優れ過ぎているためである、いやだな凄いだなんて照れちゃう・・・・・ゴホン、すみません脱線しました。


ま、まぁそういう事情でどうしたもんかと思っていたら・・・そう、あの言葉が聞こえたのだ。

あの時オジ様が漏らした一言、「今回限り」という言葉にヒントを得たのである。


これを思いついた時、簡単が最も良い(シンプルイズベスト)という言葉がいかに凄い事か改めて思い知らされた。


そう、アイテムを彼らの知識同等にして隠すのではなく言葉通り今回限りにすればいいのだ。


つまり何が言いたいのかというと、気が付く前にアイテムを無くしてしまえばいい。

これらのアイテムを彼らの目の前で壊してしまえば良いのだ。意図的に。


その為の未完成である。

何せ完成品を作ってしまうと壊れることはなく残ってしまう、そういう意図がここにはある。


そうすれば、彼らいつもより戦いやすいことに不思議に思うが妖精という名の力のお陰だと信じ、察しの良い人に勘繰られる前に消失して結果不思議な道具という認識だけで終わることができるのだ。






これを知れば明らかに私は嘘を言っていることが分かるが、それをルドルフさんが先ほどの通りで自分達の常識と混ぜ合わせて上手く彼らに信じ込ませたのである。



まぁ、よくある詐欺の手口の1つ。

真実と嘘を絶妙に絡ませて、警戒している相手を言葉巧みに操って不安を煽る、警戒心を解く方法である。


それを教えたのも私なんですけどね、へ、へへへ・・・ごめんねぇ。


オジ様に悪いことを教えている時が思い浮かび居たたまれない気持ちになるが、とりあえずこれはそっと心の隅に置いた。後で懺悔はいくらでも出来る!・・・うん!







そして、試行錯誤して出来た後にオジ様にこのアイテムに不備はないか隈なく見てもらい、これなら気が付かれないというお墨付きをもらったのだ。


青銅の指輪の耐久度は呪いの吸収度によって変わってくるがお札の方は使用すればその場で燃え尽きる。

だがお札にある継続(カンティニュウアス)回復(リカバリー)(弱)だと継続しているだと壊れることはなく存在し続けるという事になる。


ん?どういう事?矛盾するよね?いえいえこれにもカラクリがあります。


継続(カンティニュウアス)回復(リカバリー)(弱)は実は追加付加であり、元々裁縫道具にあった8色の布切れの内の1枚にあった効果内容がそのまま存在しているだけでこの錬成した結果のお札の効力ではないのだ。


ではお札本来の役割は何なのか?何をしたら燃え尽きるのか?

それは『一致団結』という言葉が札の本来の役割である。


この字も裁縫道具の中にあるチョークペンシル(青)で書いたものが元になっている。


チョークペンシル(青)で書いたものはいつもより集中力が高まる効果がある。ゲームではこれを使って錬成すれば物理攻撃の命中率が跳ね上がりクリティカルが出しやすくなったり、普段の魔法の精度も3倍ほど高まるのである。

そんな効果を持つペンで書いたこの四字熟語の意味は『多くの人々がある目的に向かって心を合わせ、まとまって事を行う』という意味。



今回の彼らの目的とは今回の事件の解決、犯人の捕縛である。

その為に彼らは自分達の能力ギリギリまで高められすべてが終わればその効果も失せお札も燃え尽きるという寸法である。我ながら上手く作れたなって自画自賛です。





まぁ、それでもことが終わってアイテムが存在してしまいそうなら、オジ様に頃合いを見てリセット石・・・アイテムを粒子に変え消滅させる消耗品アイテムを持たせたのでそれを使って消滅させてもらう手筈なので問題ないだろう。

あと、早馬の青年にあげたミサンガも既に私がお札を使って破壊してもらうように進めている。

待針たちは役目を終えたら裁縫道具の中に戻る手筈なので問題ない。


よし、これで準備は万端、後は敵将を討ち取るだけである。




しかし、質を下げたものを作るのにこんなに骨が折れるとは・・・・明日、仕事なのになぁ。



眠っているというのにより疲労感を感じた体が重く感じ、私は首を左右に振る。

心無しかゴキィっと首からすごい音が鳴ったような気がした。




「けど、本当に兄上も出るのか?問題なさそうに見えるが、あの女の呪いを受けた後だ。休んでいた方がいいんじゃねぇか?」


一通り籠の中のアイテムを見ていたハーティスがルドルフにそう言うがルドルフが首を振る。


「いいや、当事者だからこそ行くべきだ。それに曲がりなりにも儂は公爵家当主、この肩書があれば大抵融通が効く。」



「・・・・了解。けど、俺が危険だと判断したら下がってくれよ。俺たちが盾になって守ってやるから。」


彼のその返事にルドルフは目を丸くさせ動きを止めたので、思わずとマジマジと彼の表情を見たハーティスは何か思う事があったようで、心配げな表情が一変今度はジト目で彼を見る。


「なんだよ、その意外だなぁとかめちゃくそ驚いたっつー顔は。」

「いや、無鉄砲に突進していた猪騎士が成長したなぁと感心したんじゃよ。」

「あのなぁ、俺だってもういいおっさんだっての!成長しないおっさんなんて嫌だろ!普通!」

「っ・・・違いない。」


何だかいいなぁ、仲の良い家族って感じで。


黙って2人のやり取りを見ていた私は、いつしか笑い合う2人を眩しく見つめる。

と、笑い合っていたルドルフが何かを思い出し口を開く。


「この事が終われば、きっとあやつからまた煩く言われるぞ。というよりハーティス。そろそろあやつに良い返事を伝えてはくれないか?」

「・・・・・またその話しか。兄上の頼みでも悪いが、俺には向いてねぇ。」

「いや、しかしあやつはお前を高く評価しているし諦めないじゃろ。もうかれこれ10年は言い続けているではないか。」



ルドルフかそういうと笑顔だったハーティスが途端渋い顔をつくる。

どうやら何か以前からお誘いの話しを受けていて断っている、らしい。




やだ。なんか聞きたいなその内容、もっと詳しく!




むくりと私の中に眠る知りたがりが発動したのだった。








いつも読んでいただきありがとうございます。次回も来週土曜日に投稿予定です。


裏設定:現在の早馬の青年の様子。あと2時間弱に王都に着く予定、そして彼の周りには時折盗賊やら金で雇われた敵側の刺客達が待ち受けているがそこは一早く察知した待針、縫い針たちの攻撃の餌食になっています。視界も悪いことが重なり、こうして彼は周りにいるのした人間の山に気が付かず順調に王都へ向かっています。そして反対にのされた彼らの間では急な雷(刺繍糸付与魔法)の出現に『神の怒りの森』として畏れられ以降ここでの悪党出没が激減しました。

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