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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
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出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!㉚)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回2/7(月)投稿予定です。



い、今のは・・・。


全く合図もなしに突然始まった戦いを前にティリエスは今見た光景に驚きを隠せないでいた。

木の棒でドラゴンがまるでボールのように勢いよく飛ばされ予想以上に飛ばされたそれは左へゴロゴロと転がって周りの木々をも倒していった。


木々をなぎ倒していった先を見た後、今度は自分の霊獣に目を向ければ何やら格好良く決めポーズをしており、そして決まったといわんばかりに何処か満足げにポーズを辞めたと思いきや今度は自分が転がしたドラゴンを見ようと額に手をかざし陽の光を遮断して目を凝らしているのが見えた。


なんていうか・・・。


誰もが目の前の事に喋らないでいると、とうとう込み上げてきた思いに動かされティリエスが自分の霊獣指さして口を開いた。


「・・・・・い、今のフライングではありませんか?!確かに狙われている手前正当な勝負ではありませんけどあのような不意打ち、ちょっと私卑怯だと思いますわ!」

「コケっ!!」「ぶっ!!」


速攻に自分を有利にさせた行動を称賛してもらえると思っていた鶏男は、まさか自分の主人の口から卑怯宣言をいわれるとは思っておらず情けない鶏の高い鳴き声が響いた。

と、同時にレイが思いっきり噴き出して笑う。


「ふっ、クク・・・確かにお嬢様の言う通り、少々卑怯な手ですよねぇ・・・いや、本当本当。私ならあのようなことはしませんが?」


これみよがしにレイは鶏男は卑怯な奴だと言いながら彼の先ほどの行動をなじる。

表情は変わらずあのあざといつぶらな瞳のままではあったが、自分を小馬鹿にしたそんなレイの態度に怒りを覚えたのか鶏男は上下の(くちばし)をまるで歯軋りするように擦り合わせながらティリエスを守っているレイの姿をジィと黒いつぶらな瞳が捉える。まるで睨んでいるようにも見えるそれをレイは未だ馬鹿にして笑っていた。

そんな2人のどんどん互いの関係に溝を深めている行動をよそに司祭はドラゴンが吹っ飛ばされた方向を見ていた。

司祭をチラリと見た後、同じ方向を見てアドルフが口を開く。


「あれでドラゴンは気絶したと思われるか?」

「・・・あの程度で気を失うほど弱い霊獣ではないからそれは低いと思うよ公爵。」

「そうですか・・・ん、今度は何だ?」


何かがこちらへやってくる音を聞いたアドルフは、ドラゴンの反対側から大きな土煙をあげて何かがこちらへと迫ってくる者の存在を捉える。

アドルフがそちらへ目を凝らせば先頭を走る馬に見覚えがあり、すぐに誰が来たのか理解した。

予想より早く来たとアドルフはその存在がやって来るのを待つ。


「大丈夫か!アドルフ!!」


知らせを聞いて一目散に来てくれたのだろう、先頭を走っていたのはタンドだった。後ろには数十人鎧を纏った騎士達が後ろに控えており、配置につくために一部の騎士は皆警戒しながら馬を下りる。


「ありがとうタンド、私も娘たちも無事だ。思ったより早くて助かった。」

それを言えば、「当たり前だろ、お前らが危ないのにゆっくりしてられるか!」とタンドは至極当然と返事をする。

「街は事が落ち着くまで入り口全ては閉鎖しておいた、あと念のため他の領地に助けを求める文書も持たせている。1時間経っても俺達が戻らなければ馬を走らせる手はずだ。」

「なら、早く帰らないとな。」

タンドが持ってきてくれた自分の剣をアドルフは受け取りながら、時間の猶予はあまりないのだと理解する。


アドルフもタンドも事を大きくしたくないのが本音だった。


「それで、そのドラゴンは?あれじゃないだろ?・・・ってかなんじゃあれ?!」


タンドはチラリと自分達から少し離れている鶏男を一度見て認知した瞬間思わず二度見して叫んだ。

タンドと同じように気が付いた騎士達から動揺が現れていた。


「え?なんで鶏?なんであいつ鶏の頭?いや、被ってんのか?!」

「いや、あれはああいう頭らしい。因みに娘の霊獣だ。」

「ティリエスちゃんの霊獣?!!正気か?あんなごつい奴!」


タンドが驚いていると大きな雄叫びが響き渡り、一気に警戒を強めた。


「あそこに居るのが今回の厄介な霊獣か。」

「あぁ、だがやはり娘の霊獣の攻撃が効いているんだろう。動きが鈍くなっているのがみえる。だが、だからといってまだ正気の無いドラゴンの霊獣に人間が勝てる勝算は低い。」

「だろうなぁ。でもこのまま硬直状態というのも分が悪いぞ?いっそうの事逃げるか?」

「あのドラゴンは何故か娘を標的にしている。だからずっとついて来るぞ。」

「はぁ?そんな報告聞いてねぇぞ?なんでティリエスちゃんが狙われているんだよ?」

「・・・兎に角今はあれをどうにかするしかない。」

「だ、な。原因を調べるのは後だな。・・・なんだこの音?」


遠くから『コオォォォ・・・』と何かの音が聞こえる。


司祭はふと持っていた百合の花がゆっくり開花しているのを見てハッとする。

「大変です!ドラゴンがブレスを吐こうとしてます!」

「何?」

「百合の花が開花したということは魔力が集まってきている証拠に違いない。早くここから逃げないと!」

「近距離だと分が悪いと判断したか。とりあえず遠くへ避難しよう。」

「馬に乗って全員散り散りに逃げろ!司祭様は俺の後ろに!!」


タンドの命令に人々が動く中父の言葉を聞いていたティリエスはジッとその場で自分の霊獣を見る。

そして頭の中に浮かんだのはブレスなんてものを受ければ霊獣が死んでしまうのではないかと不安だった。


「ティリエス、大丈夫だ。」

恐らく自分の不安な顔を父は見ていたのだろう、父はティリエスを抱き抱えながら声をかける。


「霊獣が死んで還る時は、主人が死んだ時だ。だからこそここから離れよう。それにあの霊獣は逃げるつもりはないようだ。」

見れば、ドラゴンは鶏男の方に大きな口を向け標準を定めているのが見え時間の猶予はなかった。

鶏男も気がついたようだが、逃げるそぶりをせず木の棒を握り直すとそのまま構えたままティリエスの方に顔を向けた。


「コケッ!」

ビッと親指を立て、また前を向いた鶏男にティリエスは唇を噛んで父の背をぎゅうっと抱きしめたと同時にアドルフは走り出した。


そして、その後すぐ、大きな音が響き渡った。



裏設定;本当は領主なので主人公たちの元へ行かないように部下に止められましたが、止めようとした部下をぶん殴ってやってきたタンド氏。(友達思いなので。)奥さんは彼の性格を一番理解しているので後ろのことは気にしないよう行ってくれと逆に激励を送ってます。(寧ろ行くのをやめたら自分が夫であるタンド氏をぶん殴ってます。)

いつも読んでいただきありがとうございます。

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