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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
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出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!㉗)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は1/30(月)投稿予定です。




光が辺りを包んだ後大きな爆煙が起こり、誰もがその衝撃で立って居られずその場へ蹲る人間や数メートル吹っ飛ばされて転げ回る人間も居た。


ティリエスもまた宙に投げ出され落ちる感覚を感じた瞬間、強い力で抱き込められた。

そのまま地面の着地とズサーっと靴の底が地面に擦れ合う音が聞こえた後、衝撃は治まりティリエスは恐る恐る顔を上げた。


「レイっ!!」

見れば彼は肩で息をしながら地面に座り込んで自分を抱きしめていた。

飄々としている彼からは程遠い、かなり距離のある馬車からここまで急いで駆けつけてきてくれたことがよくわかった。

あまりの彼の取り乱したような荒い息遣いにティリエスは心配になり彼に手を伸ばそうとすると、レイの抱き締める力が強くなり、ティリエスは思わずカエルが潰れたような声を出した。

「レイ・・・あの、くるし「ちっ!この糞が。」」


緩めてもらおうと声を開けると、レイが普段聴くことがないような低い声と舌打ちにティリエスは驚き彼を見た。

彼は数秒沈黙し自分の胸にギュッと顔を押し付けたままだったが、雰囲気からしてひどくイラついているようにも見えティリエスは正直狼狽えた。



お、怒られるんだろうか?


しかし、そのティリエスの心配は無用であった。

何故なら彼女の胸に埋めていた彼が顔を上げた瞬間、怒りの眼の矛先があの霊獣に向けていたからだ。


「トカゲ風情が。」


あ、違った。これは私じゃなくて霊獣に怒ってる。

呟いた言葉を聞き取ったティリエスは内心ほっとしつつも、ふとそういえば自分はどうやって助かったのだろうかと辺りを見た、その時だった。


背後でドォン!!という大きなものが倒れたような音と地響きが鳴る。

ティリエスが驚いて肩を揺らすと、レイがすかさずティリエスを後ろへ隠し臨時体制をとる。

納まっていた粉塵がまた舞って音がした方角の視界を遮り何もみえない。


「お父様でしょうか?」

恐らくあの霊獣と戦っている音だろうと推察したティリエスは立ち上がってレイの背後から彼の服をギュッと握る。

こんな風にあの大きな霊獣と戦えるのは、この場に居る父かレイぐらいだろう。

因みにタンド卿は今この場には居ない。

この催しの為、内部の警備が手薄にならないよう領主として街から離れることは出来ないからだ。


恐らくは今頃警護していた騎士によって知らせが届いて、事の収拾に向け動き出しているはずだ。

それまで、霊獣をどうにかして大人しくさせなければいけない。


私がそんなことを思わなくても、恐らく父とレイは十分わかっていると思っているけれど・・・ん?


そんなことを考えていた時だ、粉塵の中からゆらっと何かの影が見えた。


大きさからしてあれはドラゴンではない人だった。


あの背の影から見て人、しかも体つきから父ではないかとそう思ったティリエスはほっと息を吐いた。きっと父がドラゴンをのしたに違いないと思ったティリエスはレイの隣に並びその人物を見やる。

相手もティリエス達に気が付いたのかゆっくりとこちらへ近づいてきた。


流石お父様!あれだけ大きいドラゴンの霊獣まで黙らせてしまうとは!

強い自分の父親に誇らしげになりその人物がこちらへやって来るのをキラキラとした目で見つめた。

段々と粉塵納まり、その人物が見え始める。


そう、こんな風に肩幅も広く黒いズボンを履いていてもわかる程の鍛えられた脚の筋肉に岩をも粉砕しそうな強い拳。


上半身は胸の筋肉が引き締まった小麦色・・・の肌に?


・・・・あれ?お父様って肌は白いはずだしましてや今上半身裸なんてことは・・・・。


何かおかしい事に気が付いたティリエスはもう一度下から上へと順に見ていく。



小麦色の裸足で黒いズボンを履いた上半身裸の男の顔・・・が。


そこで粉塵が治まり、その目の前にいる者に誰もが凝視した。

粉塵が治まったことでここに居る会場の誰もが、向こうで娘の安否を気にかけていた父アドルフもその現れた人物に注目した。


「あ・・・。」


頭が鶏の被り物・・・?


ティリエスはその目の前の人物、得に → 特に 頭を凝視した。

固まっている彼女にレイはすぐに不審人物とみなし彼女を庇う様に前に出た。


立派な鶏冠のあるその鶏の男は鶏のそのつぶらな黒い瞳でティリエスだけを見ておりレイには目もくれていない。

鶏の男はティリエスが固まったまま動かない事が不思議なのか、鶏特有のカクっと素早く首を傾げられたところを見てティリエスははっとする。


被り物じゃないこれ、首から羽毛がくっついてる。

ということはこの人物の頭はこれというわけだ・・・というか。


つやつやの白い羽毛。

小さなつぶらな瞳に人畜無害と物語ってるようなそのあざといその表情―――、目の前の人物が危険なのかそうでないのかまだ分かっていないというのにこう思ってしまった。


「かわいい・・・。」

思わず口から漏れ出た言葉にレイは珍しくぎょっとし後ろにいる護衛対象の彼女をみやる。


嘘だろ?これが?

レイの目はそう物語っていたが、ティリエスは関係なくその人物を見る。

本人にも呟いた声が聞こえていたのだろう、ポポっとその白い頬を赤らめてその巨体な身体をくねらせた。

暫くくねくねさせ・・・と、気を取り直したようにその鶏男はティリエスの前に一歩踏み出すと恭しく片膝を着き頭を垂れた。


不思議と自分には嫌悪感がなく好感なこの男は何者なんだろう?

ティリエスがそう思っていると、頭上からひらりと何かが舞い落ちてきたので咄嗟にティリエスは手を出してそれを掴む。

それは見覚えのある大きな花弁、黒色のそれは虹色の光を放っているそれ・・・もしかして。

ティリエスは思い当たるそれを確認する為に目の前の人物に声をかけた。


「もしかして貴方は私の霊獣様でしょうか?」

その質問に一瞬間の後、鶏男はゆっくりと顔を上げた。


「コケェェッ!!!」

肯定するように高らかにそれは鳴いた。




いつも読んでいただきありがとうございます。


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