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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
202/747

出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!⑲)

いつも読んでいただきありがとうございます。次回は1/12投稿予定です。




父が昔の友人と学生話しに華を咲かせた翌日、いよいよ私は待ちに待った今日を迎えていた。


「まぁ、ティリエスちゃん!よくお似合いだわ!」


今回のために白いワンピースに身を包みレイがこしらえた花の髪飾りと綺麗に編み込まれた髪型をビラノア夫人に見せるように、くるりとその場でティリエスは一周する。


「俺の時も息子の時にも思ったけどよ、教会から支給されるこの服なんでサイズピッタリでくるんだろうなぁ?」

「さぁな、神の神業なんだろう。」

「お父様!どうですか?似合ってますか?」


父の姿を見て小走りにかけてやってきた娘をアドルフは抱き上げる。


「あぁ、とっても可愛いね。流石私の娘だ。」

「リリス夫人も丁寧に刺繍されているわ・・・これは、鷹の羽根ですわね。」


本来ならこの白いワンピースは刺繍で彩らせ、来る日に子供に着せる。

特に貴族は見栄な人間が多いのでワンピースの様々な刺繍を施すことが多いが、ティリエスの場合ほとんどが無地で唯一刺繍してあるのは両肩に其々クロスにさせた鳥の羽根の刺繍だけで、これは我が家の家紋のそれであった。


理由は、母が双子の育児と大事をみての療養の為だった。

勿論代理で刺繍を施す家は多くある。

だが母が少しでもとティリエスの為に家紋を刺繍したその衣装を他の人が施したものが例え見栄えよく出来た衣装になったとしても、母が限られた時間で丁寧に刺繍されたそれを上書きされるようなことはティリエス自身が嫌だと言い、頑なに刺繍の追加を断った。


こうして彼女の気持ちが尊重され、結果として彼女の衣装はシンプルなものになったが、逆にそれが家紋を強調させそして更には教会のシンボルである白い百合の花の髪飾り、艶やかな整えられた黒髪と父と母譲りの彼女の瞳であるオッドアイがより一層際立たせた。


「初めに衣装を部屋に置いてあるのを見た時はシンプルで、髪飾りを男性にさせるのもどうかとは思い心配だったけれど杞憂でしたね。」

「僭越ながらビラノア夫人。誰よりもお嬢様を知る私がお嬢様をどのように着飾ればよりよくお嬢様の美しさが際立たせることが出来るのか・・・といったことを間違えることなど万に一つもございません。」


きっぱりと言い切ったレイの顔はどこか誇らしげだなと思ったと同時に、ガリィっと何か硬いものが擦りあったような音がティリエスの頭上から聞こえ見上げると、自分の父であるアドルフが笑っていない眼でレイに微笑んでいる姿があった。

そして、そんな父にフッと嘲笑うレイに対しタンドは何かを瞬時に感じ取り「おいおい、ここで血をみせるなよっ!」と父に釘を刺していた。


ピクリと父の方が揺れる。


そして、ゆっくりと私の方を見つめた。


「それじゃぁ、行こうかティリエス。」

「はい、お父様・・・お父様?」

下ろすのかを思いきや、そのままスタスタ歩き出した父にティリエスは困惑し、そしてそれをばっちりと見ていたレイは余裕のある顔から一気に表情が変わる。

「旦那様ぁ?お嬢様は私が運びますよぉ?」

「いいや、レイ。私の、娘だからな。私が連れていく。」

私のを強調していった父にひくりと口の端が動いたのを確認したアドルフはニヤリとしたり顔をしてその場を後したのだった。


因みにティリエスにはその間のやりとりの顔はアドルフとレイの手によって目の周りを覆われ、全く見えてはいなかった。


俗にいう子供には『見ちゃいけません』という表情を互いが作っていたことを彼ら自身一番わかっていたからだった。





「ここが・・・教会なんですね。」


そのままアドルフと一緒に馬車に乗り込み約20分、ティリエスは圧倒されていた。

遠目でも随分大きいと思っていたが、実際に目の前に立つとその存在感はすごいものだった。

タンドがこじんまりといっていたがこれだけ大きな建物となるときっと中の礼拝堂も凄いのだろうな、と想像がつく。


馬車から降りたその先は大きな広場のような場所で自分と同じように衣装を着た子供達やそれに付き添う親達。それらを祝う出店の人や教会のシスター達でごった返していた。


と、傍まできたレイから声がかかる。


「旦那様、お嬢様。そろそろお時間です。」

その言葉にティリエスはほんの少しだけ緊張で心臓の音が大きく音を立てたのを感じたが、大きく深呼吸して気を落ち着かせた。


そんなティリエスにアドルフはしゃがみ込み、ズボンが汚れるのも気にせず彼女と同じ目線になる。


「ティリエス、ここからはお前一人で行かないといけない。」


そう、親達大人が付き添えるのはここまで。

あとは儀式を受ける子供達だけで教会の中へ向かうのだ。

元々今日の流れを親から聞いていたティリエスは驚きはしなかったが、いよいよかと思うと身が引き締まる思いをした。

周りの子供達が様々な表情で教会の入口へ消えていく中、ティリエスはこっくりと頷いた。


「はい、お父様。私はどんな結果になったとしても胸を張って帰ってきますわ。」

「流石、私の娘だ。・・・気をつけて行っておいで。」


父が立ち上がり、私の背をそっと押す。

その手のぬくもりを感じながら私も歩きそして振り返り笑顔で手を振ると、他の子供達と同様教会の中へと入っていった。







おわぁ~広いな~わ、天井高っ。


入り口から中へ入り最初にみたのは高い天井と女神のレリーフの細微な芸術作品たちだった。

我が屋敷にこういうものがあるのはあるが、至る所に施されているので圧巻の一言である。


まぁそれよりも今日は初のステータスの開示機会だし、きちんと隠蔽しとかないと。


「おい!そこのお前!!」

「・・・・ん?」


男の子の声と視線を感じ、ゆっくりと振り返ると予想通り自分と同じワンピースを着た男の子3人が立っていた。


「・・・・・・・・・・。」



やだな~、変な子に絡まれたわ。

直感でティリエスはそう思った。



裏設定:ティリエスの今回来ていた白いワンピースですが、ここに教会の忖度はあります。皆送られてくるのは白いワンピースですが材質が違います。市井の子供ならリネンのワンピース 寄付金が多い商人や貴族階級の子供はコットンワンピース そして王族や公爵家の場合はシルクのワンピース素材になっています。ですが今回ティリエスは首都の方で受けるつもりはなくシルクだと目立つという事もありティリエスのワンピースはコットン使用になっています。因みに市井の子供のリネンワンピースの生地は最初硬いので洗えば洗う程柔らかくなる素材から半年前から送られています。そして身長が伸びれば刺繍目を解き本人達の肌着として重宝されます。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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