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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
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出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!⑰)

皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。次回は1/6投稿予定です。



今回赴く場所は私の家の領地からみて東にある領メヴィウス領で水が豊富な領地として有名である。

因みに治めているのは伯爵家で、長年続くこの国でも没落せず我が公爵家と同じく長く続いた家系である。

本来なら公爵家の身分であれば、王都に建てられている神殿まで赴くのが通例ではあるが、今回は父の勧めもあって近くの教会で儀式をすることになった。


理由は私が鍛錬している男ではなくただの女の子なので長旅が初めてで体調を崩す可能性を考慮してのこと。

それに今年の秋頃には否応なしに王宮に招待される交流会が控えているので、今回はそれに向けた練習もかねての旅にしようという目論見もあり、私の向かうべき教会はそことなった。

馬車で行くとゆっくりになるので王都までは1週間弱かかる。その点今回は移動日数は1日、一晩野宿を経験することにもなるが比較的楽な道のりだ。


これでも少しは体力づくりしてるんだけどな。

ぽつりとそんなことを思いながら満天の星空を馬車の窓から見つめる。

そういえばこの辺りは一昔前まで山賊どもが闊歩(かっぽ)していたらしいが、ある夜この森周辺に落雷が連日何度も発生し、それ以降山賊達はこの森を根城にしなくなったのだとか。



そんな森で野宿大丈夫なのか?とも思ったが、父曰く、自国に仕える騎士も側に居たらしいが全くその騎士には落ちることなく周りにいた悪人たちに落ちていったという逸話も残されており、加えこうして野宿のポイントとして何度もここで野宿しているが、自分達にはそのような事は一度も起こったことがないことから、寧ろ一番安全な野宿のポイントとして重宝しているのだとか。


当時の気候変動で起こったことかもしれないが、まぁこうしてアイルお兄様やお父様、皆が安心して野宿できるようになったのなら棚から牡丹餅だ。


超常現象ありがとうとそうして野宿で一晩過ごした後また3時間ほど馬車で進んだ先に、今回の目的地メヴィウス領へとたどり着いた。




「ここがメヴィウス領の中心部ですのね。」

検問もすんなりと終わり、馬車のままメディウスの街を窓から見渡す。

流石、教会と縁のある土地なのか栄えておりここから見える市井の人は皆活気に溢れているのがみえた。

大きな噴水広場もある・・・流石水の都ともいわれる街だ。女神の石像も凄いな。


「メヴィウス領は港も持っているお陰で、異国の者とも行商をしているから様々な物が売られている、後でみていこうか。」

「はい!私もいろいろ見てみたいですわ!」



興味津々なティリエスに声を掛けながらアドルフも一緒になってみていたが、父の手が伸び窓のカーテンを下ろした。

突然の行動にティリエスはキョトンとし、アドルフはニコッと笑う。


「散策の楽しみにとっておこう。それにもうすぐメディウス卿の屋敷に着くから、きちんと座っていようか。レディとは「淑やかに、いついかなる時も気品を忘れずに。」、そうだ。アンからよく教わっているね、流石私の娘だ。」


アドルフは満足そうにティリエスの頭を撫で、ティリエスは父に褒められ嬉しくなると同時に、別の事を考える。

あの時、一瞬だけ見えた路地裏の光景―――。


教会もあり栄えているけれど、やはりそれでも富裕層との格差が激しい・・・ということか。

路地裏にいたこちらを見ている瘦せこけた子供達の姿を見て、ティリエスは胸が痛んだが他領地の事に首を突っ込んでも良いことはないと切り替え到着を待ったのだった。







馬車で移動して15分ほどして、馬車はゆっくりと失速し完全に止まると外からノックが聞こえゆっくりと馬車の扉が開いた。

明るい日差しと供に見えたのは立派な屋敷の門の前。

みればメヴィウス伯爵の称号であるユニコーンがモチーフである門にズラリと従者メイドが並び、その中心にがっちりとした体躯の男性に少しぽっちゃりだが優しい雰囲気の女性が立って、自分達を待っていてくれた。



「よくぞ来て下さった!!アドルフ卿!!」

「今回は世話になる。タンド卿、ビラノア夫人も息災で何よりだ。」

「えぇ、よく来てくださいました。」

「我ら一同歓迎しますぞ!」


そう言うと後ろに控えていた従者、メイド達がずらりと乱れなくお辞儀をする。

初めてのもてなしに少しむず痒くなりながらもティリエスは父の手のエスコートでゆっくりと馬車から降りると、ドレスを摘まみ上げ淑女の礼をする。


「タンド=ディル・メディウス様、ビラノア=ディル・メディウス様。本日は私ティリエス=フェルザ・D・ルーザッファの為に素晴らしいおもてなしを感謝いたします。」

「・・・たまげた、流石アドルフ卿の娘だなぁおい。」

「えぇ、本当に素晴らしい・・・。」

ゆっくりと頭をあげると、2人は思っていた以上の出来た挨拶に驚いたようで、感嘆と共に声が漏れていた。


ふふん、どうよ!私、出来る5歳児!でも出来なかったら出来なかったでそれは私の沽券にも関わるけど!


「ティリエス。タンド卿は私が高等学園の学生徒の頃、ルームメイトの際仲良くなりそれ以降友人として交流しているんだ。」

「そうだったんですね。」

「御父上とは同じ苦学生だったのでな!よくまぁギルドを通して魔物討伐に行って金を稼いでいたものだ!」


砕けた物言いに変わり豪快に笑うタンドをみて目をまるくさせたが、本来の話し方はこうなのだろう。

夫人が少し咳ばらいをしてタンド卿はハッとし苦笑いを浮かべる。


そんな2人のやり取りにティリエスはにっこりと笑う。

「どうかそのままで、私は普段通りお話しして下されると嬉しいです。タンド卿、お父様の学生の頃のお話し、もっと聞かせて下さいませんか?」

「お!おぉ!いいぞいいぞ!!いっぱい色んな事話してやろう!!」

「まぁあなたったら。申し訳ありません、アドルフ卿。」

「いいえ、ビアノラ夫人。私も友人としてその様に接してくれた方が嬉しい。」


そう返すと、ビアノラも朗らかな笑みを浮かべ2人を屋敷の中へ夫と共に案内した。



いつも読んでいただき、ありがとうございます。

裏設定:ティリエスとはまだ逢えない、逢えることを夢見る少女の話し。





私達、メイド見習いの朝は早い。


外が白み始めているがまだ日が昇らない、そんな時間帯の廊下を1人の少女が歩みある部屋のトドノブを動かせは、一瞬部屋の灯りで目がくらみそうになったが先に大きな欠伸が出た。


「ふぁ・・・おはよう、ティキ。やっぱり早いわね貴女。」

「おはよう。でも、貴女も随分早起きだわ。」



すでに顔を洗い頭を整えていた目の前の少女ティキに挨拶を交わす。

彼女はここへきて数ヶ月経つが、誰よりも一番早起きであるから凄いとルームメイトの女の子は素直に思いながら洗面台へ向かう。

ティキはそんな気さくに声をかけてくれるルームメイトに清潔なタオルを渡すと、彼女は礼と共に顔を洗い出す。


ルームメイトの彼女は気さくに私に話しかけてくる友人でもある。




と、いうよりここのメイド見習いは皆優しく、エルフでもある私にも優しい人達だった。


長い髪で隠れていたとがった片耳と欠けた片耳。


メイド見習いは髪型の自由は許されず、長い髪は一つに括られるので初日からこの耳をみせる形となった。


予め知っていたメイサ夫人やメイドの仕事を教えるメイド長は驚く事はなかったが、ここに居る見本となるメイド達、そして私のように紹介状を携えてやって来たメイド見習い達は勿論知るわけもなく、案の定驚いた目で私を見つめた。




別に慣れている。


それに、あそこに居た頃自分を道具のように見る下賤な眼で見られる事よりなんてことはない視線だった。




だが、そこで彼女達が引き下がるはずもなく理由を聞こうと私の前にやって来た。




種族は?


どうして片耳はそのようになっているのか?


なぜ、ここに来ることになったのか?




好奇心の眼を私に向け質問してくる。


変に勘ぐっても困るし、どうせこういうことは私が目指したい場所では常に付きまとうと覚悟はとうに出来ていた。




だから、どうしてこのような姿でここに居るのか、簡単に話しをした。淡々と話し、話し終えればきっと皆興味を失うかそれか彼らのように汚い者を見る目で顔を顰めるかどちらかと思っていた。




でも、話し終えたところで見た彼女達は涙を流していたのだ。


哀れみの涙だった。


正直に言えば驚いたのが率直な気持ちだった。




そして、彼女達は自分達は関係ないのに貴族の位を持つ者として謝罪をしたのだ。


彼女の行動に少し放心するなか、私はティリエス様のある言葉を思い出す。




『この先確かに悪意の人もいる、でも、善意の人も必ずいるわ。貴女の境遇に悲しみの涙を流し、貴女の夢をこの先の幸せを望む人だってきっといる。だから、ティキさんあなた次第になるけれど。まだ、人は信じれますわ。』




時折、私より小さいその人は私より難しい事を言う。


けど、その言葉を少し触れた気がした。




「―――――っ?ティキ?」


ルームメイトの言葉に、ティキはハッとすると心配そうにこちらを覗き込む少女の目と視線が合う。




「大丈夫?何かぼーっとしてたけど・・・。」


「ううん、少し、考え事かな?」




誤魔化すように言うとルームメイトは何を思ったのかニヤリと笑う。




「もしかして、例の騎士さんの手紙?やだぁもう熱々なんだから!」


その言葉に一瞬目が点になったがすぐにボッと顔を真っ赤にさせた。


「ち、違います!!あの人はっ」


「はいはーい、分かったからご飯食べに行こうねぇ。」


「ちょっ!!本当に違う!違うんだから!待って!」




盛大に勘違いしたルームメイトに誤解を解こうと躍起になるティキはその場を後にしたのだった。

(この子は名前はたまに出てくる予定ですが正直中盤まで出番でてこないので、この辺でこそこそある日話あげました。しかし、とある騎士の手紙・・・誰でしょうね?)


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