如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)⑳
きりの良いところにしましたら、今回短めになってしまいました。
すみません!
仕事モードに入った私は早速、自分達それぞれの常識を照らし擦り合わせていくためオジ様と話し合うことした。
まずどうして私のアイテムの多重付与、威力などが分かったのかというと。
実はルドフルさんのスキル能力に魔法・魔法アイテムの放つ魔力を感じることが出来ればおおよその威力などがご自身なりに換算出来るのだそう。それで今回私のアイテムの規格外に気が付いた、という事らしい。
スキルを知られ他人に悪用されてはいけない、優れたスキルは他者との差別になる為スキル開示は両親のみという事になっているのでこのことは他言しないように言われた。
更にスキルを無理やり開示させようとする者がいれば、国法で定められた刑法に基づいて罰則される。場合によって重罪とみなされることもあり過去には独房で一生を終えた者もいれば、独房を免れたとしても強要した人のスキルの永久封印術を施されるという実例もあるのだとか・・・。
私は何度も頷いて約束しますと宣言する。
まぁ・・・他の人には私の声聞こえないんだけど。でもオジ様の為だ、胸に刻んでおこう。
そして次に、今回ルドルフさんの口から聞かされたこの世界のアイテムの常識について私は開いた口が塞がらない事実を知ることになる。
まず、私の作ったあのミサンガ。
あの様に同じ付与を更に上乗せするように作ることは現時点では難しく、可能にできるのは元々材質の良い、それこそ王への献上品ぐらいの質の良いものでないと難しいということ。
その次に各々の針達につけた付与刺繍糸。
多重に様々な付与を付け足すことは不可能とされており付与を変えたいときはその都度付与アイテムを装着し直さなくてはいけない。同時に装着していると互いが関与し効果を相殺し合うのだとか。
勿論アイテムが生き物のように命令、意志を持ったように自動で動くようなものはこの世界には実在しない、という内容だった。
つまり、ミサンガや例の針達につけた付与はこの世界では【空気を全く読んでいない代物】に該当してしまうほど強力なものらしい。
・・・うむ、あの小さなアイテム一つ一つがまさか高山に造られた大規模石造都市マチュピチュ並みの代物だったとは・・・・私、その事実に脱帽しております。
そしてアイテムと魔法と比較しての話しになると、やはりアイテムより魔法の方が効果、威力を持っているという常識でアイテムは殆どガラクタ扱いにされているのが現状だという。
これらを踏まえて新たにアイテムを創るとなると頭を捻る難題と化した。
あまりにも弱~い、効果の薄っす~いアイテムしか渡せないことになる。
しかも私の持っているアイテムが強すぎなので、弱いって寧ろどういうものを指すんだったっけ?という具合である。
逆に私のアイテムの基準をオジ様に話せば、向こうも大いに悩んでいる様子だった。
あはは~、オジ様の気持ち、分かります。
そして、悩めるオジ様・・・・絵になります。
あぁ・・・携帯で写メらせて欲しい・・・・いや、携帯ないし無理だから目と脳に焼き付けよう。
打開策を考えつつ、うっとりとオジ様を見つめている私には全く気が付かずオジ様は考え込んでいた。
と、しばらくしてふと急に立ち上がる。
机の上にあった紙と羽ペンを取り出してきた彼は何かを書き始めた。
趣のある羊皮紙だと思いつつ私もその紙を覗き込んでみる。
そしてやはりというか知らない文字なので読めない。鑑定を文字に絞り鑑定したまま書かれているものを読んでいく。
彼は簡単に何かを書きながら話していく。
「妖精殿の基準のアイテム付与の威力がこのようだと、我々の知るアイテム付与はこの程度の威力だ。怪しまれないためには我々の域の威力まで下げなければならない。」
私の所持しているアイテムの威力を表すように大きめの円が書かれ、その中に彼の常識のアイテムの威力を表す黒い小さな円を書き足す。それぞれの円の上には【妖精】と【普通】の文字が書かれていた。
うーん、これが実際に本当の効力の差を表しているとなると12、いや16倍ほど差がありそう・・・。
「だがそれでは彼女の呪いに対抗できない可能性が出てくる。かといって王家所持のアイテムを拝借すれば、第2夫人に感づかれてしまう。」
『因みになんですけど、国家並みだとどのくらいの効力なんですか?』
「・・・・・・過去の戦争で現王に嘆願し拝借した際のアイテムの威力を基準にすればこのくらいだろうか。」
そういって黒い円より2倍ほど大きい円が描かれる。上に【国宝】そしてその横に【呪い】と書き足す。
「その身に受けたからの感覚だが呪いの威力も同じぐらいだというのは分かる。」
『う~ん、普段のアイテムでは歯が立たないので対抗は出来ないですね。』
確かにアイテムのランクを下げるといっていたがこれでは本末転倒だ、勝てる戦が負け戦となってしまうかもしれない。
それに、オジ様でさえ呪いを跳ね返せないのだから他の人もきっと抵抗できないはずだ。呪いで対抗されたらなぁ・・・・、私が魔法で一発退場させる?いや、多分それじゃ全員守れない。
今までの経験上ごり押しして得たものは手もとに残った試しがない。
最低限、自分の身は守れるようにしてもらわないと1人なんて絶対無理だ。1人でしようなんてたかが知れている。
「妖精殿、もし可能であるなのならこういうはどうじゃろうか?」
私が黙ったまま考えていると、オジ様が何かを書きだす。私は彼の書いたものに覗き込んでみた。
2重の円がそこに書き足される。
「中の円が実際の威力として、その円の周りを工作してアイテム効果の認識を我々の普通の威力の認識にすり替えるのは出来ないだろうか?これだと、周りには分からないと思うのだが・・・?」
オジ様の案は外の威力が本来のアイテムの効力で認識能力や魔法では感知されないようにバリアのようなものを張って分からなくするようにする訳か・・・・。
確かに私はそういう目くらましも使えるから問題はない・・・・けれど。
『ルドルフさん、それでは恐らく駄目です。』
だが私は彼の案にきっぱりと否を唱えた。
『確かにこれだと敵には気づかれない、当事者ではない人達には分かりません。でも、それじゃだめだと思います。』
「それはどういう・・・・?」
『私は、騎士の人達にも分からないように隠すべきだと考えているからです。』
言い切った言葉を理解したルドルフは驚いて私を見つめ返してきた。
まず初めに、いつも読んでいただきありがとうございます。
この前ある話しの漢字訂正のご指摘があり訂正させていただきました。ご指摘していただいてくださった方ありがとうございます。本当は漢字間違えたり文脈変だったりしたまま投稿するのは勿論、駄目な事と理解はしていますが、こうしてわざわざ教えてもらえるというのはありがたいなと思うと同時に、読んでもらえてるんだなぁと嬉しく思ったので今回こうして長々お話させていただいてます。本当にありがとうございます。次回も来週の土曜日に投稿予定です。