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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第1章~夢現編~

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19/767

如何にして私はここにやってきたのか(本人だってよくわかっていない。)⑲

3/22:文字が抜けている箇所があり書き足しました。

4/16:一部言葉を付け加えましたが話の内容の変更はありません。



「・・・兄上。あと準備に1時間はかかると思う。それまでに部下に指示出してくるから屋敷にある罪人用馬車をひとつ貸してくれ。」

「お、おぉ・・・アイーゼを乗せる馬車じゃな?構わない。場所はロゼフから聞いてくれ。」


早馬の彼の姿が見えなくなるのを合図にハーティスの要望にやや遅れてルドルフは返事をした。それを聞いたハーティスはルドルフの許可をもらうと早速別の作業に取り掛かり始めるのを見て、私もはっとする。


時間は限られている、それまでに他の人にあげるアイテムを作り上げなければ!



「・・・・妖精殿。」


やる気を出していざ戻ろうとしたら、今度はルドルフさんが私に呼び掛ける。


『・・・?はい、なんですか?』

呼ばれたので私は返事をして振り向けば、彼は私を見ず前を向いたままだった。


『ルドルフさん・・・・?』

彼の表情はわからないが先ほどと打って変わって彼から何か緊張した雰囲気が漂っているのが見て取れ、私は思わず彼の名を呼んだ。


先ほどまで普段と変わらない様子だったというに一体どうしたのだろうか・・・・?


沈黙が下りるかと思ったが彼は話し始めた。


「先ほど早馬の彼に何か色々渡していたアイテム。あれらの付与効果を感じた時に非常に強いアイテムというのはわかったのじゃが、妖精殿が作り出したものですか?」

『・・・そうですね。私の持っている私物から作り出したアイテムですが・・・・。』

「・・・・そうですか、貴女があれらを作り出したんですな・・・・。」


聞いてきた内容に素直に答えると、ぽつりと漏らすようにそう言うと彼は一度黙りこみ、前を向いていたが振り向いて私をじっと見つめるので思わず私もじっと見つめ返した。


けれど彼の聞いてきた質問の内容も彼の様子も今ひとつ理解してない私は首を傾げるしかできない。


・・・・え?オジ様?どしたの?


一体全体なんだ?と思っていると、今度は彼は頭を思いっきり下げられ、不可解な行動をみせる彼に対して私は更に困惑した。


私が困惑しているのを知らないまま彼は絞り出すような声で話し始めた。


「・・・あれ程の力を持ったアイテムなどわしの周りには他にない、あの付与効果など国宝級のものだと理解できる。おいそれと出せる代物でもないということも理解できる。・・・じゃがそう思ってしまったわしを、こんな願いを言ってしまうわしを貴女に人の傲慢だと罵しられてるのも仕方ない。ハーティスはそれを言うまいと貴女から離れたのだろう。わしより、出来た弟だ、自分が恥ずかしい・・・。だが妖精殿それを承知でどうか・・・頼む。この時の機会を逃さないためにもわしらにより成功を収めることができるアイテムを授けてもらえないじゃろうか?」


・・・・な、なんかオジ様に頭下げられている!


というか今聞き捨てならないことを耳にしたぞ。


さっきのアイテムが・・・・国宝級?あれが?


確かに自分ではコレクションに飾っているほど気に入っているしノーマルじゃなくて課金アイテムレア度6の代物。


だけど私からみればまだ付属効果をより突き詰められる改良の余地のあるアイテムという認識だし、そんなにレア高くないからお守り程度の気持ちで作ったのに・・・・まじ?


私からみれば然程(さほど)なアイテムがどうやら彼らにとってはとても効果高い代物だという事実に半信半疑で彼の言葉で理解する。


けれど彼のこの様子だと嘘を言っているようにも見えない。

ただ良かれと思ってしたことだったのだが、なぜか彼をこんな風に苦しませる結果になってしまったのか?



もしかして・・・と自分のある考えに行きつき、私は未だ頭を下げ続ける彼を見てそういう事なのかと推察する。


でもそうだとしたら、知らなかったとはいえそんなものをホイホイと軽い気持ちで渡してしまった私が逆に傲慢ではないか。



頭を下げられたままのオジ様に私はオロオロしていたがすぐに落ち着きを取り戻し、彼に声をかけた。


『ルドルフさん、どうか頭をあげて下さい。謝るのは私の方です。・・・・ごめんなさい、良かれと思って渡したアイテムがこの時代では人を左右するような代物だと思わなかったんです。』



私の言葉に彼はゆっくりと頭を上げる、彼の顔にも沈痛な表情が浮かんでいた。

その表情を見て私は彼があれらをみて何を思ったのか今更ながらに理解する。


『貴方はとても強い人です、恥だなんて思わないでください。・・・それに私は惜しみなく手伝うと決めたからルドルフさんは何も謝ることはないんです。むしろ、気づかせてくれてありがとうございます。私に教えてください。このアイテムが()()()()()()なら先のいざこざが起きない程度なのか、貴方と相談しながら作りたいと思います。まだ、時間はありますか?』


私がそういうとより彼は顔をくしゃりと歪めたので、私の言ったことは正解だと知る。



彼は願いながらも恐れているのだ。


私の作り出すアイテムは様々な状況を打破する可能性を秘めているという希望を。


けれど同時にそのアイテムによって新たな火種が起こる可能性がある危険性を。



超人にしてしまうこれらのアイテムを欲しがる人は数多くいるだろう、それで彼のように欲してしまうのも無理はない、それだけこれはこの人達にとって誘惑の強いものだったのだ。

そして、もしこのアイテムたちが正しく使えない人に渡れば・・・脅威になる。


今もどこかで呪いで苦しめているあの女性と同じように・・・・。



「・・・無理な願いを言ってすまない。気丈に振舞っていたがどうやらわしは愛する者達、友人達の死の危険を身近に感じて少し臆病になってしまったのかもしれん。」


俯きそうになる彼に、彼の右頬に人差し指で触れると彼ははじかれたように俯きそうになっていた顔を上げ私をみた。


どうやら指の感触が伝わったらしい。


『それ以上言うと私も怒りますよ?それにそんな顔は貴方に似合いません。大切な人を失う恐怖は私も少なからず分かっていますから。』


彼から離れて、私は進み始める。


『それよりルドルフさん、。そんな裏操作する、なんて共犯ですよー。その辺りの心積もりはしていてくださいね。なにせ法律と同等の王家まで欺くことになるんですから。じゃぁ良い感じのアイテムづくり手伝ってくださーい。ほらほら行きますよー。』


そういって明るく言うと進み始めた私をだた静かに見つめていたが、ほんの少し微笑んで彼は私の後をついて歩き始めた。


・・・ふふふん、そうこなくっちゃ。


歩き始めた彼の姿にほっとしつつ私は、不謹慎ながら別の事を想い・・・にやり、と笑う。


敢えてアイテムランクを下げて頭を使って戦略するこういう縛り設定・・・嫌いじゃない。



『ところで、どこで作ります?』

「・・・・そうじゃな。誰も入らない・・・わしの書斎に行こう。」


彼女のゲーマー魂に火をつけたとは露知らず、ルドルフは書斎へ足を進めたのだった。




『あ、そういえばルドルフさん、さっきの馬は魔法なんですか?』


進みながら私は先ほどの出来事をルドルフに伺う。

小さな石から現れた美しい馬の形をとった不思議な生き物。

私にとって初めて光景だ、しかもゲームの中でもあんなもの見たことはない。


「妖精殿は霊獣をみるのは初めてですかな?」

『霊獣?はい、今回初めて見せてもらいました。』

「そうですか、霊獣は唯一私達プラメイト族のみ与えられた神の加護の代物です。」


彼は歩きながら話し始める。




現在この世界に存在している人族はプラメイト族の他には魔人、エルフが存在する。

古来から種族の血筋によるものか魔人は攻撃系魔法を得意とし、エルフは守護系魔法を得意としているが、プラメイト族は2つの種族程魔法は得意ではなく強い魔法を使用するのにも魔法陣を用いないと難しいのが今現在の現状だ。




だが、他の種族にはない別の加護がプラメイト族にはあった。

それが霊獣という存在である。

平民は魔力素養が高い者だけに、貴族は慣例として5つになる年に教会で『霊獣の卵』という聖石を頂くことになっている。それが彼の持っていた先ほどの石で、3日3晩祈りを込めると体内と同化し、同化し終えた後あのように霊獣が姿を現す。

勿論素養が高くても霊獣が現れないこともある、霊獣を使役している者はそれだけで注目されステータスにもなるのだ。

上手く同化できた霊獣は持ち主が死ぬまで持ち主を護り、時には供に戦う相棒となるのだそう。

そして持ち主が亡くなれば光となって舞い上がり、聖石が安置されている神殿へと戻りまた持ち主が現れるまで深い眠りにつくのだそう。



「人によって霊獣の姿は変わり秀でた能力もそれぞれだ。あとは歴代ある家には家督を継いだ者のみ、その家の真名と守護霊獣も譲り受けることになっている。守護霊獣は持ち主が死んでも神殿に戻ることはなく次期家督者へそのまま同化する。なので私は2体の霊獣を持ち、ハーティスは己のみの霊獣1体をこの身に宿して居る。」



ほーん・・・だからオジ様自身を鑑定した時の名前には『フェルザ・D』という文字があったのね。それでハーティスさんは同じルーザッファ家だけど家督継いでないのでハーティス=ルーザッファと名乗ったと。アドルフとメイサさんはオジ様直系家族だから真名を名乗れるのか・・・・、成程納得!



でもいいなぁ・・・霊獣。私のゲームでは召喚獣っていう項目なかったからなんか新鮮。

まぁ私にはたくさんの相棒(補助道具)がいるから困らないけど、でもなんかああいうカッコイイの見ちゃうとちょっと羨ましい。




・・・・ん?でもわたし、召喚獣みたいな設定考えたこともないのになんで夢に出てきたんだろう?


でもまぁいっか。そんなことよりアイテム作りに専念せねば!オジ様のお眼鏡にあったもの作りたいしね!

とどのつまり、私は別に不可解なことを解明する気はないのだ。夢なだけに。



私は頭を切り替えて彼に続いて書斎の部屋へと入っていった。


さぁ、お仕事させてもらいますよぅ!


私ただいまから仕事モード、突入です。


いつも読んでいただきありがとうございます。

次回は来週土曜日に投稿予定です。


設定:他の人型の種族がいるので彼らのことを人族と総称すると・・・なんか劣っている感じがして嫌だったので今回表現に使ったプラメイト族という彼らの種族の名前を造語しました。一応の由来は実は・・・あります!いや、そんな大したものではないですごめんなさい。

人=万物の霊長類→霊長類=Primates→大体の発音をカタカナで表すと プラァィメェィトゥ

→プラメイト族にしました。結局周りくどく人族と言っているだけです。



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