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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
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出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(カッコイイ!可愛い!私の相棒さん!①)

今回から第3章後半となります、生暖かい目で見て頂けたら幸いです。




人の悲鳴、周りを破壊する爆音を頭の何処かで聞きながら、あぁやべーな、ここから逃げないといけないなーとかぼんやりと思いながらも私の体が全く動かないのでそのままその場に固まったまま私は目の前の光景に目を向けながらも、人は何か自分の力以上な事が起こると只々それを凝視するだけしかできないという事を今身をもって知った。


一体全体・・・なんでこうなったんだっけ?


頭上を見上げたまま私は、今こうなった出来事を順序良くゆっくりと思い出していった。





――――――――――――――――――――――――



――――――――――――



―――――――




私こと、ティリエスが何もせず棒立ちをしている今から3週間と数時間前に時間は遡る。


レイア歴1012年6月

とうとう私も5歳という節目の年を迎え1ヶ月経とうとしていた。

5歳になったからと言って自身が何か変わったりということはないが、今までの生活の面でいうなら劇的に変化があった。

何故なら―――。



「はぁ・・・可愛いですわぁぁ。」


ティリエスは覗き込みながらその存在に甘い吐息を吐くように呟く。

それは一度ではなく何度も何度も時間を空けてはその存在に可愛いと呟き、それから目を離さないでいた。


そこに居るのは、ベビーベッドですやすやと健やかに眠る双子の赤ちゃん。

つまり自分の兄弟である。

あれから順調に育った双子は今年の4月に産声をあげた。

2度目の出産なので母であるリリスは随分落ち着いた様子で、実際出産もスムーズだったが私と父は気が気でなかった。

母が呻くように力む声が聞こえれば2人で手汗握り息を止め、夜中の産気づきだったが勿論そんな状態で眠気など起きるはずもなくそれはそれは緊張した面持ちで扉の先で頑張っている母を応援した。

夜中からいつも間にか空が白み始めた頃、双子が大きな産声を上げた時の声を聞いて父と共に喜び嬉しさあまりに感じたあの感動は今でも忘れられない。


ジョアナお祖母様の迅速な対応もあって何事もなく産まれた双子はどちらも男の子で、双子の兄となる名をアドリウス、弟の名をリドルフと名前が決まった。

どちらも父譲りの黒髪で瞳の色はアドリウスが父の紫の瞳の色を受け継ぎ、リドルフは母の緑の瞳の色を受け継いでいるが、今は残念ながら目を閉じているのでその瞳を見ることは出来ない。


寝ている時も可愛いけれど、起きてうごうご動きにっこりと笑う姿ときたら。


「もう・・・メロメロですわぁ・・・。」

「ティリーったら、また弟達にメロメロなのね。」


後ろの声にティリエスは素直にこっくりと頷く。

「はい、だって私の弟達・・・天使ですもの。」

うっとりと言い返したティリエスに苦笑いし、母親であるリリスも同様にベビーベッドの中を覗き込む。


「ふふ・・・良く眠っているわ。こうしていると赤ちゃんだった頃のティリーそっくり。」

リリスが双子の頭を撫でると、ふにゃふにゃと身じろぐと共に眠りながらにこーっと笑う。


はわっ!今のはシャッターチャンスだった!あぁ!この世界に写真技術がすすんでいれば!


ティリエスがそう胸の内で悔し涙を流していると、リリスに声をかけられた。


「そろそろお勉強の時間よ。さ、もう行かないと、今日はお父様に教わるのではなかったかしら?」


あ、そういえばもうこんな時間だ、いっけねー。

リリスの言葉に渋々ベビーベッドから離れる。

残念だが、こればっかりは仕方がない・・・行ってくるか。


「分かりましたわ。では、お母様行ってきます。」

「はい、行ってらっしゃい。」


リリスと双子たちに別れの挨拶をしたティリエスは部屋を出て、今度は父の書斎へと向かう。

今回は先ほども母が言った通り、父が教えてくれることになっている。

いつもなら家庭教師たちが教えるのだが今回は勝手が違う。

何故直々に父が娘に勉強を教えるのか?


その理由は・・・と、その前に―――。


ティリエスは足を止め父の書斎に控えめにノックをする。

するとすぐに向こうから父の声が聞こえた。


「お父様、ティリエスです。お時間大丈夫でしょうか?」

そういうと、ギィっと扉が開く。

開けてくれたのは我が家の従者筆頭であるロゼフが扉を開けた。

おや、今日はログさんではないのか珍しい。


ログというのは父の長年の専属従者という立場でありロゼフさんの息子さんでもある。

大概ログさんが書斎で右腕として父の仕事を手伝っているのだが今日は違うらしく今は席を外しているようだ。


にっこりと笑いながらロゼフに会釈し、中へ入ると父は机に広げた書類とにらめっこしていた。

おや、もしかしてお取込み中だったのだろうか?


「ティリエス大丈夫だ。この書類はさっと目を通したいだけだから。」

そう言って書類を目で追っていた父アドルフは書類の紙を机を使って纏めるとロゼフにそれを渡す。

その行動を目で追っていると、ぱちりと父と目が合う。

父はにこっと笑って私の前までくる。



「さて、ティリエス。今日は私が勉強・・・いや、しきたりについて教えるがいいかい?」

父の言葉にほんの少し緊張を持つ。


しきたり・・・そう、今回は5歳になった私に父からこの国のしきたりを教わることになっている。

特に貴族は家庭教師という他人からはこのしきたりを教わることはなく、必ず親、もしくは両親がおらず後見人になった親族から教わるのが通俗(つうぞく)である。

どうして他人からでは駄目なのか、その理由をすぐに父は口にした。


「じゃぁ、今日は早速、己の技量(スキル)、そしてプラメイト族のみ女神から授かった霊獣の事について話しをしようと思う。今から私の技量を見せるけれど、他人には他言しないこと・見せない、特に他人の技量を強要しないこと。そして自分の技量を見せていいのは自分の家族だけだからよく覚えていなさい。」


そう、今日は個人技量を他人には教えてはいけないという国の決まりがあるため、今回父は私に直々に話し時間を設けたのだ。

神妙に言われたティリエスはコクっと父に大きく頷く。

そんなティリエスににっこりと笑うとアドルフは、ロゼフにある物を持ってくるように指示を出したのだった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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