出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(嬉しい!悲しい!諦めない!㉗)
前回同様どうもパソコンがおかしいので携帯でパチポチ・・・確かに購入して10年経つし、でもサクサク画面見れるのでキーボードの反応かな?と思ってアマズーンで頼んだが駄目だったときを考えアイパッド契約しました。勿論分割です。( ・ิω・ิ)
ディオスの思いがけないその言葉にティエリスは驚きつつも彼のその先の手紙の内容に目を走らせていった。
彼の手紙の続きにはこう記されていた。
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これには様々なケースがあるが私の場合は両足の指が人より1本多い状態、これを多指症というがそれだけの状態で特に何も身体の異常は見られなかった。
ただ、私は生まれてから自我というものが約5年の間見られず周りには随分と心配していたと後から兄達から聞いている。
それからこうして、魔力を活かした職についたということだが・・・、ここから先は兄達にも話したことは無い私が体験した話しだ。
初めに意識が浮上したのは母の胎内だった。
身動きが取れず、私は目も耳もないはずなのに何故か外の世界が見れていた。
私が体験できたそれは、私の片割れも同時に体験していて、偶に自分の見ていた景色が変わったりしていた。
初めは楽しかった様に思う。自分と同じ片割れがいて、母の優しい穏やかな感情を感じ包まれている感覚を味わっていたから。
だか、私達の身体が形成と成長し始めてからおかしくなっていった。
まず母の体調が崩れていった。
その度になにか母から得体の知れないものが規格外の量になって私達の中に入り、そのまま取り込んでいかないといけない。
抗えずそれを受け入れることは私達にとっても苦しいだけだった。
それだけではない、母が苦しむ姿を見るのも片割れもその大きなものを無理に取り込み苦しんでいる姿を見るのも。
何より、私達の中に入ってくるものが大きくなるに連れて、母の命が弱くなっていく事実を突きつけられた時は・・・自分なんか生まれなければいいとそう思った。
外から聞こえる母を気遣う声に、子供を身籠らせたことを後悔する父の声が聞こえる度に、私達は罪深き存在だと思った。
だがその度に母は、私達に語りかけていた。
自らの手で腹をさすり、励ますように話しかけ、時には私達に掠れた声で子守唄を歌ってくれた。
それから暫くして、まだ私達が6ヶ月の段階で母はもうすぐ死ぬとわかったとき、こう思った。
母とともに死ねるならもう、いいと。
諦めたのだ。
私は産まれて生を全うするという事は嫌だと思った。
片割れもそう思っていると思っていた。
あの大きなものも母からぱったり流れなくなると私達も衰弱していき段々意識が浮き沈み始めてから暫くして、私は初めて片割れの存在がはっきりわかった瞬間があった。
片割れから声や触れたわけでもなかったが私の中から声がした。
『僕は、もう駄目だから・・・一緒に生きるより君だけ・・・生きて。僕達の罪は自分が持っていくよ。さようなら、もうひとりの・・・僕。』
ごめんねとその謝罪の声を聞いた後、片割れは何かを私へと送り込んだ。
其れは強く私の中へと取り込みまれていき、私はそこからぷっつり記憶がない。
恐らくだが、あの時私の片割れは自分の命を私に譲ったのだろう。もうひとりとも言える私は私より状況を理解しそして、自分を犠牲にして私を生かせることができると知ったのだろう。
もうひとりの私は私だけを生かした理由は生きて欲しいという願いなのかそれともあの時私と同じ様に楽になりたいと思ったからなのか、その問いかけは今も私には分からない。
死のうと思っていた私だったが、生きることを選択した。
そして、出来ることなら私達のような境遇の人を護れる場所を作るためにこうして今王都にいる。
幸い私達は魔力が総じて高く優秀な人間も多い。
リスクもあるが問題は私にとって些細な事で問題なかった。
そうして気がつけば幸か不幸か私の働く場所には私に似た境遇の人は集まっていた。
そこで私は他にも聞いてみた・・・が、皆私の様に胎児から記憶がある体験をしたことはなかった。
私とは違う・・・けれどやはり話しを聞けば皆普通ではなかった。
皆赤子の頃から自我を持ち、見聞きが随分早い段階から出来たそうだ。
それが余計に家族を気味悪くさせて、孤立していったそうだが。
私だけが体験したこと、そして他の人の体験。
それらの相違から何かが分かれば幸いだ。
君は他の人より柔軟で子供からの視点も大人顔負けの知識を持ち合わせている。
ティリエス
君はこれを読んでどうするのか私は分からない。
私から言える事は、どうか君が悔いの無いようにしてほしい。
あの日今でも思う、もし、私が諦めず片割れの手を離さなけば違う未来があったのではと後悔することもあるのだ。
諦めて後悔だけはしないでくれ。
どうか、身体を大切に。
ディオス
いつも読んでいただきありがとうございます。
裏設定:ディオスが自我が再度目覚めた後、彼は何日も泣き崩れていました。母ともうひとりの自分を殺してまで生きていることに絶望していたそんな彼を励ましたのは兄達2人。母の遺言を守りたかったのと自我が目覚め絶望している弟を護りたいとこの時強く思ったからだそう。