出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(嬉しい!悲しい!諦めない!⑯)
しまった、金曜日に投稿できなかった・・・申し訳ありません。
なんという事だ・・・人に教えるというのはこうも快感だったとは。
それから武器を持ってくる騎士達にティリエスは彼らのダメ出しという名のアドバイスをしていた。
彼らと接してみて分かったことは、彼らは1人1人きちんと長所を生かした戦略・技・武具の扱いに長けてはいるが、その反面癖の強い彼らは万能、臨機応変に出来る人間が少なかった。
なので反対に苦手な種類の武術では彼らの強さが半減以下となってしまう。
確かに得手不得手が人にはある。それに何かに特化した類に人を分け有利に戦略を練って事に当たることが多いだろう。だがだからといってその作戦が上手くいく保証は何処にもないし、相手と生き死にを争い戦う騎士にとって弱点をつかれてしまえば致命傷だ。グリップ卿にその事を指摘すれば痛い所をつかれたようにバツが悪そうに頭を掻いた。
まぁ、それはおいおいきっと改善されるだろうから置いておいて。兎も角、彼らに其々直した方が効率が上がるであろうアドバイスを自分が言えばほいほいと直ぐにやってのけてしまう彼らを見てひどく気持ちがいいなとティリエスは満足しながらその快感に笑みを浮かべた。
流石皆さん毎日欠かさず鍛錬しているので早くに習得してしまう流石です!
しかし、こんな子供用の木の剣も持ち上げられない幼児にこうも真剣に話しを聞いてくれるなんて・・・皆さん滅茶苦茶紳士な対応だな、正直嬉しいな。
これは私も変なアドバイスしないように分析しっかりしないと!!
なんてそんなことをやっていたらとっぷり日が暮れてしまい、別件で屋敷に帰っていた父とラディンおじ様が私が帰っていないことに気が付き慌てて戻って来た。
確かに貴族の女の子はこんな夕方遅くまで外出はあまりしない・・・いっけねーやらかした。
だが後でお説教されたのは私ではなく、部下であるグリップ卿含め騎士の皆さんがラディンおじ様にお説教されていたのでなんか悪いことしたなと心の中でとりあえず謝っておいたが、アイルお兄様には私が想っている事が分かったようで、「ティリエスは謝らなくていいんだよ、あそこでいい大人が子供を拘束していたのが悪いんだから。」と逆に優しく咎められてしまった。
「そう、ティリエスは今日はそんな風に過ごしていたのね。」
その日の夕食、周りの騎士達が和気あいあいと食事している場所から少し腫れた場所のテーブルで食事をする母リリスにティリエスは勢いよく頷いた。
その席にラディンおじ様やアイル、数人の隊長クラスの者が一緒に席をついているが、彼らはどうやら話しながら食事というより今は目の前のお肉料理に向き合う事が大切らしく耳を傾けているが会話には参加しないようだ。
別段それに気を悪くすることなく私は隣にいる母に話しかける。
「はい、皆さん私が言ったこともすぐにやってのけてしまうんです!凄いと思いました。騎士の皆様って凄いんですね!」
「そうね、けど私はもう少し傷には気をつけて欲しいと思ったりしてしまうわ。彼女達の育てる薬草はとても効能が良いお薬が出来るから傷の化膿なんかすることはないし勿論怪我を起こしてしまえばそこは医学に携わる者としてきちんと責任もって治すけれど。」
ぐるぐるとスープを掻きまわしながら母は眉を潜めてそう言い放つ。
そんな表情をした母に父は困ったように笑い、話しに耳を傾けていた騎士達数人はこちらを見ないように不自然に皿を見つめていた。
皆どうやら思い当たる節があるよう・・・え?もしかしてお兄様もですの?
母がこの事に追及するとまずいと判断した私は話題を変えるためにそういえばと口を開く。
「そう言えばお母様、今回のお菓子は如何でしたか?お兄様が風魔法を使って今回も手伝ってくださいましたの。」
「この後デザートとしても振舞えるようにあれから沢山作りましたから、リリスおば様も沢山召し上がってくださいね。」
アイルもまた母に勧める。
と、母の顔を見れば先ほどの表情とは変わり困ったような顔になったのをティリエスは見逃さなかった。
その変化は父も見逃さなかったようで、母の顔色を伺うように父は見つめた。
「どうかしたのかリリス。何かあったのか?」
「あぁ・・・いえ、このところ少し食欲がなくて・・・。」
そう言った母の手元を見れば、確かに食べているのはいるがあまり減っていないことに気が付いたティリエスは母を心配する。
人一倍体調管理に気をつけている母がこんなに食欲がなくなるのは初めての事だったからだ。
「ごめんなさいねティリエス、実はお昼に頂いたアイスクリームも結局食べられなかったの。微熱があるから、多分少し風邪をこじらせたみたい。」
そう言う母の額を素早く父は手を添える。
「・・・確かに少し高いようだ。リリス、先に横になろう。食事はまた食欲が戻った時にでも作らせる。」
「えぇ・・・そうさせて頂くわ。」
「おば様大丈夫ですか?」
「リリス夫人、大丈夫ですか?なんならアルーシャに付き添わせますが・・・。」
「いいえそれは申し訳ないから、私なら大丈夫です・・・皆さま申し訳ないけれど先に・・・っ!」
「っリリス!!」「お母様!!」
そう言って立ち上がった時だった。母の身体が大きくぐらつき倒れかけた母の身体を父が咄嗟に受け止めた。
食器や父の焦った声に誰もがリリスの方へ視線がいく。
先程より頬が白くなりぐったりとした母の姿を見てティリエスもまた血の気が一気に下がりさぁっと顔が蒼白になっていくのが分かった。
「誰か医者を早く!!」
「私が連れてきましょう、アイル様お嬢様を頼みました。」
「ギリア!侍女をここへ!!」
「ティリーこっち!大丈夫!大丈夫だから!!」
焦った声、冷静な声・・・様々な言葉が聞こえる中母が突然倒れたことでパニックになっている私をアイルはその場から引っ張って強く抱き締める。
私はその腕の中から母の姿をただただ見ている事しか出来ないでいた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
裏設定:どうして騎士達が苦手な武器の扱いが直ぐに上達したのか。勿論、主人公のスキルが働いています。
前回出てきた指導マスター:知識経験があれば、相手に教える際相手の理解力が5倍、更にスキル所持者の運によってランダムで技、武器の扱いが一発で覚えモノにできるというスキル。知識経験は勿論のこと運も他にないほどパネェ運の数値なのでランダムなのが必ず習得できるというバグが発生している為。そして騎士達の間で主人公にアドバイスを貰えれば上達するというジンクスが広まっていくのです。