表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第3章~新しい家族編~
148/746

出来ることが増えてくると色々したくなるお年頃なんです。(嬉しい!悲しい!諦めない!④)

なんとか間に合ったので投稿します。



今でもあの2人の間に板挟みにされたことを思い出すと肝が冷える。

まぁ、そーんなやり取りをした後私が何も思う事はない・・・という風に思うわけがない。


あの時の父の言葉を思い返すと、私は暗殺者並みのスキル持っていそうな従者に護ってもらわなければ、命の危険に晒されるかもしれない・・・ということ。

魔法で全てを補う事が出来ればよかったが、魔法だけに頼ることは辞めた方が良いと前回身を持って知ったばかりだ。



私は魔法やスキルを多く所持しているが肉体面は子供のそれだ。



あのバカスの一味とやり合った時、継続して魔力消費をする魔法を使い鼻血を出した後の私の魔力量は、頭の中でステータスを出したときに十分にまだ魔法を発動しても良いほど残っているのは把握していた。

魔力量が規格外なのだから早々そんなことに陥る心配はない、だから私の場合子供の体力消耗だけに気をつければ良いと私自身が短絡的に判断してしまっていた。


だがいざ上級レベルの魔法を連続で使えば私の今の肉体では魔法の反動についていけなかったという私にとって全く以て嬉しくない結果だった。




私の場合魔力の枯渇状態になりにくい。

それどころか十二分にカバーしてしまう魔力量を持っている為、魔力欠乏症からの身体ダメージを受けるのではなく魔法使用の反動によりキャパオーバーした肉体の方が先に根を上げてしまい、一番弱い粘膜からの出血・・・所謂鼻血が出たのだ。


つまり私はまず先に生命維持を担っている肉体からガタがくる、そう、いわばドーピングしている身体を使って気づかずに突然こと切れたように体が動かなくなるという、一番よろしくない状態で身体の負荷に気が付くのである。


それを決定づけたのはあの時即座に【応急処置(ファーストエイト)】を身体にかけたが、鼻血はなかなか止まらなかった。

頭はスッキリしていったが身体は重たい疲労感を感じたままだったし、鼻血の傷口が塞がることはなく結局血で止血した。


応急処置は身体の活性化を利用した魔法だ。

元が既にキャパオーバーな肉体になっていればそりゃ効き目は芳しくないというのも納得だ。




あの時スキルで冷静だったからパニックは起こさなかったし、すぐにでも助けが来ると解っていたから強気な態度で居られたが、本当は私の方がギリギリで危なかったのだ。


でも、だからと言って従者のレイさんに護られているばかりでは駄目だ。ある程度魔法以外で自分で防衛できる手段を持つようにしないと!

私にはスキルがある。だから剣だって少しは振り回せるようになるだろう。


よっしゃ!そうと決まれば模造刀で稽古だ!!





―――――――――――――――――――――



―――――――――



―――――





なーんて勇ましく思っていた時期があったんですよ。

でも結局スキルを使っても身体がそこまでの筋力も体力も技術も皆無なので、剣を握って振るどころか持ち上げることも叶わずこうして地面を睨んでいた、というわけだ。



ついっと隣を見ればいつの間にかグリップは木刀と一緒に姿を消していた。

恐らく必要がなくなった木刀を片付けに行ったのだろう、少し申し訳ない気持ちになりつつ私の為にわざわざ置いてくれていた椅子へ腰を掛けた。


いいなぁ・・・自分もあんな風に剣が振るえたら・・・。


パラソルの下で机に頬杖をついて、騎士達の剣捌きを見てため息を吐いた。


と、そんな私の前に香しい紅茶が入ったカップが置かれる。

ぱっと紅茶を置いた白い手袋を目で追うと、にっこりと微笑んでいるレイがそこにいた。

気配もなくいつの間にか傍に立つ彼に最初は驚いていたティリエスだったが、ここ最近はそれも驚かなくなっていた。


「そろそろ休憩されると思いまして。紅茶冷めないうちにどうぞ。今日のお茶菓子はクッキーだそうです。」

そう言ってお茶菓子のはいったお皿をその場に置く。


アンでさえこのような時間ぴったりな対応は出来なかったというに、まるでタイミングを見計らって淹れてきたそれにティリエスはどうしてこうも都合よく彼が現れ対応してくれるのか毎度ながら不思議に思う。


どうしてこうもタイミングがぴったりなのか聞いてみたが、「貴女の従者だからなぁ・・・。」と意味深に笑われてちょっとばかし怖いなこいつと思ったのは内緒である。



そんな彼をマジマジ見ていると、彼の目線があるモノへ向けていたので私はそれと彼を交互を見る。

私は彼の見ているそれ、クッキーを1つ取り彼の顔の前へと近づけさせた。


「レイ、食べますか?」

そう伺うと彼は一度その冷たい群青色の瞳を一瞬だけきらりと目を輝かせ、そのまま私の手からかぷりとクッキーを食べると彼は美味しそうに目元を下げもぐもぐと食べた。


レイはどうやら甘いものが好きなようでこうして彼にあげたりしている。

本来ならこんなのマナーからいえば従者にあーんなんて良くないんだろうけど、彼が嬉しそうに食べるその姿が可愛いと思ってしまったので・・・まぁいいかとそう結論付けた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ