表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
136/747

まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㊿と⑧)




こうして、公爵家を巻き込む形となったとある男の残虐事件は幕を閉じることとなり、犯罪を犯したその男は当然罪人として拘束された。


最初こそ威勢が良かった男だったが拷問を加えた尋問に対しあれだけあった威勢は次第に弱まりぽつりぽつりと話し始めた。


今では交流がないエルフの女性がこのような劣悪な場所に居たのかと問えば、身売りとして連れてこられそれらを買い取り奴隷紋を刻んだと証言。


やりとりは買い手の自分と売り手の人間しか知らないことで女達は自分達が金で買われたのだと当初理解していなかったようだ。


ようやく理解し逃げようとする彼女らを故郷から売られたと言い、また見せしめに逃げようとした者の拷問の様子をみせたことで恐怖を刷り込ませ自主的に逃げないように洗脳していったのだという。


男は拷問中に所々抜け落ち、不揃いに並んだ歯を見せつけながらにたりと笑みを浮かべて話していた。


聴取に当たった騎士は、この男の異常さに吐き気がしたという。



そして他国の人間を巻き込んだ事件という外交問題にもなりかねないその大きな事件に、その男は拘束されてから1週間という異例の早さで王の元段階を踏まず最終裁判が掛けられ判決が下された。


勿論有罪。


一番過酷だという牢獄【マスティマの牢獄】で無期懲役が言い渡され男はわめき散らしながら収容されていったという。



これと同時に娼館として運営していた場所では利用していた客、運営資金繰りをしていた貴族の名簿ももみつかり、この事件によって公になった腐った貴族らを一掃することになり、当面貴族の間で騒がしくなったというのは言うまでもない。







ところ変わって、粗方の騒動が落ち着きティリエスも父達に連れられ無事屋敷に戻ったものの、やはり無理がたたったようで帰って来た途端、彼女は発熱に見舞われ2日程動けずにベッドから出られない状態を強いられた上に、両親から、何より使用人たちから心配されたティリエスは結局1週間は部屋から出られずにベッドに横になる羽目になったのだった。



ティリエスは本当ならティキの様子が気になりせめて4日目には部屋から出たかったが、今回酷く心配させてしまったことは反省していたので、彼女は甘んじて1週間きっちりベッドでの休養をしたのだった。



そしてきっかり1週間後、ティリエスはすっかり回復し鏡の前にいる少女の顔をじっと見つめたあと、血色の良い顔の少女がにっこりと笑う。


「よしっ!完璧ですわ!」


そう言ってティリエスは部屋を出る。

朝には遅く既にお昼前の時間となってしまったが、ティリエスはある場所へと赴く。


向かった先は厨房で、相変わらずここは誰もが忙しく働いている。その中にいる1人を見つけてティリエスは近づいていった。


「っ!!お嬢様!ここに来てもう大丈夫なんですか?」

一早く気づいた料理長であるギリアが声をかけて心配そうにこちらを見つめる。

そんな彼ににぱっとティリエスは微笑む。


「はいっ!すっかり良くなりました。これもギリアが毎日美味しい栄養のつくものを作ってくれたお陰ですわ!」


実はこの1週間、母の監修の元滋養に良い物や消化の良いものを食べ続けることになった。

得も言われぬ味の滋養の物もあったのだが、そこはそっとさりげなくギリアが料理で味の変化や薬草特有の苦みなどを緩和してくれたお陰で、私の舌は護られたといっても過言ではない。


ギリアにそのお礼と今日からお粥ではなく普通食になるので、今日は何が出てくるのか気になったのもあってここへやって来たわけなのだが、なんと彼の前にある寸胴鍋には最近よく見られたお粥が並々とありティリエスは思わず目が点になった。


お粥地獄から解放されたと思った途端、実はまだお粥が待っているのかと思ったショックは計り知れないものとなった・・・が、それに気が付いていないギリアはティリエスの見ているものを見て「あぁ・・・。」と苦笑いを浮かべてその中身をゆっくりとかき混ぜる。


「これは、ティリエス様の昼食ではありませんから。ちゃんと普通のお食事にしてますよ。」


ギリアの言葉に安堵したティリエスは、そんなに酷くショックな表情になっていたのかと少し恥ずかしくなり顔を赤らめた。


だがそれもすぐにある疑問に首を傾げる。


「確かに私とティキさんだけではとても食べきれない量ですが、ではこのお粥は一体?」

「・・・・すぐに分かることになるので話しますが。」


ギリアは一度言葉を区切って、言いにくそうに口を開いた。


「実は、お嬢様が巻き込まれたあの施設に居た女性達と子供達がここで治療を受けているんです。」

「っえ?!」


その言葉にティリエスは驚いた顔をしたのだった。



いつも読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ