まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㊿と⑤)
すみません、今日は短めです(のあぁぁ・・。)
いつも読んでいただきありがとうございます。
「・・・・みろ、お前のせいで信用されないじゃないか。」
「え~・・・まさかの俺のせいなのー?」
バカスの言葉にため息交じりで不満を言うレイにグリップもまた不服そうに言い返す。
その返事にレイもまた苛立ったのか自分が引きずってきたものを乱暴に片手でブンッと前方へ抛り投げる。
ドシャッと鈍い音と共にバカスの目の前に見るも無残になった人間が横たわり、痛みのせいか小刻みにその身体は震え微かに呻いていた。
「こ、これはお前がっ!」
「あぁ?・・・いいや、これは俺じゃない。」
レイはきっぱりと否認し、そして隣にいたグリップに目を向ければ、彼は気まずそうに苦笑いをする。
「ごめーん、それ俺だわ。」
「寧ろ俺はやり過ぎないように止めてやったなぁ・・・そいつも感謝して泣いていたぞ?」
これがやり過ぎじゃないというのかっ?!!
そいつ呼ばわりされた目の前の男をもう一度見やる。
辛うじて息をしているその男は顔は殴られたのか酷く腫れ体中至る所に殴られた痣と正反対に折れ曲がった足のその悲惨な姿に、バカスはその様変わりした男を見て蒼白する。
「こ、こんなの騎士道にっ、はっ反するんじゃないのか?!」
次は自分がこうなるかもしれないという恐怖で裏返った声で言い放ったその言葉を耳にしたグリップがヘラヘラしていた顔を瞬時に冷たい表情へと変えた。
その表情で自分が失言したのを理解したバカスは思わず小さく息を呑んだ。
「お前に騎士道の云々を語る資格ねぇだろ。・・・ふざけんなこのクソが。」
チャキとグリップが剣を構える音が聞こえ、バカスの頭の中で警鐘が鳴る。
騎士・・・剣を扱う者の殺気、威圧。
そんなもの、貴族の一環として剣を少しかじった程度の自分でも嫌でもわかるその重圧に、この場から逃げなければと本能が告げてくる、
銀髪が駄目なら向こうの騎士をどうにかすれば良いと思った自分を殴りたくなる。
この騎士の前に出れば・・・すぐに斬られる、殺される!
「観念しろよこのドブ野郎っ。よくも・・・よくも守るべき女性達に・・・あの子にっ!お前は同じ男からみても吐き気がするっ!!お前は苦しんて苦しんで苦しみ抜いても地獄しか与えねぇ!!お前にもう救いがあるなんて思うなよ!!」
「ひ、ひぃ!!」
グリップの怒気に怯むバカスの股間から生暖かいモノが流れ履いているズボンを濡らしていく。
そんな痴態な姿に眉を潜めることもなく鋭く射る眼をした彼に、バカスは思わず左の道に駆け出した。
脚をもつれそうにしながらバカスは少しでも彼らから距離をとりたくて走り続ける。
そんな必死なバカスに2人は冷めた眼で見送ると、先に口を開いたのはレンだった。
「いいのか?別にここで仕留めても良かったと思うんだがなぁ?」
「そーだね~・・・でも、それはアドルフ卿がするからいいよぉ。それに、俺達は計画通りここからあいつをそっちに向かわせればいいんだから。」
そう言って彼の進んだ道をじぃっと見つめた後、彼は自分の剣を抜刀する。
そうして剣先をあるモノへ向けた。
それを見てレンは小さくため息をした後グリップを見つめる。
「いいのかぁ?そいつも重要参考人という奴だろ?」
目の前で倒れているそれがどういう人物なのかレイは一応言葉を掛ける。
だがグリップはそんな言葉を聞いたところでやめるつもりは毛頭なく剣を大きく振り上げた。
「一番の主犯が生きていれば大丈夫だよー・・・それに、こいつにもし遭遇するなら、俺決めてたんだ。・・・俺がこの手で殺してやろうって。」
「まぁ・・・問題なければいいかぁ。」
レイのダルそうに相槌を打つ言葉と共に鈍い音が響き渡った。
裏設定:~レイの言う「寧ろやり過ぎないように止めてやった」件編~
数人がとびかかる雑魚に辟易しながらも、借りた剣の鞘を抜かずそれで相手の脳天を直撃させる。レイの上半身に新しく飛び散った血が付着する。自分が拳で一撃喰らわせれば即死して楽だというに、それを公爵によって待ったを掛けられてしまい自分は彼の剣を使ってでしか攻撃が出来ない。制限をかけられたことに少々不満と結局正装した服は相手の返り血で早々に駄目にしてしまったことに不満を感じつつ相手をのしていくと、ある一角を見てふと動きを止めた。みれば、今回の相棒であるグリップがたった一人に対して馬乗りになってボコボコにしている。しかも、相手は既に脚を折られたこともあり戦意喪失状態である。倒す相手もいなくなり、レイはゆったりとその場へ赴き彼の顔を覗いて思わず人とは思えない表情に笑みを浮かべる。先ほどまで飄々としていた奴がそんな顔をするのは珍しい。
「止めないでよ。」先にグリップが言う。
「こいつ、ティキちゃんに酷いことしてきたんだよね~・・・だからさ、ここで殺そうと思って。」そう言う彼に成程と納得しつつも、公爵の言いつけを守らなければいけないことを思い出しレイは口を開く。
「出来る限り人間は生かせ、という命令だが?」
「じゃぁさ。」
そう言ってくるりとグリップが振り返る。
「君は許せる?もしティリエスちゃんがこいつに酷いことされているって分かったら?」
そう言われて、レイは少し考えて想像する。
「そうだなぁ・・・許せないなぁ。」
「だろ?」
そう言う事なら俺はこいつの行動に口出しする理由がない・・・が、それだと少々生ぬるいな。
そこでレイは自分がどうやってこいつをどうするのか彼に助言をすることにし、今思ったことを口にする。
「俺なら・・・こいつのピーーーーをしてこれをバキューーンで、そしてピー――でピーーーで最後にピーーーを引きちぎるな。」
「・・・・ごめん、今正気に戻ったわぁ~。なにそれやばいわぁ~レンレン。」と大分引き気味に答えるグリップが居た・・・というやりとり。因みにボコボコにされていたのはラビさんです。そして彼が何を言ったのかはご想像にお任せします。