まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㊿と①)
今日はまたまた短めです。(うっ!すみません。)
今回のサブタイトルなんですが、本当は51と書きたかったんですが・・・なんと51から〇の中に数字をいれる表示が出来ないことをこの年齢になって知りました。(無知でございました・・・すみません。)あとはこんなに長くなると思っていなかったのも敗因の1つです。少し読みにくいですが今後は今回のように『51=㊿と①』という風に表現させていただきます。ご了承して頂けたらと思います。
確かに相手に怒鳴り現状に苛立った様子をみせてはいるが、最初に私に怒りを爆発させて起こした向こう見ずな行動がそれ以降鳴りを潜めている。
ティリエスはその行動を選択したバカスという男に対して違和感を覚えていた。
初めて出会い、彼とはたった数分しか会話もしていない。
だが、ティリエスはバカスという男がどういう者か少なからず理解しているつもりだ。
傲岸不遜な態度に短気、そして自分より弱い者だと思う者を虐げ常に優位に立ちたい欲求がある。
それが地下にいる子供達のあの姿と周りの部下の反応でもあったあの恐怖でねじ伏せていた一部始終。
ならば尚更、私という存在が目障りなはずだ。
彼にとって子供という存在はすぐに牛耳れる対象。
普段から侮っていた子供という私が、大人に頼らず反抗して防衛魔法で障害を作り出して抵抗し、しかもその魔法に為す術もなく、傍から見れば良いようにされているこの現状はバカスにとって怒り狂う内容のはず。
それなのに彼は何もしてこない。
ティリエスは手に顎をあてて考える。
この状況にどうして彼は黙っている・・・いや、どうして我慢が出来ているのか。
もし、彼のしている我慢・・・それは先の未来で自分のその行いが報われると信じている、信じられる何かがあるとしたら・・・?
それは一体なんだろうか・・・まるで、そう。
怒りを押し込めてまでまるで何かを待っているような・・・・あ、れ?
そうティリエスが考えていた時だった。
右の鼻奥が急に違和感を感じてティリエスはなんだろうと鼻の下を触る。
生暖かいぬるりとした感触と目を向ければ指先には真っ赤な血がべっとりとついていた。
これは・・・鼻血?何故こんなことが起きた?
理解する間にもぼたぼたと重力に沿って流れ落ちていく鼻血はそうそう簡単に止まりそうもない様子だった。
彼女がぼんやりとしていると今度は向こうで大きな笑い声が聞こえ、ティリエスは鼻血が落ちるのを気にせるそちらを見やる。
ゲタゲタと笑っていたのは今まで怒りでこちらを睨んでいたバカスだった。
先ほどまでの怒りが嘘のように消え、今では嫌な笑みを作ってこちらを見つめている。
「随分と楽しそうですね。」
取り敢えず私は服の袖で止血を試みる。お気に入りの洋服だった左手の袖口はじわっとゆっくり赤色に袖を染めていった。
「その年で魔法を使い、あまつさえ魔法の精度、威力、そして魔力量の桁違いに・・・いやいや、流石に驚いたさ。よく、ここまで耐えたものだ。」
慌てない私に気分を害することなく一頻り笑った後、笑みを深めたままこちらを見て芝居かかった言葉をいったあと続けて口を開く。
「だが、お前はもう終わりだ。」
そう言って高々に持っていた杖をかかげる。黒い石がついた杖は禍々しい黒い光を放ち始める。
あの石の光・・・まずい!
膨れ上がる大きな魔力を肌で感じ咄嗟に防衛魔法を自分にかけた。
膨張した魔力は黒い石を割り砕き、それを確認した刹那―――――。
強い熱風と衝撃を感じ取り、大きな炎がここら一帯を覆いつくした。
自分の味方であるはずだった部下達は逃げることも出来ず―――――。
仲間といえる人々を躊躇なく飲み込んだその爆発魔法は、強固だったはずのティリエスの氷魔法をも粉砕したのだった。




