まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㊶)
今回第7回オーバーラップWEB小説大賞に応募しました。生暖かく見守ってください。(ますます変な文章書けなくなったぞ!どうする私!)
「けれど、結局一瞬の隙にティリエスちゃんは連れ去られちゃうし、ティキちゃんには怪我を負わせちゃうし。本当にごめんね?でも君が救難魔法を使ってくれたお陰で君は俺の仲間に伝えることができた。だから俺は君を置いて相手に気取られずそのままティリエスちゃんの尾行ができた。」
ティリエスちゃんはきっと君を助ける算段をせず自分を助けに来たら悲しんでしまうからねと、そう付け加えて彼はティキにそう言う。
ティキ自身自分の置かれていた状況、そして彼は近くにいた事実を知って安堵した。
可笑しいと思っていたのだ、あの時お茶会の中に彼が居なかった事が。
彼は彼女を見えない場所で護衛していたためだったのだと理解し口元を綻ばせる。
彼がここにいるのは居場所を突き止めることができたということ。
彼女を、助けることができる。
「近くで見ていて・・・君を助けなかったのに、恨まないの?」
静かなに黙ったままの彼女にグリップは質問すると、ティキはその言葉にゆっくりとだが首を横に振る。
「私、お嬢様を助けると決めた時から、罪を背負って・・・死ぬ覚悟を、してました。それなのに命を助けてくれた恩はあるこそすれ、恨むことなんて・・あり得ません。」
静かにそう言って彼女は深く息を吐く。
そんな彼女にアドルフは彼女の傍までいきしゃがみ込む。
「君がもし、罪を今も思うならもう不要だ。その背の痛みで、もう償っている。」
「・・・っ。」
「娘を助けようとしてくれてありがとう。あとは私達に任せなさい。それに・・・君のその傷も必ず治してみせる。だから、今はゆっくり眠りなさい。」
「ありがとう・・・ございます。」
彼の言葉にティキは小さく頷いたあと、ゆっくり意識を手放していった。
「・・・随分無理をさせたようだ。」
そう言って、アドルフは少女をそのままにして立ち上がる。
彼が振り返えると、そこには冷え切った瞳で自分達を見つめる男が居たことで彼らに緊張が走る。
「それで場所は特定できたか?」
「はい、彼女の以前の情報と照合した結果と目標を追った結果、予想通りの場所でした。」
そう言って、グリップはテーブルに置いてあった地図のとある場所に取った駒を置く。
「彼女は自分の故郷の場所を知っていました。」
図書館で呟いたこの時期に赤い甘い花の匂いがする区域、そして彼女が地図を目を追っていた時咄嗟に目をそらした領地の名前。
そしてティリエスを抱え、彼らが入っていった建物――――。
「ティリエス様は今、レイン領地【嘆きの森の廃墟】に捉えられています。」
グリップの言葉に彼は目を鋭くさせたのだった。
レイン領。
ここから西の方角にある領地で気候はほぼ同じではあるが若干向こうの方が暖かい領地だ。領地の名の通りレイン子爵が統治しているおり丁度2年前領主が代代わりして、確か弟が爵位を継いでいた。
「あの温厚なレイン子爵が?!そんな・・・まさか。」
「いや、子爵ではない。」
ある騎士の言葉にアドルフは即座に反論する。
確かに悪事を隠すのなら他領地で事を起こすより、自分の領地の方が隠蔽しやすいからすぐにその考えに至る。・・・だが今回は違う事をアドルフは知っていた。
「実は今回の変死体が出た直後に、自分では調査できる範囲が限られるのでこちらの力を借りたいと子爵に相談されていた。」
「な・・・では子爵はこの事件を調査していたのですか!」
「情報が洩れてはいけないから今まで黙っていたが・・・。どうやら彼の領地でも変死体が見つかっていたらしい。それも奴隷紋が刻まれている。子爵はあることを危惧していたから俺に相談してきた。・・・そして、彼の予想はどうやら当たってしまったみたいだ。」
子爵に一度領地の話しをしたときに、こんな事を言っていた。
彼の領地には今は使われていない刑務所の建物があり、そこは中級犯罪者が収容され重い罰を処された場所だと伺っている。
冬は下手したら凍死しそうなほど寒く、そこから逃げたとしても森の獣が収容人を食い殺して逃げられないような場所。現在は刑務所の場所が王管轄の領地になり今はただ廃墟と化した建物だけが取り残されているが、住民はそんないわくつきの森に気味悪がって近づきたがらない。そんな森は今の時期になると一帯に赤い花が咲きその花からはむせ返るような甘い匂いが漂うという。
その森が嘆きの森という名の森、そして市井では取り壊されたと思われているその建物は未だひっそりと建ち、埋め立てられず広い地下室もいまだ存在していると。この事実は子爵家の人間でありその中でも男しか知らないことなのだと。
「その建物を知っている人間、彼の父、そして彼・・・そして自分の兄だけが知り得る話なのだと。」
「兄・・・、もしかして。」
「そう、彼は自分の兄が何か恐ろしい事をしているのではないかと・・・そう考えていたようだ。」
そう、一度だけ対峙したあの男、バカスが今回の黒幕だとアドルフはそう断言したのだった。
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