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題名はまだない。何せこの物語はまだ途中なんで!  作者: ちゃらまる
第2章~誕生編~
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まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㉗)

次回投稿予定ですが、予定が入ってしまい来週の金曜日になるかもしれません。ご了承ください。




保管されている場所から取り出し机の上にばさりと広げ置いた地図を目を丸くしてティキはそれをマジマジと見つめた。


「これが地図なのですか?・・・ここが王都?・・・とれ・・いあ?」

「正解です、ここがアストレイア国王都トレイアですね。ではこの領地は一体どこでしょう?」


たまたま目に入った文字の綴りを指で触りながらたどたどしく答えた彼女に今度は私が質問する。

私の言葉を聞いてわたわたと慌てながら、どこがルーザッファの領地なのか探し始める。



「・・・ル・・あ、ここ、ですか?」


順に調べていた彼女がここだと指さした場所を覗き込み、そして彼女に向かって笑みを浮かべた。


「はい!正解です!」


そう言うと彼女は正解したことが嬉しかったのか照れた笑みを浮かべ手をもじもじとさせた。


「グリップから聞かされてはいたが・・・最初に比べて文字の読む速度が速くなっているように見受けます、ティキはよく勉強してますね。」

「は、はい・・・勉強、楽しくって・・・」


ヴォルの賛辞の言葉にそう返しながらティキは更にもじもじさせて顔を赤くさせた。



いくらこちらが階級が上でも年下の子に文字を教わるのは抵抗あるかなっと思ってたけど・・・逆に喜んでくれているのは良かったー。


彼女の喜んでいる様子にティリエスは懸念していた小さな心配が杞憂だったことに内心ほっとしつつ笑みを受かべる。


「でも、王都から考えるとここはとても遠い場所にあるんですね、探すのに随分苦労しました。」

「ええ、そうですね・・・ここから王都に行くのに大分かかりますから、本当に遠いです。」


・・・それは、遠回しにド田舎という事実を伝えているんだろうか?


事実なので彼女に伝えつつ若干しょっぱい気持ちになった。


「でも、私・・・ここが好きです。」

「ティキさん?」

「ここはとても暖かい、ティリエスお嬢様も優しいし皆さんもとても優しい。美味しい物もあって毎日ゆっくり眠れるなんて・・・ずっとここに居られたらなぁ。」


最期は小さくそう呟いて俯いた。

彼女から親が点々と拠点を変えて商売をする歩き商人と聞いていたが、帰る場所が変わる生活は彼女にとってつらいのだろうか?


さらりと長い髪の毛でまるで隠すように覆われている彼女は今、どんな表情をしているのかここからは見えない。

だが何となくどんな表情しているのか想像が出来、私とヴォルは顔を見合わせた後彼女に伝えたい言葉を言う為口を開いた。



「もし、ここに居たいならここに居て貰って構いませんよ。」

「え?」

「寧ろ、私達は大歓迎ですわ!正直中々険しい道のりの先の領地ですからここに住みたいと思う方がなかなか現れませんの!正直不便ですし娯楽は温泉がありますがまだまだ無いに等しいですから!」

「ティリエス嬢、交渉するならそんなズバズバ自分の領地のデメリットをホイホイと口にしなくても・・・。」

「ただ事実を述べてます、それにそこをオブラートに隠して来てもらうよりきちんと説明して納得してきていただかないと。」


こういう移住ってそうそう出来ないもんでしょ?

それを黙っているなんて後々不満に思うでしょうし、何よりこういうのは誠実にせねば!


呆れているヴォルと意気込みが感じられるティリエスを交互に戸惑いながらティキは戸惑っているようだった。

そんな彼女の手を強引に掴んで彼女の顔を覗き込むように見上げた。


「そんなことは・・・可能なんでしょうか?」

「フフフ、努力は惜しみませんわ!もし、希望されるなら貴女のお父様に頼んでみましょう。私が説得にあたります!」


自信満々な彼女にティキはこくんと小さく頷き彼女の手をぎゅっと握り返した。


「はい・・・その時はよろしくお願いします。」

「はい!約束です!」

彼女との約束にティリエスは力強く頷いた。


そんな彼女達を微笑ましく見ていたヴォルはふと思い出したように声を上げ、2人は今度は彼に視線を送った。



「そう言えば領地で思ったんですけど、ティキさんの生まれ故郷は何処になるんですか?」

「え?」

「今は各地を転々としているようですが、故郷は何処かなと思いまして。暖かい気候の町ですか?


「そう・・・ですね。・・・私も幼い頃からずっと転々として故郷の名前は・・・わかりません。お父さん、あまり故郷に帰らなくて・・・でも気候はこことそんなに変わりません。・・・あ、でも・・・この時期になると赤い小さな花が咲いて、その赤い花からは独特な甘い匂いがします。」


「甘い匂いのする赤い花?」


「えぇ、名前は忘れてしまった・・・けどひどく強い匂いなのですぐに分かります、なんでもその地域でしか咲かない花なんだと・・・そう知り合いから聞きました。」


「ふーん・・・不思議な甘い匂いのする赤い花。」

「そんなに甘い匂いがするなら一度見てみたいものですね。」

「ヴォル卿、甘い匂いだからって食べられるかわかりませんよ?」

「フフ・・・そうですね・・・食べられるものなら、よかったんですけどね。」


そう言って故郷を思ってか彼女は悲し気な色を瞳に一瞬だけ宿したが、その事について触れてほしくないのか地図の読み方について教えてほしいとせかしたのだった。

いつも読んでいただきありがとうございます。


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