まさかこんなことになるなんて誰が想像できますか?(考えよう、探してみよう、作ってみよう㉔)
またまた短いです、す、すみません。
そもそも異変があったのは数ヶ月前の死んだ女性を発見してからだ。
私は両親に護られた世界でしか見たことはないので世の中を知らない、だがこの世界は王家・貴族・一般人と縦社会がはっきりしていことから、権力といったふとしたことで亡くなってしまう事が起こり得る世界だとそう思っている。
実際に私や母に対して起こした以前の従者の女性の所業を例に例えるとあの女性は母の温情で刑が軽くなっているという事であるが貴族、しかも高位貴族への侮辱罪に当たるので最悪死刑執行されることだってある案件対象なのだ。
という事は死という概念が少なからずあるこの世の中であるにも関わらず、今回の女性の死に警戒するということはもっと他に何かがあるという事だ。
酷い所から逃げてきたという形跡が認められるほど、死体を調べた時にそれが想像できるほどの痕が残されていたという事は・・・。
娼館、又は人身売買か。
どちらにしろ胸糞悪いということだ。
でもどうしてそんな事に私の家が関係してくるんだろう?と首を傾げる。
父の仕事は別に警察のようにどこかの領地の不正を摘発したりする仕事ではない。
それなのに何故こうも狙われているようになっているのか謎だ。
仮にも公爵だよ?公爵。そんなお家に喧嘩どころか犯罪してやろうとしてるなんてよっぽどの恨みがあるとか?
でももしかしたら意外と・・・いやいや、悪どいことしてるなら普通に身を隠すしそんなことはないか、もし今回の黒幕が私だったらそうするし。
うーんと悩んでいると急に暗くなったので何事かと思い後ろを振り返ると、いつの間にかグリップか私の後ろに背を向けて立っていた。
うん?何事?
そう思っているとドアが開く音が聞こえ、私もそちらへ目をやる。
ドアが開いた場所には誰かが立っていた。
見れば私より少し年上の子供がガタガタと身体を震わして青い顔をしてこちらを見ていた。
着ているものを見れば市井の物だと理解できたので、例の盗賊の件でここにやって来た子供だと理解できる。
今にも泣きだしそうなその子の顔に思わずじっとグリップをみやる。
おいおいもしかしてグリップさんなんか怖い顔してるのか?ダメじゃないか子供を睨んでは。
そうこう思っていると先に声をかけたのはグリップの方だった。
「ごめんね~急に睨んだりして・・・つい、ノックなしに入って来たからオニイサンびっくりしちゃった~・・・ここへはどうしてきたの?」
軽い口調で言っているが背中からは警戒を解いていない、そんなことを肌で感じて怯えているのか未だ蒼白い顔でこちらをみている子供は震えでカチカチと歯を鳴らしながら口を開いた。
「こ、こう・・しゃく・・・っふ、ふじん・・・っまが、おっ、おっ、おじょう・・・っさまが・・・いて・・・いる・・・ので、いっしょ・・・い、いっしょに・・・。」
拙い言葉でなんとか説明をするその子をじっと見ていたグリップは小さく息を吐いて、警戒を解くとその子の前に歩み寄る。
びくびくしているその子の前に行くと扉を大きく開いた。
「ん、分かった。ここでは部屋の扉を開ける前にノックを必ずするのが当たり前だから、今度からきちんと守れる?俺驚いて今みたいに厳しい顔をしないといけないからさ?お願い。」
何時ものようにおどけて言う彼に余程怖かったのかその子は何度も頷く。
振り返った彼は少しばつが悪い顔をして私を見ていた。
成程、ちょっとやり過ぎたという自覚はあるのか。
ちゃんと反省してくださいね。と心の中へ思いつつ、その子ににこりと笑顔を向けた。
「お母様から聞いたんですね?さぁ中へどうぞ。」
その子はこくりと大きく喉を嚥下避けた後、恐る恐る中へと入ってきた。
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