野戦病院での恨み
適当に書いたものなのであまり良い出来ではないと思います。
私は今ある男の殺害を考えている。
今私が居るのは軍の野戦病院。
3日前に前戦で敵国の兵士たちとの交戦の最中。
私は敵国の兵士が投げた手榴弾により負傷した。
その時に顔の皮膚が焼けただれてしまい今は顔に包帯を巻いている状態である。
運良くもこの病院の軍医の処置が早く一命は取り留めることができた。
「顔の調子はどうですか」
「ああ、医者大丈夫ですよ これと言って変わったことはないですよ」
「そうですか… それは良かった」
今、私と会話しているのが私の処置にあたってくれた医者である。
「今日中には、その包帯を取ることができますよ」
「ありがとうございます ですが、何だか少し怖いです」
「ほー! それは何故?」
「だって… 自分の顔に他人の顔の皮膚がついていると思うと少し…」
「そうですよね。 しかしあの場合そうするしかなかったんですよ」
「それは、わかっていますが、ですが…」
「わかりますよあなたの気持ちは。 ですがその顔のおかげで今生きていることは事実ですから」
「そうですね 私に顔の皮膚を提供してくれた方には感謝しなければならないですね」
「まー その人はもうこの世にはいませんがね」
「ですね……」と顔を下に向けながら答えた。
「ああ、それはそうとあなたと同じ場所、同じ日にここに担ぎ込まれた。方が今日やっと目を覚ましたんですよ!」
その医者の言葉を聞いて、私はどんな外見の人物かと尋ねた。
「おや、興味があるんですか?」
「同じ部隊の友人かもしれないので」
私がそう言うと医者は、その人物の外見を教えてくれた。
その後、「お大事に」との言葉を残して医者は私の部屋から出ていった。
そしてその夜…
私は、自分の部屋から抜け出すと昼間に医者から聞いた患者の部屋へと向かった。
そして、部屋の前までたどり着くと周囲を見回してから部屋の扉を静かに開けた。
部屋の中はベッドが左右に敷き詰められていたがそこには、誰も寝て居らず、ただ一番奥のベッドの周りのカーテンだけがされていた。
私は、物音を立てずに奥のベッドまで近づきカーテンの隙間から中を確認した。
そして中で誰か寝てることを確認すると私は、勢いよくカーテンを開けると持っていたサバイバルナイフで毛布の上から寝ている人物めがけて振り下ろし、ナイフを抜いてから何度も何度もナイフの刃を突き立てた。
それからしばらくして、気持ちが落ち着かせてから、改めてベッドを確認する、ベッドの上は、白かった毛布が血で赤黒く染まっていた。
そして、私は恐る恐るその赤黒く染まる毛布へと手をかけ、そして毛布を剥がすとそこには!
寝ていると思われた目的の人物は居らず代わりに誰だかわからない死体と血の入った点滴バックが置かれていた。
私は、このことにかなり動揺していた。
すると後ろから急に笑い声が聞こえた。
私は、咄嗟に後ろを振り返るとそこに医者がニヤつきながら立っている。
「医者何故ここに!?」
「何故て? あなたが今夜ここに来るとわかっていたから来ただけだよ」
「何で私がここに来るとわかっていたんですか!」
「それは、あなたが、今夜そこのベッドで寝ているはずだった男を殺るため でしょ」
そう言われて私は、顔を下に向ける。そしてそのまま話しだした。
「知っていたんですね… 私があの男に強い恨みがあると」
「何かあると気づいたのはちょうどあなたが病院に運び込まれてきた時でした。 その時にあなたは自分で『まだ死ねない』て言ったんですよ」
私は無言のまま医者の話しを聞いていた。
「その時は、死にたくなくてそう言われたのかと思いましたけど その後にあの男のかたが運び込まれてきた途端ににあなたの表情が変わった。いくら顔が焼けただれても瞳の奥に見える怒りの感情はすぐにわかりました」
ここで医者は、一回話しを中断して、白衣の内ポケットから煙草を取り出し徐ろに煙草を吸い始めた。
「あー すみません」
「いえ 大丈夫ですよ」
「煙草は、いける口ですか」
「いえ私は吸わない方でして」
「そうですか…」
そう言うと医者は、その一本の煙草をゆっくりと堪能していた。
そして、医者が煙草を吸い終えると話しの続きが始まった。
「すいませんね 長々と吸っていて、では続きを話しましょか! ですがその前にその包帯を取りましょうか」
「えっ! 今ですか?」
「大丈夫ですよもう取っても それにこう言った時は、ちゃんと面と向かって話しをしなければなりません!」
「そうですか……わかりました」
私は医者の言葉にも一理あると思い包帯を取ってもらった。
包帯を取って私の顔を見るなり医者は、ニヤリと顔に不気味な笑みを浮かべた。その表情を見て私は、一瞬どこか恐怖を感じた。
「どうしたんですか……そんな表情を浮かべて」と私は尋ねた。
「いやなに、自分の処置の良さについ笑みがこぼれてしまって」
その後医者は、私に許可を得てから私の顔をペタペタと触って確認しだし、一通り確認が終わったらしく私から少し距離をとった。
「さてと! あなたが何故あの男を恨んでいたかは別として、一つ聞きます。あなたはまだあの男を殺したいと思っていますか?」
「はい!」
「そうですか………では、お伝えしておきますが、あの男は…ここに運ばれてすぐに死にましたよ」
「えっ……」
医者からのその一言で私は身体の力が抜けその場に膝をついた。
「ですから あの男は、あなたが病院に運ばれた日のうちに死んだんですよ」
「で、ですが今日医者は、あの男が目を覚ましたと話しくれたじゃないですか!」
「あー、あれは、あなたの感情をもう一度把握するためについた嘘ですよ」
「嘘……」
「まあまあ、そんなに落ち込まないでくださいよ あの時の会話であなたがあの男のことを強く恨んでいることは改めて確認することができましたし」
「だから、あえて嘘の情報を教えて私をこの部屋に誘い出して、ベッドの仕掛けに私が引っかかっているところを隠れながら後ろで見ていたと言うことですか」
「ピンポンピンポン♪ 大正解です」
そう言いながら医者バカにするように私に拍手を送る。
「さて、ここであなたに良いことを教えてあげます」
「良いこと?」
「はい、先程あなたがサバイバルナイフでグサグサと刺していた死体ですが、あれは、あなたが殺したいと思っていた男 本人の死体でーす!」
「えっ!」
そう言われて私は、すぐにベッドの上の死体の顔を確認した。だが、顔は、腐食が進んでいたため確認することができなかった。そこで私は死体に手を掛け身体を持ち上げ背中を確認してから、元の状態に戻した。
「どうでした? ホントにあの男でしょ」
「はい……背中にあの男と同じ刺青がありましたから… 間違いなくあの男です…」
「どうしたんですか、そんなに声を落として あなたが殺したいと思っていた男はあなたの望み通りに死んだんですよ! もっと喜んで良いんですよ!」
「……確かにそうかもしれないですけど… 私は自分の手であの男を、アイツを…!」
「さて、ここで一つあなたにサプライズプレゼントがあります!」
「…プレゼント?」
「そうそう」
そう言い医者は白衣の内ポケットから何か取り出して私に手渡してきた。それは、どこにでもあるような手鏡であった。
「これが、サプライズプレゼント?」
「いえいえ そうではなく その手鏡でどうぞ自分の顔見てみてください」
医者に言われて私は、手鏡の中を覗き込む…そして私は持っていた手鏡を床に叩きつけた。
「どうしたんですか? そんなに焦って?」
「医者!! 私の顔に何をした!!」
私は、医者に怒鳴りながら尋ねた。する医者ニヤニヤとまたあの不気味な笑みを浮かべながら喋り出した。
「だから言ったでしょ。サプライズプレゼントだって!」
「プレゼントだと! ふざけるな!!!」
私が渡された手鏡で見たものは、それはあの男の顔であった。医者は、私の顔の上にあの男の顔から取った皮膚を移植したのだ。
私は、怒りを抑えられずに持っていたサバイバルナイフを握りしめて医者に襲い掛かった。
しかし…逆に襲い掛かった私の方が、医者に喉を裂かれた。
「ガアァー!………ハァハァ…」
私は、その場にに倒れ込み両手で裂かれた喉元を抑えた。そしてそんな私をニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら見下ろす医者そして喋り出した。
「ああ、こりゃ〜大変だ… 早く処置しないとあなた死んじゃいますよ〜」
「……カァァ…ガァ…グゥ」
「ああ、無理に喋ろうとしては、ダ〜メですよ! 安心してください 喋らなくても口の動きから読唇術で読み取れますから……」
そう言って私の口の動きを観察しだす医者そして私にこう言った。
「えーと何々…これ以上軍で戦うのが嫌なので、いっそのことこのまま死なせてくれ…ですか! 多いんですよねここに運ばれてきた人たちは、戦いの恐怖から二度と戦場に出たくなくて逃亡したり自殺する方々が…」
無論私は、そんなことを口に動かしていないし、思ってもいない。私が口を動かして医者に伝えたかったのは、助けてほしいただそれだけだった。だが、医者は、おそらくそれがわかっていながらも、私を助ける気など一切ないのであろう。
「一つあなたに言っておきますが、一度命を助けた人間に対してあのようなことをすれば誰だって二度目は、助けてくれませんよ」
「グゥ……」
「あっ、それから死ぬ前に教えてあげますけど、何故あの男の顔をあなたにつけたかと言うとですね…… あなたのその表情を見たかったからですよ!」
「!…」
「人間の表情て色々あってホントに面白くていつ見ても飽きません! あなたもそうは思いませんか」
「おや? 死んでしまいましたか? 人の話しは最後まで聞くもんですよ。 さてと…」
そう言って医者は、煙草を取り出して煙草に火をつけてから死体の首元に指を当てて脈拍を確認し、確実に死んでいることを確認してから部屋を出ていった。
―次の日―
「医者また昨日の夜に自殺した方が出たらしいですよ!」
「そうですか 悲しいですね。せっかく助けた命なのに自ら死を選ぶとは…」
「そうですよね……アレ、医者煙草吸いましたか?」
「ん? はいそうですが何か?」
「いえいえ、医者が煙草を吸う時は、決まって何か良いことがあった時だけなので… 何か良いことでもあったんですか?」
「フフフ、そうですね ありましたね…」
「どんなことですか 教えてください!」
「えーと、それは…」と医者が何か話そうとした時、診察室の扉が勢いよく開きそして、
「大変です! また多くの負傷兵が運ばれてきました!」
「わかりました…すぐ行きます!」
そう言って医者は、今日も仕事をしている。
見てくださりありがとうございます。