夏休み間近・2
濃密な朝を過ぎ、昼休み。
「それでだ、ハル!」
「もう提案はしばらくやめてくれよ......」
コイツが何か切り出してロクなことがない。
夏休みまで多忙に侵食されるのは御免だ
「あともう少しで終わる一学期に何しようってんだ?」
「ああ、一学期ではなくて夏休みに――」
「ん!」
への字口の前で人差し指を立てた。
思った通りの災難起こしに先手を打って、黙らっしゃいのポーズ。
花山は首を傾げながら忍者のような印を結んでいる
そんな二人を見守る影があるのだが、当然本人たちは知らない
「なんだこれ」
「静かにってことだ。
というかこれは日本独自のものじゃないぞ」
「へえ~......それでな、ハルよ――」
「ダメー」
お口にチャックが出来てないので、
花山自身の手で口を強引に塞がせる
「んー! んー!」
「聞かなかったことにしてやれないのなら、
聞かせられないようすればいい!」
「んー!!」
もちろん、二人の小競り合いを止める者など
このクラスには存在しない。
ラジオの音声のような扱いが定着しつつある。
しかし見捨てる者共あれば助ける者有り。
影は素早く動き、腕が払いのけられた
「なっ!」
「よし! 多分今の動きが出来るのは里帰りから戻ったビルだな!」
「そういえば懐かしいな......てか、俺が危険な時はお前の使用人が
助けてくれるって前に言ってたけど、俺最近自力で――」
「二人で島に行こう!」
「......あ」
久しぶりの名を聞いて過去の事を思い出して抗議しようとした隙を
つかれて言わせてしまった。
何度コイツに切り出され負けをこれからもするのだろう
そもそもこちらの勝利条件がずっと言わせないようにする、とか
キツ過ぎる
「なんならこれからずっと一緒に住んでもいいぞ!」
「え? ああ~......」
何か突拍子もないことを言われて脳の処理が追いつかない。
どんなことを言われたかじっくり思い出すと、
突拍子がなさすぎて時間差でビックリした
「島ぁ!?」
「ああ、そうだ! 実はお父様がバカンス用に島を貸し切ってくれてだな!」
「ちょちょちょ、ちょっと待て!」
流れで押し切られることは何としてもでも阻止せねば。
「何でお前と夏休みどっぷり使って島で生活せにゃならんのだ!」
「何でって......夏休みほどの連休それくらいしないと暇であろう?」
「お前宿題のこととか失念してるだろ!
お嬢様は今まで年中お休みだったから知らないんだろうが、
夏休みはそこまで気楽なもんじゃあないぞ!」
力説しても相変わらずポケーッとして首を傾げるのみ。
朝に小型犬と称したが、まさにそれだ。
休みの使い方についてでは効き目が薄いので別の角度からもアプローチを掛ける
「ええっと...それに俺達二人で島生活なんかできると思ってるのか?」
「たまにはアクティブになることも必要だぞ~?
ハルはインドアだなぁ」
「アウトドア過ぎるんだよ! 毎日やってられるか!」
「まあ、確かに二人で毎日は退屈かもしれん。
新鮮味が必要だな。
ラブラブでも倦怠期というのは訪れるらしいからな」
また変な知識だけ取り入れつつ勝手な妄想をする箱入り娘は、
三人目の召喚を言い出す。
しかし、この三人目の登場が無視できないだけの意外な人物だった




