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部活探し編・18

「ハア、ハア......」


自分で走ってきた訳でもないのに担がれて来た男は疲れていた。

言うなれば所詮気苦労であった


「やっと来たか、遅い」


「り、リトルメイド......」


初手クレームを入れてきたのはメイドリニティが内の一人、

花山に負けず劣らずの小さな体格で比較的毒舌なのが特徴の小メイドだった。

ドアに向かってしゃがみ込んで何かやっている


「おつかれ」


「え、あ、うん」


そして労いの言葉をくれたのはメイドリニティが内の一人、

さっきの糸田弟に負けず劣らずの希薄な存在感で

比較的温厚なのが特徴の中メイドだった。

ミドルメイド、と心の中で命名してはいるがこの子の本名くらいは知りたい


「こっち来い。お前これ出来るか?」


会話の余地も貰えず、生意気なメイドの横に膝を突く。

どうやらピッキングをしているようだ。

つまり強引な開錠行為


「なんでそんなコソ泥みたいなこと、俺が出来ると思うんだよ。

 そもそもなんでお前こんなこと――」


「うるさい。出来ないなら他に考えろ。

 見ろ、中を」


舌打ちでもしたくなるような一方ぶりに厳しい目つきで

中を見ると、目が点になった。


なんと、中ではハッキリとは見えないが花山が道着姿で

誰かと激しく戦っているではないか


「見ての通り襲われてる。助ける方法考えろ」


簡潔にして片言な状況説明にやっとメイド達出動理由を把握した。

そして三人の目が助けを求めて自分に向いたことに気付いた時、

嫌な汗が噴き出し始めた。


まず、ビッグメイドからの視線は単純に脅迫のようで怖い。

下手なことをしたり言ったりしただけで叩き潰されそうだ


そしてリトルメイドからは罵詈雑言の嵐を食らいそうで怖い。

女からの悪口は男心にナイフのようで、

この小娘からの言葉はより鋭利なものであろう


最後にミドルメイドに対しては信頼を失うのが怖い。

何かこの三人の中では一番打ち解け合いそうなのに、

この子からの信頼を裏切ろうものなら最後の友好的接触機会を

永遠に失うように思える。


総合すると、俺のここでの失態は

身体的にも精神的にも危険で、今後修復不可能な

打撃を関係性に受けることにもなる。

将来性まで人質に取られているのは如何なものか


抗議など無意味、求められているのは最善。


プレッシャーに弱い自分を救ったのは、やはり経験だった


「お、おい!

 中に下窓と上窓があるぞ!」


思考の末に思い出されたのが水泳部の覗き、

苦し紛れに向けた視線の先にあったのは予想通りの結果だった。


広い運動空間には必ず窓がある、程度の予想だが


「あそこから何とか出来るんじゃないか!?」


「何とかって?」


「そ、そりゃ侵入とか――」


「お前は入れるのか?」


ここで一旦CMのような沈黙。

怪訝そうな目、呆れたような目、心配したような目。

一番最後の目線が痛かったがパクパクさせた口は

緊急回避をやってのけた



「俺の声がアイツに伝われば、うん!

 何とかなる!!」


そう、今だけの緊急回避。


場しのぎの発言。


全ての責任はほんの少し未来の自分に丸投げした。

未来の自分に殴られないか心配だった

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