部活探し編・13
背中越しの光が味方となり、
全てを照らした。
兄弟の目の前に急に現れた光は仇となり、
全てが白に消えた。
非力な自分でも無防備ならば、
相手がどんなに屈強で巨大であろうが
「喰らえ!!」
相手が男ならば
弱点は皆、共通だ
「必殺! 玉蹴り!!」
難なく自称天才ストライカーにゴールを決めてやった
情けない声をあげてボールの様な丸い坊主頭が下がる。
一瞬厳つい顔が見えた。
先に注視していたら怖気づくレベルのものだった
「どいて!!」
大ジャンプで空中から割って入ってきた人物は
高く片腕を掲げ
「ふんッ!!」
容赦なく男の頭に振り下ろした。
凄まじい音共に凹んだようにも見えた。
決着はあまりにも早かった
「ぐふっ......」
見事に叩きつけられた男は虚ろな表情で
突如現れたヒロインに目を向けた
「よ、米田...美咲......だと」
「ああ、そうだ。
お前の言うとおり俺が頼れるのは女子だけだった。
だがアタックの攻撃力に問題はなかった」
「情けないものね、治雄」
久しぶりの名前呼びも相まって
昔にヒーローごっこをやったような感じを思い出す。
花山との差別化のつもりだろうか、
とりあえずアイツが傍にいなきゃ昔ながらの調子だ
「な、何故だ......何故、ここが分かった?」
最もご質問に今度はこちらが笑ってやる番だ
「ふっふっふ......
それはアンタもとっくに気付いているはずだ。
後ろでゴソゴソやってたことを」
「......! ま、まさかッ!」
「ドアからは少しの光は漏れていた。
だから背中越しのスマホ操作でも音さえでなきゃ、
この暗い空間でも分かりはしなかっただろう。
そもそも、直前まで美咲とのトーク画面であり
加えて俺が目隠しでもフリック入力できる技量があることまで読んでなきゃ
予測できないだろうな」
「な、そん...な......」
勝負は決した。
兄が強烈な一撃にやられたのを目の当たりにして
戦士喪失してへたり込んでいる
「負傷した兄貴を連れて逃げるが良い。
今日の所は俺達の勝ちだ」
それを聞くやいなや急いで弟が
兄の元に駆け寄る。
しかし兄は一旦、手を上げて退散を制した
「待てよ......ここで止めを刺して置かないのか...?
また俺達はお前を...もしかしたら今度はあの女を襲うかもしれんぞ?」
飛ばしてくる睨みは面と向かい合えば圧倒されるものだ。
余裕のない表情で振り絞ったような声だからこそ、
今平静を保って言い放つことができる
「お前たちは根っからの悪人ってわけでもない。
それに正直言うと......」
これは個人情報特定にもなるので控えるべきとも考えたが、
同情と共感の意を真に表したいのなら隠し事はできない
「俺もアンタの弟と同じ境遇でここに来た。
言ってみりゃ仲間さ......だからもうお前たちと争いたくない。
よく考えてみてくれ」
こちらの言い分が彼らに届いたことは目を見れば分かった。
後は事態の好転を望むばかりだ
その後兄弟は消えた。
引きずられて消えて行く兄の方はまさに
見えないものに連れられ闇に消えたように見えるが、
しっかりと元の日常に戻ったであろう
「願わくば彼らにも幸あれってな」
「詳しい話はあとでちゃんと聞かせなさいよね」
「ああ、分かってる」
こうして暗闇の決闘は終わりを告げた。
しかし、同時に
別の場所では今まさに決闘が始まろうとしていた
かなりお久の連続投稿をお送りいたしました。




