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部活探し編・10

「ほんで頑張って毎日、毎日炎天下の中でも

 練習してたら......そりゃ熱中症にもなるだろうがよぉ!!」


なるだろうが、の所でタイミングよく地団駄を踏んだ。

相当頭に来ていることを理解し、

徐々に体勢を起こし立ち上がる。

その行動を弟は止めたかったようだが、

兄の熱狂ぶりに告げ口できずに終わった


迷惑ながらも助かる熱中ぶりだ


「お、おかげで俺ぁ...倒れちまってよぉ......

 長いことの入院生活で体は鈍るわ、

 太陽に対する苦手意識が出ちまうようになるわで、

 あれよあれよという間に、完ッ全ッ二軍墜ちッッ!!」


ばたりと倒れ込み、四つん這いになった。

急な行動は周り(主に二人)がギョッとするので控えて欲しい


「ああ、そうして俺の青春は終わったのさ......

 強面のせいでも...能力がないせいでもねえ......

 お前、知ってるよな......?

 俺のボール捌きの技巧、

 シュートコースの正確さについては...」


そこでまるで蚊帳の外であった自分が急に引き込まれ、

サッカーボールという単語を聞いただけでも震える自分に

まざまざとあの忌まわしき記憶を呼び起こさせた。


「カップル二人で大の字とは微笑ましいじゃねえか、ええ?

 ピクニック先でやりゃいいものを学校で見せつけてくれるとは、

 羨ましい限りじゃんよぉ!?」


挑発と共に片足を男が振り上げると黒い塊が顔に飛んできた。

反射でギリギリ避け、ドアに強く叩き付けられた何かが落ちた。

上履きだった。

あやうく、形勢逆転のアイテムも手から落としかけた


「今のはわざと躱しやすくしてやったんだ。

 今度は確実に当てるし、この黄金の右足が直接お前に

 炸裂するようになるだろうぜ?」


ひとしきり叫んで気分が落ち着いたのか、

性悪兄の激情も収まって改めて窮地に立たされていることを感じさせられる。

このままやられっぱなしでもいられないが、

まだ時間を稼がなきゃならない。

それに単純に浮かぶ疑問は多い、

今だからこそ多少の話は通じるかもしれない


「どうしてこんなことをするんだ?

 ただ、俺の何かが気に入らないから痛ぶりたいわけでもないんだろう?」


この問いは遮られることなく、

どころか待っていたとばかりに不気味に肩を揺らし始めた


「くっくっく......

 ああ、そうだな。

 何も知らずに制裁を受けるんじゃ、罰にもなりゃしねえからな」


「制裁......?」


まるで正義の味方気取りだ。

悪そのものではないか


「先ほど言った通り、俺はリア充...というかエースの夢を絶たれ、

 弟も騒音被害のせいで十分な力を発揮できず、

 高校受験で失敗して、ここに来る羽目になった。

 俺はスポーツに力を入れてるこの学校を望んでここに入ったが、

 何度も言う様にエースになれなきゃその魅力も今やパーさ」


「な、に......?」


何ということだ

半透明弟と自分の境遇は全く同じではないか

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