部活探し編・3
投稿が遅くなったのは......
「なに断ってんねん」
決め顔娘をどついてやった。
それでも決意に満ちた堀の深い花山の顔は変わらなかった
「私は私の意志で道を選ぶ。
道というものは自分で切り開いていくもんだろ?」
「お前は周りの人間に切り開いてもらった道歩いてるだけだろ......」
こちらのツッコミも意に介さず、
すかさず吉沢さんに振り返ると
「ってわけで最後には訪れてやる。
まあ、そう肩を落とすな」
ニコニコしながら相変わらずの上から目線だ。
そんなガキンチョお嬢様に対して、
「良かった! 楽しみに待ってるよ」
スカウトウーメンは大人の対応だ。
少しは見習ってほしいものだ......
かくして花山のだいぶ遅い部活巡りが始まったのだが
「いや、なんで俺が付き添わないとダメなんだよ?」
「そうは言いつつ......?」
ニヤニヤしてこっちを見てくる姿は悪友のようだ。
只今視察中なのは水泳部の室内プールの下小窓から、
世界の窓の中でも注目度の高い物件だ
「人通りの少ない体育館裏のようなところからの見学......
中々、背徳感があっていいとは思わんかね?」
美少女とは思えない邪悪の笑みだ。
きっと変態の国が作った変態ゲームのやりすぎのせいだろう、
これが王道であると思っているらしい
「俺がしてるのは見学で、お前は覗きだ。
一緒にするな」
「......え、ハルと私の今の状況の何が違うんだ?」
こっちの気さくなジョークを冷静に聞き返されて恥ずかしくなりながらも、
本当に視察する態度、真剣さは違うところを見せつけるように目を開く。
その眼力、まさに歌舞伎役者なり。
そもそもどうしてこんなことをしているかというと、
水泳部の顧問は屈強な体つきの上に、そもそも見学するなら入部希望者だと
早合点する強引さも持ち合わせる、外見に留まらないパワー系であるからだ。
そうなれば隣の奴はともかく、自分まで強制入部させられてしまう。
コイツには少しくらい運動させるべきだし、
高校生サイズ競泳水着が似合うくらいに成長してもらいたいものである。
今のままじゃ小学校のスク水がお似合いだ
実際乾くこともいとわない俺の眼球が必死に捉えている水泳部女子は、
皆年相応の素晴らしいプロポーションだ!
中には男にも負けない筋肉隆々もいるが、スラッとしている子達は
心なしか美人が多いように見える。
ここに入れれば花山も、もしかしたらハーフモデルみたいに.....
「よし、ここにしよう」
親のような目線で宣告した。
「な、何言っているんだ!
決めるのは私だぞ!
それにハルは吉沢とやらの女を裏切ってよいのか?」
「いーや、お前の意志で選ぶならそうはならないね」
「ハルの意志ではないか!」
父親にやりたくもない習い事を押し付けられて反抗する娘の如く、
花山は憤慨している。
そこで俺もスイッチが入ってしまった
「俺はお前のことを想って言ってるんだぞ!
このままでいいのか!?
そーんなちんちくりんで......」
「うるさいうるさい!
そんなこと言うなら、ぜっったい水泳部にならない!!」
拗ねた子供ほど懐柔するのに面倒な存在はいない。
そこからデッドヒートしていく口論は、
いつの間にか覗きという悟られてはならない立場を両者ともに忘れ、
大声のぶつけ合いになっていく。
久しぶりの口論と言うには幼稚過ぎる、
IQを限界まで下げた罵り合いと腹から声を出す気分に調子に乗っていると
「君たち、入部希望者だね!?」
満面の笑みをした水泳顧問に背後をつかれていた。
その微笑みは狂気をはらんでいるようにも見え、
それを振り返り様に目の当たりにした花山の絶叫を合図に全力逃走した
翌日から水泳部に俺達が近付くことはなかった。
今年の時の流れが早かったセイー
(相対的あーだーこーだ論




