表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/274

部活探し編・2

「ちなとゥ?」


「ちなつ、さんだろ。どういう間違いだ」


「私の母国では、つ、という発音が難しいんだ」


「お前の母国はもはやどれなんだよ。

 そもそもその設定も忘れてたわ」


花山が机を力いっぱい手のひらで叩きつけて急に立ち上がった。

怒り心頭といった感じだ、手のひらを擦りながら喚きだした

 

「設定言うな、設定!

 名誉棄損だ! 裁判起こしてやる!

 我が親戚御一行登場させて立証してやる!!

 法廷で会おう」


「お前ならやりかねんからやめろ」


他愛がなさすぎる会話に堪らず、吉沢さんの豪快な笑いが響いた。


「い、いやあ~面白い!

 二人でお笑いコンビでも組んで欲しいくらい.....!」


お腹を抱えて上下する彼女の身体を見ると、

一際大きな胸が目立つ。

凝視していると隣の女から目潰しのピースサインが飛んできた。

難なく手首を掴んで防ぐ


「くっ、下心が出ている時の男の知能は猿程度に落ちると聞いたが.....

 流石、私の見込んだ男だな」


「危機回避に必要なのはフィジカルだぜ、頭じゃあない」


「そ、そうそう.....フィジカル.....

 アタシは勧誘してたんだった.....ふぅ」


やっと落ち着いた吉沢さんが花山に目を向けた。

面白半分なものかと思ったが真剣な眼差しに変わりつつあることが分かる


「ちょっと考えてみてくれないかな....?

 うちの部活、拳法部なんだけど」


「エッッッ!?」


声が出たのは俺だった。

そんな(すばらしい)身体で

動きの激しいとされる拳法を!?


「ケンポウ?」


「聞き馴染みがないかな?

 えっと軽く説明すると.....」


ゲームやアニメが好きな割に格闘技に疎いのが不思議だが、

どうやらお嬢さんは本当に初めて聞いたような感じだ。


そもそも高校に拳法部自体あるのが珍しいことを驚くべきところだ。

うちはやたらと部活が盛んで、バラエティに富んでいる。

また、水泳部のためにプールの設備があったり

体操部のために体育館は他の校よりも広々して天井も高いなど、

施設費はしっかりと使われている感じはする。


ただ、やたら露出の多い部活に力を入れているような気がして

校長の趣味嗜好に沿っているのではないかと睨む、

名探偵は俺くらいのものだろう


「そんなに思ってるより大して痛い思いもしないよ。

 露出は極力抑えてるからね」


懸命に自分の部活について色々売り込んで勧誘しているようだ。


なるほど、拳法は露出しないのか.....

校長の意志に加担するようだが、

やっぱり体操部か水泳部でいて欲しかったなあ.....


この流れだと一旦見学するという話で、

アイツの引率に俺が起用されることになりそうだし


「なるほど.....」


「見学だけでも来てみてよ!」


一通り聞き終えた花山は腕を組んで納得したように頷いた。

大抵聞いてない証拠なのだが


まあ、OKするだろう。

拳法をする凛々しい彼女の姿も見てみたかったことだし、

楽しみにするか.....



「だが、断る」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ