部活探し編
暑が懐い
「こんな寒い時期にまだ入れる部活があるんですか!?」
「おい、今は夏だ。二度と間違えるな」
花山は都合の良い一声に飛び上がって振り向いた。
自分も余計な介入者に目線を向けると、驚きの人物が目の前にいて
すぐさま不愛想な顔を直した。
「吉沢さん!?」
そう、随分と長い間登場を待たれたようで同じクラスであり
クラス1のナイスバデェだと俺調べえで格付けされている、
あの吉沢さんだ
「よ、お二人さん。
いつも聞こえて来てたけど、今日の会話内容ばかりはニヤけるだけでは
済ませられなくってさ」
彼女にそんなつもりはないのかもしれないが、
自分には近所の騒音被害を訴えられているような気分になった。
「す、すんません。
ホントこいつがうるさいもんで.....」
「こ、こら!
頭を押さえつけるな!!」
元凶である女の小さな頭もグイグイと下げさせていると、
その姿も愉快に見えたようで吉沢さんは上機嫌に笑った。
「本当に二人とも面白いよね。
エリーちゃんは最初からある意味凄かったし、
特に山崎君がこんなに面白い人だとは思わなかったよ」
そんな評価を頂けるとは.....!
俺は喜びで打ち震えた。
なんせ相手は運動神経抜群で、男も嫉妬するほど女子にもモテる
あの、吉沢さんだ。
それも隣のハーフだかクオーターだか、恵まれた血統から
笑っちまうような幼児体型とは真反対の、
まさに完成されたスタイルは女をも嫉妬させるほどだろう
おまけにこれは個人的見解だが、彼女は今もそうだが
大抵ショートヘアーで性格もどこか男らしい。
俗に言うボーイッシュとやらなので、
そこが女子に好感を持たれるのだろうが
加えてスタイルが良い、というのはどこか
ギャップ萌えというものを引き起こしていると吉沢学を専攻する、
俺研究員は仮定を立てている。
つまり、学級委員長にして頭脳明晰な静なる憧れである角田さんに次いで
スポーツマンにして性格も明るく、それに比例して
輝かしい肉体を躍動させる吉沢さんは、
俺の中で動なる憧れなのである!!
「いつまで押さえつけてるんだぁ!!」
花山特有のバネの力を侮っていた。
今まで感動のあまり力を込めて押さえてつけていた小さな身体が、
今までの力を返すように跳ね跳び
俺の肩を痛めつけるような勢いで頭を上げた。
「いてっ! お前はカブト虫かよ......」
「ふんっ!」
こいつとだけは樹液を争って木の上では会いたくないと思った。
甘い匂いには誘われないようにしなければ
「あ、そうそう話は戻すけど
見ての通りエリーちゃんって動きのキレが良いから、
今でもうちの部活に入ってもエースになれるんじゃないかなあって
体力テストの頃から思ってたんだ」
「ほう、見る目がある女だなあ
名はなんという?」
そしてこいつを何かに誘うのも間違いだ。
こんなふざけた態度を取る
「ああ、自己紹介が遅れたね。
あたしは吉沢 千夏、よろしくね」
まだ続きます




