表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/274

幼馴染について

山﨑 治雄を慕う一人の女がいる。


彼女の名は米田 美咲、

治雄の幼馴染であり

多くの友達を持つなど

どこかの箱入り娘に比べて社交性が高い。



彼女は何の変哲もない一般家庭の長女として生まれた。


小さい頃から女の子とは思えないほどの行動力を発揮して幾度も

連れ回した治雄をおっかなびっくりさせた


最初の内は友達という友達は治雄くらいのものだったが、

美咲の親はこのままお隣の同い年の男の子しか友達がいないということは

同性の友達を作るのに苦労するのではないかと危惧し、

あの手この手で娘に新しい友達を作らせようと励んだ。


その甲斐あってか徐々に美咲の周りには人が集まり始め、

初めての相手には引っ込み思案であった性格も変わって

社交的になっていった



それでも基本的に彼女が遊び相手に選んだのは治雄であり、

彼と疎遠になったり離れることは決してなかった


その美咲自身は幼い当時それを深い友情、

友愛だと思っていたが

段々と成長するに従ってつるむ女子達も色めき始めて

色恋沙汰の話で持ち切りになってくると

初めて治雄を男子として捉える意識が芽生える。


そして彼女の想いは日に日にヒートアップ、

少し常人離れした恋の勢いは小学生にして

大胆な告白をするまでの行動に移らせるが

結果はご存知の通り、惨敗。


そこで大きく精神的ダメージを負って美咲は赤ん坊以来の涙を浮かべることとなった。

ちなみにこの時

彼女の多くの友達が報復とばかりに治雄に誹謗中傷をぶつけまくるが、

そのことを本人は一切知らず

想い人の治雄もその時トラウマ級の心の傷を受けたことなど知る由もない。


また、この時にその事実を知っていたならば

彼女はその全ての女友達との縁を切ったことだろう



それまでに美咲が彼に執着する気持ちは根深い。


初めての友達ではないはずだが

初めての男友達という存在が思い入れ深いために

必要以上の気合いが入ってしまうようだ


そのために恋絡みで起きたのが治雄に不信感を抱かせるまでの急激な態度の変容だ。


原因は天敵である、花山・エリー・薫の登場にある。


美咲は幼くして彼に告白した時と同じくらいの熱量を持った花山が

想い人にアプローチを白昼堂々しているのを目にする


そのことによって焦った美咲は不自然なくらいに花山に対抗したり、

あざといキャラになって治雄の目を引くなどの行為を発生させた。


これは確かに効果があったが

無論、不信感を産み付け

執着心の片鱗を見せると

俗にいうヤンデレ化を完全に疑わせてしまっている


興味を惹く以上に恐怖心を生ませてしまったのだ。



だがしかし


この幼馴染はまるでそんなことは気づかないで恋の駆け引きとばかりに

強硬な手段に出ている。


執拗に接する毎日から急に意地でも関わらないようにするかと見せかければ

襲ってみたりするなど

行為に対する抑揚が彼女は効かせられないようだ


言ってみれば加減を知らないウブな少女だが、

そんな事情を知らない治雄からすれば

ただ情緒不安定になってしまった旧友を心配することしか出来ない。


最終的には彼に機転を利かせて貰うことによって

暴走状態に近い構ってちゃん行動は丸く収まり、

それまで以上に良い関係を築くことに

意図せず成功した


そうした進展に至るまで

距離感に悩み、それでいて離れすぎていたくないという想いが

同じ中学、高校と入学しているということを

お目当ての彼は全く気付いておらず、

煮え切らない気持ちになるばかりであった。


それが期せずして念願のステップアップに繋がったことは、

彼女なりに努力だと思ってやっていたことが無駄にはならなかった

という勘違いを生むことにはなったが

それによって今のところ不利益は起こっていないようだ



更に最近ではライバルの花山との知力対決では5教科総合得点で220の大差を付けて

完勝したことによって調子を良くしている。


これが今後一つの勝利の美酒として彼女を酔わせ過ぎてしまうのか、

はたまた彼女自身が上手く糧としていくのか、



それがハッキリするのはまだまだ長い勝負の先のことである


閲覧ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ