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家庭教師編・34

「いや~! アンタにも彼女が出来るとはねえ!」


母親がにこやかに白米を茶碗によそってくれたのを受け取った。

両サイドの弟と妹からのとっても鋭い、

ナイフのように尖った視線を感じて


その理由は...言わずもがな、だ。



俺はきょうだい達の恨みを買ってでも

花山の存在を隠し通した...


そこまでは確かに、成功していたんだ!!



だというのに...あと一歩のところで......



なんてことをしてくれたんだ!!

あのダメイドはぁ!!


ありがとう、だとぉ!?


どういたしまして!!



「ホント...兄ちゃんに彼女が出来て僕も嬉しいよ...」


弟よ...

ならばその冷たい声色はなんだ...


どっぷり嫌味に聞こえるぞ...



「だよねぇ...? こんな兄にも彼女が出来て...」


妹よ...

水面下、いや机下で俺の急所に手を伸ばすのは止めてくれ...


おかげで片腕しか今使えんではないか...



「うんうん! 本当に良かった!」


呑気で事情も知らない母は今朝の怒りも忘れて、

息子にガールフレンドが出来たことを素直に喜んでいた。


母よ...

せめて気付いてくれ...


あと二人のあなたの子供は殺気立ってしまっていることに...


例え気付いたところで母が宥めてくれるかは置いといて、

これ以上憎悪の対象である俺のめでたいニュースなど口にしないで欲しい。


このままでは二人の恨みのパワーを増大させてしまう。

それは火に油付きの薪をくべるようなものだ


「それにしても何で朝に変な恰好してハルに会いに来たのかねぇ...」


と、まあ子の心なんて親は知ったこっちゃないんですがね


「母さん、もうその話は良いだろ...」


「なーに恥ずかしがってんだか、この子は!

 ちゃんと話聞かせなさいよ、え~?

 馴れ初めは? どっちが告白したの?」


芸能人に迫るマスコミのウザさとはこのようなものだろうか、

本当に勘弁して頂きたい。

両隣からどす黒いオーラが吹きだしそうだ


「もう時間ないんだから、食うことに集中させてよ...」


「え? そんなわけ...って忘れてた!!

 ほら、さっさと食べたら学校行きなアンタたち!!」


何という変わり様だ...

時間が無いことを思い出すと慌てて母は家事に戻って行った。


俺も飯をかっ込んで急ぐ。

一刻も早く地獄サンドから抜け出したいから



今までにないくらいのスピードで食い終わると

自室にすっ飛んでいって、

制服に着替える。


その最中あることに気付いた



「明らかに金持ちの匂いが混じってるなぁ...」


当然犯人はエリーちゃんだ。

今度誰かに入られたら、

すぐ察知されてしまうだろう


連れ込んだ女の臭いを消臭スプレーで消す、という何とも

生々しい行為を高校生のうちから体験することになった。



本当に早朝から貴重な経験をさせてくれた花山には

たっぷりお返しをしなくてはならない、と

沈んだ気持ちを改めて力強く家を出た


閲覧ありがとうございました。

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