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家庭教師編・25

「ああ...えっと......」


このままではいかん、

どうにか突破口を見つけなくては


それとなく誤魔化すことがどちらも困らない

最善の方向だと我が頭脳は導き出した。



その理由としては



まだ美咲への明確な想いは自身でも形容し難いものだ、

だからこそ正直に


まだ分からない


と切り出すことは楽だろう。

しかしそれはいつかは答えを出すことの裏付けになってしまう


それを内心求められていることを考えながら

彼女と関わっていくのは辛い。


また彼女を思いやるならばこそ

一時的に今をやり過ごすだけの回答は避けるべきだ


では、どうするか?


キッパリNOと言ってしまう?

いや、それも良くない。


実際俺があの時フッたりしなければ良かったと

未来で独り身の自分が後悔するビジョンが見えた気がした。


いつかその内に心境も変わって

本音で美咲を好きになることが、

無きにしもあらずんば

の可能性で存在する。


そして火を見るより明らかなことは

美咲を傷付ける事態だ。


それとこれからの関係性に明らかな亀裂が生じるだろう、

そのため間違ってもNOと答えるのは

ここでして良い判断では無いと決めた



ならばYESと答えるか?


比較的に言えば悪くない選択ではある。

だが、いつかは爆発する爆弾の導火線を長くするだけだ。


正直に、分からない

と告白するのと同義だと推測される


その訳は無論、

俺サイドの気持ちが出来上がっていないからだ。


カップル破局はお互いに抱く想いの重みに

偏りが生まれることによって

引き起こされる


ならば答えは簡単、

俺が彼女を大して好きだとも思わずに

とりあえず付き合っているだけでは

いずれあちら側から不満を感じることとなるだろう。


なんせ彼女自身が送る好きの気持ちと

同じだけの気持ちが返ってこないどころか、

その片鱗さえ俺からは伝えてやれないからだ


そうとなれば関係性の破綻はすぐ様に訪れる。


NOと言える日本人になった俺のルートと

行き着く先は一緒だ


下手をすればNoルートは襲われるくらいで済むかもしれないが、

YESルートの終着点は美咲ちゃんがまさかのヤンデレ・メンヘラ墜ちを

誘発しかねない!



そこまでの懸念と思考が

1秒にも満たない時間の間で行われた。


「ごめん、ほんのちょっと考えさせて」


「もう、結構待ってるけど」


「え?」


時計を見るとガッツリ5分くらい過ぎていた


「あれ、いや~...すまんすまん」


愛想笑いで

まるで僕は君の質問を考えていたどころか

他のこと考えていたくらいだよ、

との余裕を見せたつもりで振る舞った。


対する美咲は俺の焦りを見抜いているような

仏頂面だ。


「そんなに悩んでるの?」


「え~? いや~、そんなこと全然無いよ~?」


口を尖がらせて徐々に合わせる目線が天井を向く、

まさに嘘が下手な男の典型の動きをした


この時点で関係の浅い間柄なら完全にOUTだったことだろう


思いっ切り悩んでるやないか、このダボハゼッ!

からのヤクザキッーク!


が来たることも脳裏を過ぎった



しかし

この所作が思わぬ展開を招いた


「ンフッ...」


「ん?」


その小さな笑い声と下を向いて表情を隠した見逃さなかった。

そこを見過ごすほどにも俺はアマチュアでも甘ちゃんでも無かった


「今ちょっと笑ったよね?」


「わ、笑ってないよ」


「いーや、笑ってたね」



前屈みになって彼女の顔を覗き込むと

嫌がって顔を背けた。

その時に見えた表情は明らかに


「ほら、笑ってんじゃん」


「フッ...だってさぁ、アンタが久し振りにその顔したから......可笑しくて」


険悪なムードが流れる一歩手前で、

雰囲気は一転

少し和やかなものになった


なるほど、幼馴染ならでは懐かしい動作に気が緩んだようだ


自覚は無いが俺には嘘が下手なりの癖があったらしい。

それに助けられた

芸は、癖は身を助けた



「嘘が下手なの昔から変わってないんだね...

 なに、やっぱり好きな人でもいるから答えづらいわけ?」


先ほどより聞いてくる声の調子が穏やかになったのが分かる、

良い流れだ



更に加えて脱出口はまさかの提供されるような

形で見つけ出した。


俺の出すべき、答え方が


閲覧ありがとうございました。

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