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家庭教師編・23

頑張りまうす

翌日。


やっと導き出された答えに気分を良くした俺はその後勉強も捗り、

朝の目覚めも良かった


当然美咲には日中避けられた訳だが、関係ない。


放課後には最後の授業が終わるとすぐ学校を出た。

終わりの会も掃除もすっぽかして


責任は後でいくらでも取れる、

今優先すべきことはアイツよりも先に待ち構えることだ


そうして全力の待ち伏せを行ったことで息を切らしながらも

ギリギリ幼馴染の家の前で腕を組んで、

走って帰って来た女を出迎えてやった。


「よお、そんなに慌ててどこへ行くんだぁ?」


「嘘でしょ...」


滝のような汗が伝うのも気にせずニヤリと笑う俺、

青ざめてたじろぐ美咲、

構図はサスペンスの一幕だ


「今日は一緒にお勉強の日だろ?

 昨日だってそうだったのにすっぽかしやがって...」


「それは......」


俯いてだらりと髪が下がる。

随分と伸びたものだ、

前はショートカットが当たり前だったのに


「話は中でさせてもらっても?」


「......」


そのままの姿勢で少し肩がぶつかるようにして横を通り過ぎると


「来て」


と一言呟いて先に入っていった。

それの後に続く


「おかえり~」


美咲お母さんの声が聞こえて安心感が増してゆく。


「お邪魔しま~す」


俺の声と分かるやいなや美咲のお母さんが顔を出した


「あら、来てくれたの」


「はい、美咲に勉強を教えて欲しいとせがまれまして」


平然と満面の笑みで言った嘘に

久しぶりに美咲から鋭い視線を喰らった気がした。


二人で階段を上がって部屋に向かう途中、


「部屋の前で待ってた方が良いのか?」


俺の紳士たる態度を見せたが


「別にいいよ、このままで」


応答はぶっきらぼうなものであった。

しかし悪い気はしなかった、

そういった感じの方が自分が持つ美咲のイメージと合ってる


部屋はつい、この前に来た時よりラフさが出ていた。

前回はきっちりし過ぎていたように思う


「で、何を話すことがあるの?」


家にも部屋にも上げておいて

彼女の顔は不満げだった。

それに対して俺は自慢げだ


「ある過去を思い出してな、お前が最近俺を毛嫌いする理由と共に」


「そんなことは......」


否定しようとした声は萎むように消えた。

抵抗が無いならば遠慮なく自分から切り出す


「美咲が花山に対抗するように近頃俺のことが好きだった、みたいに言ってたけど

 実は昔から好きだったろ?」


「......!」


顔を赤くして髪まで逆立ちそうになって

ハリのある声が出始めた


「そ、そんなことないし! 今も別に好きとかそんなんじゃ...」


「いーや、小坊の時に一度お前は俺にフラれて泣かされてるね」


真意は口を開くよりも

大きく見開いた目が盛んに泳ぎだしたので分かった。


やはり、そうだった


美咲が当時好きだったのは俺で、

泣いてた理由も俺が関係していたのだ


最初は何だか恥ずかしい考察だったので

違ったらこちらが赤っ恥をかく諸刃の剣だったが、

しっかり美咲の急所を突いたようだ



このまま、こちらのペースで行かせて貰おう

閲覧ありがとうございました。

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