会談にて
いつも読んで下さっている方、そうでない方も
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「あ、謝ったりせんぞ私は! な、なにせお前が私のき、着替え中に...!」
「分かってるよ、覗きの場合は今の状況から考えて住居侵入罪はなくとも
迷惑防止条例違反及び軽犯罪法違反で捕まっても
文句言えないんだろ?」
「...う、うむ」
ふん...
まずしてしまった失敗には該当されるであろう罪状を整理する事で
心は落ち着くものだ。
それに今の場合は無学なお嬢様の呆然とする顔も見れるおまけ付きだ。
というかあんな未熟な体で興奮などするものか......
そう思いながらも思い出すと顔が熱くなる様な気がした。
...それにしても目の前の仇敵と仰いだ女がこんなにも幼児体型だったは
想像も付かなかった。
得てしてお嬢様とはヒールを履いているからかもしれないが、
高圧的な性格に比例して身長も高いような気がする。
俺の身長が男寄りではなく女寄りだから変に憎き女の対象として
勝手にイメージを持ったのかもしれないが...
それもあってどうにも目の前のちょこんと座っている女に
今までのことを思ってもあまり怒りが沸かなかった。
まあ、先ほどのメイド問題を含めてコイツも幼女っぽいから冷静でいられているわけだ
思い切りぶつけられた硬めの人形で付いた、顔の跡に冷えたタオルを当てながら
とりあえず質問をすることにした。
さっきから何かあっちから発言を待たれている気がする。
命令を待つ忠犬でもここまでワクワクして人の顔を見る存在などいないだろう
「ああ...そのなんだ、まず何で俺をわざわざ家の中まで呼んだんだよ」
「む!?ああっ!それはお前と一対一で話がしたくてなあ!!」
やたら反応も声もデカいし、本当にガキみたいだ。
上下に震動してソファーでバウンドしている姿など落ち着きのない弟を思い出した。
「ああ、そうなのか...そういやお前の名前は?」
「お!よく聞いてくれたな!私は薫・エリー・花山だ!」
「...ん?」
今なんだって...?
「あっ!違う違う、日本だと私は花山・エリー・薫だ!!」
「いや、順番の問題ではなくてだな...」
興奮して大きくなる甲高い声を手で制す。
「お前...ハーフか?」
「うむ!そうだ半分だ!!」
元気に手を広げて見せる姿は年相応でないために
微笑ましさより心から将来が心配になってきた。
「あ、いや違う!」
またブンブン頭を横に振っている、
これのせいで脳細胞が死んでるんじゃないか?
「えーと、私はone quarterだ!」
英語だけ発音が良いのが芸人みたいだが本当らしい。
「ほう...クォーターか。日本と...どこの国の血が入ってるんだ?」
「んーと...」
そう指折りして考える姿がまさに高校生だと危ない奴レベルだ。
何故小指から折り始めるんだ...
関心した矢先にヤベぇ奴になってしまった
「うむ!イタリアとドイツと...ロシアだ!」
「...本当に?」
「今度は間違いないはず...あ、やっぱりアメリカであったかなぁ?」
全然違うではないか...
「まあ、どっちでもいいであろうよ!」
資本主義と共産主義で真っ二つなのだが......
そんなこっちの心配も気にせず血統について胸を張ってくる彼女を
俺は哀れな目で見ることしか出来なかった。
ご令嬢はどうやら良き血筋にあらせられながら、オツムが足りていないようだった。
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