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家庭教師編・17

「今だ!」


やっと掴んだ答えのヒントに浮かれていると、

渾身の花山の泣きっ面ジャンプが俺の手に合ったゲーム機を奪った。


「ああ~...もう放さんぞ~...」


帰ってきた愛機に頬擦りして何年ぶりかの再会のように喜ぶご令嬢、

どこかでも思ったが単純な奴はなんと幸せなことであるか


「そんなに愛してるなら、それと結婚すれば?」


「ん? このハードと? はっはっは!

 まさか、ハルに嫉妬ジョークが言えるとは思わなかったぞ」


「嫉妬だと...? またふざけたことを言いやがって

 ちょっと、それ先生に貸しなさい」


「! よ、よせ!!」


チビッ子相手の鬼ごっこが展開されること数分

逃げ足だけは速い、元引きこもりに負けてしまった


「ふ、ふん...ハルも流石の私相手では分が悪かったな...ハアハア」


「こ、こんなに部屋が広くなければ...お前なんぞどうってことは...」


子供のするようなことにマジになった上に敗北して

情けない負け惜しみを言っていると、

一瞬大事な何かを思い出したことを

また記憶の彼方に紛失するところだった。


「そ、そうだ...忘れちゃいけない。

 アイツには好きなものがあって、それをどうにかして勝ったんだ」


再三、頭の中に好物を食ってやっただの

好きな人を暴いてやっただのは思い付いていたが、

数ある考えの一つに過ぎなかった。


それが花山の好きなものを取り上げられた時の表情が

今も目に焼き付いている美咲の泣き顔と、

ほぼ同じものだったのだ


それで確信へと変わったのだ。


となるとこれからのすべきことは

美咲の好きな物探しだ


そこまで割り出せればきっと詳細まで思い出すはずだ!



......と、勢いよく自信に繋がった途端に

また目の前に壁が出来たような気がした。


理由は簡単、

美咲の好きな物など全く知らないことだ


最近は部屋も女子高生っぽくなっていたことを考えると、

断然わんぱく少年趣向であった頃とは

まるで好みが違っていることだろう。


ならば調べれば良いだけだが


アイツと気まずい関係になってしまった今、

どうやって探れば良いのか?

という問題に直面した。


「う~ん...」


また腕を組んで思案する状態に逆戻りになってしまった


数少ない友達に誕生日プレゼントも渡したことのない俺にとって、

他人の好みの探り方など分かる訳が無い。


生涯15年の中で、分からないことは全てインターネットで調べるなりすれば

答えを出してくれる甘い時代に生まれてしまった自分に

想像もしなかった試練が訪れてしまったのだった......!



「何をサスペンスドラマの俳優のような顔をしておるのだ?」


周りが静かになったと思ったら、

俺が座り込んで迫真の表情を表に出していたのを覗き込まれていた。

不思議そうに見てくる、顔だけは小綺麗で距離が近いことに咄嗟に顔を背けた


「な、何でもない」


変顔をしていたのを見られたこともあって二重で恥ずかしくなると体を引いた。


「困ったことでもあるかのような苦しそうな面持ちであったぞ?」


俺がしている気分だった表情はカッと見開いた目と口が特徴的なものだったはずだが...

自分でも知らない内に表情筋がおかしくなったかもしれないことを疑い始めた。


「悩み事ならさっきのようにいつでも聞き入れてやるぞ!」



そんないつもなら聞き流すような一言に

強力な電撃が走って脳内情報が吹き飛ぶくらいの

ひらめきが生まれた。


「そうだ、なら聞いてくれよ」


「ん? おお、いきなりか!

 よ~し、ドンとこい!」


「美咲の好きな物を調べて来てくれ」

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