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家庭教師編・4

そうして美咲が月・火、花山が木・金となった。


当の本人たちは


「休日が終わってもハルとの時間が巡ってくる...?

 なんてハッピーなコンボなのかしら」


「休日の前にハルと過ごす時間が生まれるだと...?

 自由なる空へと飛び立つ前の助走になんと贅沢な時間!」


とか何だか言って争いが起こらなかったので良しとした。


そうして今日は水曜であったこともあってお開きということにして、

俺は美咲と花山の家を後にした。


一緒に帰ることを頑なに花山は妨害しようとしたが、

美咲の自慢の脚力で

俺を引きずったまま逃げ出した。



そうしてそのまま花山の家の門を今越えたところでストップを掛けた。


「も、もう良いだろ! 放してくれ」


「あ、ごめん」


そうして道路に入ったと共に傾いた体勢の俺はパッと放されて

地面に打ち付けられた。


「ぐはっ!」


咄嗟に美咲が心配そうにしゃがみ込む。

この角度からだと思いっ切りスカートの中が見えた


「おいおい、お目見えしちまってるぞ」


そう教えてやったら頭を抑え込まれた。

危うく鼻血ブーだった


「ちょ、見ないでよ!」


「わ、悪かったよ! 見ないから! さっさと立てよ!」


地面にキスしそうなスレスレで訴えると手がパッと放された。


「まったく...」


制服をはたきながら立ち上がると美咲がプリプリしていた。


「し、仕方ないじゃない!

 ハルが見て来たんだから...」


最近まではデレたっぷりだった幼馴染を見ていたので

ツンとした感じが久しぶりに思えた。


「なんだよ、俺と二人の時はゾッコンじゃなくなるのか?」


呆れた調子で自分の家に向かって歩くと

その横に美咲が駆けて来た。


「べ、別にそんなんじゃないし...」


こうも情緒不安定だとこちらが心配になるが


「まあ、どっちのお前が本当でも俺は良いよ」


呟く俺をジッと横から見てくる。

何か声を掛ける訳でもなく

観察されている。


嫌な感じがした



そうしてすぐもう俺の家の前だ


「じゃあ、またな」


そう別れを告げて上げた左腕を掴まれた。


「...どうした?」


黙って返事が無い。

少し顔を向けるが彼女は俯いている


そして腕を取られたような姿勢が少し続いて

やっと口を開いた。


「ハルは...アイツみたいに積極的なのと、どっちが好きなの...?」


今までに聞いたことの無い美咲らしくない不安げな声にギョッとした。

ホントに俺の知る幼馴染なのか、コイツは?


「いやぁ...その、どっちが好きとかは――」


「ちゃんと答えて」


腕の袖を握る力が強くなる。

その口調もすがる様に聞こえて、

何か違和感を抱いて左腕をサッと引いた。


「何下らないことでマジになってんだよ...お前らしくもない」


そう言い残すと俺は足早に家の中に入った。

もう追いかける足音は聞こえなかったが、

俺は逃げるように帰宅した。


どんな反応をしたかも見ずに、

視線だけを感じて

モヤモヤして

それでいて何をイライラしているのか分からない気持ちに包まれながら


自室のベットに倒れこんだ。



何かアイツの変わり具合より、変な意識をしているのは自分なのではないか


そんなことから気を逸らすために

俺は適当な音楽のボリュームを大きくして

聴きながら寝た。

閲覧ありがとうございました。

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