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知力テスト

「なんだって? 今度は知力?」


今は昼休み、軽食を片手に無駄に意気込む二人の話を無気力に聞く。

次の勝負の内容が決まったらしい

というか


「お前は良いのかよ? 体力テストで勝ったんだろ?

 勝ち逃げしといた方が良いんじゃないか?」


俺の忠告を憤慨して返す花山。


「なっ! 失礼な!

 知力に置いてもこやつに勝っている所を見せれば

 私が誰よりもハルに相応しい女であるか分かるだろうに!

 こんな諦めの悪い貧弱女でもなっ!」


また余計な一言を...


「体力テストで勝ったくらいでアタシより屈強な気でいるような頭じゃ、

 知力の方は圧勝できそうみたいね!

 金髪幼児!!」


そうして掴み合い、

本当に仲良いなぁ...こいつら


「そんで、また種目...じゃなくて教科ごとの点数対決にでもするのか?」


割と二人の勝負に乗り気になった俺。

誰を巡っての勝負なのかという所以外に目を向けなければ、

部外者の様な気でいられる


そんな気軽な感じの発言が喧嘩をピタッと止めた。


「「え? 総合点数ではなく?」」


目の敵にしながらもお互い気が合う二人、


「いや...別にどっちでも良いけど」


俺のアイディアに急に考え込む二人、

そして


「「そうしよう!」」


タイミングもバッチリな二人。


「よ~し、これでアタシの勝ちは確かなものになったな!」


「それはこっちのセリフだ!」


それぞれの反応を見るに、

明らかに苦手な教科があって

そこさえ除けば自信があるようだ。

また白熱したせめぎ合いになるならそうしてくれ...


他人事と割り切って、また寝る。


「おい、ハルよ! 寝るな!

 私とのランチはどうなる!!」


「い~や、アタシとのランチだね」


「お前らが言い合いしてる時に

 もう済ましたぞ、俺は」


そう言うと


「「お前のせいだ!!」」


とか言い始めて

また喧嘩が始まった。



最近こいつらが俺の横で騒ぐことが多くなって

止めることもしなくなると、

自分の耳がヤジの飛ばし合いの騒々しさに慣れ始めて

すぐに寝付けるようになった。


鼓膜を鍛えられることになるとは...


花山と知り合ってからメンタルも身体も強靭になっていることを

喜んでいいものか、と

どうでもいいような物思いに耽って俺は眠りに落ちた。



そしてチャイムが聞こえて、

これから5時間目かと体を起こすと


「キーンコーンカーンコーン」


馬鹿っぽく口でチャイムを大声で再現する花山が目の前にいた。

それに私服だ、

夢を疑ったが視界はやけにクリアだ。


「は?」


「お、やはりこの音で起きたか」


自慢げに自分の推察に腕を組んで感心している自惚れ女に

段々と嫌な予感がして焦って聞く。


「お、おい! ここって...」


周りを見れば一目瞭然だ。

机だけわざわざ学校のものを持ってきて周りは花山の部屋だった


「俺を寝たまま連れて来たのか!?」


それを聞いてスッとんきょんな顔をされる。


「へ? 自己学習をするんだから早退も許されるであろう?」


...


この馬鹿を


今、しつけずにして


いつするか?



「こんの...バカヤロォー!!」


机を横にすっ飛ばして

ポンコツ令嬢の両頬っぺたを思いっきり引っ張った。


「イタタッ! なにをしゅる、はりゅううう!!」



メイド達に止められるまで制裁は続いた。


閲覧ありがとうございました。

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