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火花散り

良かったらブックマークなどよろしくお願いいたします。

なんということだ...


本当に驚いた。


花山は反復横跳びを勝ってしまった。

美咲もここで勝負を決めようと全力のステップを踏んでいた、

飛び散る汗がその足を滑らせる程に。


ただ花山は冷静にその小さな体を最小限に体重移動させて、

自慢の瞬発的脚力を最大限に生かした。


美咲は息を切らして55回、

花山は終わった後に一息ついただけで62回をマークした。


本気を出してさえいなかったのか...?


思わず終わった後に話掛けてみた


「おい...お前、さっきの記録...」


ゆっくりと振り返りアイツは笑った


「ああ...()()本気ではないぞ?」


「...やる気を取り戻したのか?」


「...厳密には取り戻させて貰ったのかもしれないな」


そう言って花山は落とした目線を俺に向ける。


「お前の愛が、私の愛と戦う意志を呼び起こしたんだ...」


そう残すと決戦場に走って行った。


「まったく...何が愛だよ...」


癪な解釈をされたが、

俺は笑いを隠せなかった。


「やっぱり、そうだったんだ...ハル」


急に後ろから呼びかけられて体が飛び跳ねそうになった。

美咲だ


「な、なんだよ」


「あの女が好きだったんだね」


何故か怒りや悔しさより

寂しさを滲ませて美咲は俺を見た。


「い、いやそれは誤解で――」


「良いの...」


急にそう言ってうな垂れた。


「片思いでも...アタシは諦めないから」


そうキリッと決め顔をしてアイツは俺の横を走り抜けた。

懐かしい頃の思い出が蘇るような匂いがした

花山もそうであったから忘れていたが、

美咲も汗かきな女の子であった......


一瞬に長い髪を汗で顔に引っ付かせて俺の手を引く彼女が見えた。

今じゃショートヘアーだが...体格や好みが変わっても

美咲は変わっていなかったんだ。


あの頃から俺は意識されていた。


その確信と共にもう一人の勝手な解釈でありながら俺に応えようとする女を思い出す。


自分の意識も...これは改めねばなるまい。


本気で、

見届けてやろうじゃないか

二人の戦いを!


「お~いガン見の山崎~、いつものお前が最後だぞ~」



そうして一足早く男子は、俺は全ての種目を終えて仁王立ちで二人の勇姿を見る。


もう角田さんも吉沢さんの姿も、もう俺の視線を一瞬しか引き付けることしか出来ない。


そして始まるはシャトルラン...


持久走との選択になるところをここ最近の梅雨の都合上もあって

確実に室内で出来るものになった。


いつものドレミの音楽が流れ始める。


これを聞いて初めて緊張が走った

二人がにらみ合い、すぐさま前を向いた。



正真正銘の最終決戦が今、始まる!



「立って見るなよ山崎~、覗きが本気過ぎるだろ~」

閲覧ありがとうございました。

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