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屋内種目

さあ、日を改めて始まるは握力・上体起こしなど体育館で行われる種目の後半戦だ。


肩を治し万全となった美咲と

未だボール投げで精神ダメージを負ったのが治っていない花山の二人が入場する。

というかまだアイツあんな下らないことを引きずってるのか...

美咲の治りも早すぎるし、普通逆だろ


「意気消沈しているようじゃ...アタシには勝てないよ?」


「まだ足元にボールがある気がする...」


実際、二人のテンションの温度差はあまりにも激しかった。



そうして始まったのは握力勝負だ。

これについては俺もパワーが無いから苦手なんだ...

だからこれは下手に体を傷めないように...


「ふんッ!」


力を抜いたりするほど俺は甘くはない!


「22!」


...まあ、こんなもんだろう


「30!」


女子の声が聞こえた、

一体どこの筋肉女だ!?

俺をあっさり抜き去るとは


「まあ、肩が治ったばかりじゃこんなものね...」


美咲だった。

アイツには逆らわんほうが良いなぁ...てか肩関係あるか?


「1!」


また女子の体育係の声だ、

今度は1って...逆にどうやったらそんな記録が


「花山さん...本気でやってる?」


「...ぁぃ」


声小っさ!

それに握るってアイツ、手をワキワキさせてるだけじゃないか

そんな高速で握るもんじゃねえのに...


その後も上体起こしは腹筋の力が試されるところだが、

これに全力で取り込んで、

体操服が透けるのではないか

というほどの期待を起こすほどの汗にまみれた美咲に対して

花山は、


「エリーちゃん頑張って!」


そうペアの子に応援されても身じろぎもしなければ

瞼も動いていない。

そのためか眼球が濁って見える

目の色を変えて、とよく言うがアイツは無表情のノーリアクションで

目の色が変わっている...というよりは失っていた


詳細の記録は知らなくても勝敗がハッキリしてしまうほど戦意を失った花山は

遂に諦めてしまったのか?

俺を巡るなんて下らない戦いではあるものの、

その事態を見て俺の闘魂が急に許せなくなった。



もう上体起こしは終わったというのにマットに寝転んでいる花山の近くに膝を着く。


目の色どころか焦点も失って虚ろな姿は乱暴された後のいたいけな少女の様だった

何でそこまで沈んでるんだ...


「おい、起きろよ

 体育係が片付けしなきゃならねぇんだ、邪魔になるだろ?」


まるで自分がその係ではないかのように頬っぺたをぺシぺシ叩く。


「あぁ...?」


酔っ払ったオヤジのような声しか出ていない

その情けない反応に俺のハートに火が付いた。

カウントを数えるレフリーの様にマットを叩く


「どうしたんだ、勝負は!

 ええ!? 途中で投げ出す気か貴様!」


それでも反応がない、

金髪だけあって人形みたいになってしまった...


鼻息を荒げて立ち上がる。


「ふん、貴様がそんな根性なしだったとは...見損なったぞ!」



そう残して俺はその場を去った、


そもそも俺はお前なんかに期待なんかしてないんだからね!


くらいのツンもおまけに付け足そうとしたが

無反応の花山を見て、

本当にこっちが恥ずかしくなって足早に次の種目に走った。



それで気付かなかったのかもしれない、

こんな言葉でもアイツを少しでも勇気づけてしまったことを......


閲覧ありがとうございました。

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