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三連体育祭編・51

「ということで、次に仲間になってくれたのが米田 美咲さんでーす。

 はい、皆拍手!」


散々俺が!私が!と、もめ合ったチームとは思えない程にこやかに

皆が新たな仲間を出迎えた。

誰もがすぐさまトレードされて抜けたがったのでひと悶着あったが、

ジャンケンで丸く収まった。

小うるさい二人組の女子をご隠居させられて、安心したところだ


二人目の加入は有希さんの伝手で美咲のクラスのキーパーを獲得できた。

この激戦で自分も何があるか分からないということで彼を選んだ。

有希さんの知り合いらしく好青年で、妬いてしまうほどだ


頼りなかったディフェンスに彼も加わってくれるらしく、

いざという時に自分とキーパーを変わる手筈である。


ちなみに美咲のクラスには麦野 亜美という

これまた頼れるエースで是非招き入れたい旧友がいたはずだが、

ベンチにも見えなかった。

事情を聴いてみると、


「サッカーなんて危ない競技やらないって、仮病も使わず

 堂々と休んだのよ? 相変わらずよね」


美咲の呆れた表情も納得だ。

せっかく才能のあった陸上を辞めた理由も案外

そういった軽いものなのかもしれない。


いや、もうそうに違いない......奴は活発少女を離れ、

見ない内に学校をサボる不良ギャルになってしまったのだ!


「ミアが不良になっちまっただ......」


「やり取りしてんだからそういう話されてなかったわけ?」


「いつもしてるわけじゃねえさ」


「ふぅーん」


そんな些細なことで少し嬉しそうな幼馴染はさておき、

次の対戦相手を急ぎで見に行かねばならない。

交代交渉で時間を食ってしまった


まだ試合をやってくれているといいのだが......


今回もバカ広いグラウンドを分けて試合が行われている。

フルコートのサッカーが同時にできる校庭、というだけでも

その広大さを理解して頂けるだろう


次に戦う相手にも知り合いがいる。

むしろ今回伝手があるのは俺だけとも言える。

そやつも加えれば、この一年世代に敵はいないはずだ


そう、倒すべき奴がいるチームにだってきっと......


「おい、また決まったぞ!

 でも......誰が決めたんだ?」


「毎度コーナーからの混戦でいつの間にか決まってるよな」


駆け付けた先では既に噂が立ってるようだ。

気付けば点をもぎ取っている、影の立役者のあの男である


「糸田 一慶......」


仕事だけを済ませ、すぐさま自陣に戻る姿は仕事人だ。

そして彼の功績を讃えるものはいない。

それは味方ですら認知出来ていないからだ


あとで俺だけでも賞賛してやらねば、あまりにも......


「アイツをスカウトする訳ね、まあ少しは役立ちそうじゃない」


いつの間にか着いてきて尚且つ、

ついさっき仲間になったばかりの女が偉そうに品定めしている。

これは移籍先のチームだからと言って借りた猫で

いてくれる様子は、残念ながら微塵もなさそうだ


「まあ、まずは勝たないことには机上の空論だからな。

 一慶はもちろん、他のメンバーにも注目しないと」


「別にアタシだけで十分だけど、一応アンタのとこの

 女エース達もいるわけでしょ? 負けるわけが無いわよ」


気分がイイのかお調子に乗っているようだが、

サッカーは十分に身体能力を押しつけられる競技だ。

故に運動部の多いクラスは必然的に苦戦を強いられる。

まさに第一回戦が良い例である


俺が修行を積んで守護神となっていなければ、

恐らくあっさり負けていた。

二回戦なんか注意すれば良かったのは美咲だけで、

次戦の一慶がいるクラスは運動部の割合が大きい。

影のエースまでいる分、今まで一番の激戦が予想される。


「次では頼むぞ、期待してるからな」


「ふ、ふんっ! そこまで言うなら視察はアンタに任せるわ」


少しおだててやったら嬉しそうに即ウォーミングアップに行った。

これで集中して勝率を上げる策を考えられる



そう思ったのもつかの間、観れば見るほど隙のないチーム構成に

高まるのは可能性どころか緊張ばかりであった。

一慶のチームは3-0というスコアを出し、

余裕すら見せて勝利を収めた。


気温のせいにしたい程、発汗を抑えることはできなかった

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